2  0  1  7  年    2  月  

《 4日 》    坊主岳

奈良井湖 〜 坊主岳 〜 坊主岳北峰  (往復)

   中央アルプス前衛の坊主岳(1960m)は双耳峰だが、僅かに高い北峰(1961m)には登山道がない(坊主岳も地形図には登山道は記されていない)ので、積雪期に登ろうと以前から計画していたが、今回図らずも山仲間のkana−catさんとご一緒することになった。  

   6時に伊那IC近くのコンビニでkana−catさんと待ち合わせ、奈良井湖畔の坊主岳登山口から500mほど先の路側帯に車を停めて7時前に登山口を出発。 予想どおり登山口付近には登山者の車はない。 早朝の木曽谷の気温は低く、奈良井湖の湖面は凍結していたが、登山口付近の積雪は少なく、意外にも登山道には雪が殆どなかった。 顕著な尾根にジグザグに切られた登山道は急勾配だが明瞭でとても登り易い。 間もなく雪が登山道を覆うようになったが、予想以上にトレースが明瞭だったので、ラッセルもルーファンも全く不要で拍子抜けした。 

   1429m地点からは傾斜が緩み、ご来光後は正に日溜りハイキングとなった。 坊主岳への登頂が楽勝となった一方、右手の樹間から見えてきた仏谷(2184m)の存在が気になってきた。 山頂が近づいてくると勾配は再びやや急になってきたが、トレースがなくなることはなかった。 遅くなるほど風が弱くなるという予報だったので、こまめに休憩をとりながらゆっくり登ったが、予定よりも1時間以上早く10時過ぎに誰もいない静かな坊主岳の山頂に着いた。


凍てつく奈良井湖


坊主岳の登山口


登山口付近の積雪は少なく、登山道には雪が殆どなかった


雪が登山道を覆うようになったが、予想以上にトレースが明瞭だった


1429m地点からは傾斜が緩み、ご来光後は正に日溜りハイキングとなった


登山道から見た坊主岳の山頂


快適な坊主岳への登り


こまめに休憩をとりながら登る


山頂が近づいてくると勾配は再びやや急になってきたが、トレースがなくなることはなかった


樹間から見た仏谷


   無木立の山頂からの展望はすこぶる良く、指呼の間の北峰はもちろん、頸城や北アルプスの山々、乗鞍、御嶽、木曽駒、八ケ岳、浅間山、そして遠く白山まで見渡せたが、意外にも一番印象的だったのは眼前に屹立する仏谷の偉容だった。 今回は北峰への登頂が目標だったので、仏谷方面をカバーする地図はなく、逆に唯一あるのは以前ネットで見た仏谷の敗退記録の記憶だった。 仏谷に至る尾根のルートを観察すると、坊主岳とのコルまで急降下した後の登り返しでは地図には反映されないような小さなピークがいくつかあり、見た目以上に時間が掛かりそうに思えた。 全く予想していなかった仏谷の偉容に圧倒され、心の中に “登らない言い訳”を作ってしまった。 坊主岳の山頂からの展望の秀逸さがその言い訳に拍車をかけた。

   日溜りのように暖かい山頂の傍らでゆっくり寛ぎ、トレースのない北峰に向かう。 雪のやや締まった明瞭な尾根はツボ足でも何とか歩けそうだったので、スノーシューを履かずに進んだが、途中から歩きにくくなってしまったので、スノーシューを履いて登った。 北峰との間のコルは高低差が少なく木々が切れて展望は良かったが、目線の先やカメラの被写体は乗鞍や御嶽ではなく仏谷だった。 労せずして辿り着いた北嶺の山頂は、疎林に囲まれ展望に恵まれなかったばかりか、山名板やテープ類は一切見られなかったので、さらに一つ先のピークまで足を延ばした。 北峰よりも高度計で7m低かった猫の額ほどの雑木に囲まれた一つ先のピークには、古い赤布や木の幹に巻かれた色あせた赤テープが見られた。 北峰に引き返して一息入れてから坊主岳に戻ると、下山の準備をしていた単独の男性の姿が見られた。 仏谷への未練は捨てきれず、コルに向けて尾根通しに少し下ってみた。 午後に入っても雪の状態は悪くなく、初めから計画していれば仏谷に登頂出来たかも知れなかった。 

   後ろ髪を引かれる思いで12時半に山頂を発つ。 登りでは気が付かなかったが、山頂直下の樹林帯との境目に仏谷方面への赤いリボンが続いていたので、無雪期にはこの下に踏み跡があるのかも知れない。 雪の状態が良かったので、下り始めてすぐにスノーシューを外した。 下山中もずっと仏谷を眺めながら、他のルートで登れるかどうかを観察し続けたが、坊主岳を経由して登るのが結果的に一番良いのではないかと思えた。 

   まだ陽の高い2時半に下山したので、次回この山域を訪れる時のために権兵衛トンネル周辺の林道などを車で見て回ってから帰途についた。 坊主岳(北峰)に登ったというよりも、仏谷に登れなかったという記憶が残る山行となった。


坊主岳の山頂(背景は木曽駒ケ岳)


坊主岳の山頂から見た坊主岳北峰


坊主岳の山頂から見た御嶽山


坊主岳の山頂から見た乗鞍岳


坊主岳の山頂から見た八ケ岳


坊主岳の山頂から見た仏谷  (中央右奥は経ケ岳)


坊主岳から坊主岳北峰へ


坊主岳と坊主岳北峰の間から見た御嶽山


坊主岳と坊主岳北峰の間から見た仏谷


坊主岳と坊主岳北峰の間から見た坊主岳


坊主岳北峰の山頂


快適な坊主岳からの下り


登山口から車を停めた路側帯へ湖畔の車道を歩く


2 0 1 7 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P