2  0  1  7  年    1  月  

《 29日 》    大平山

立木観音 〜 阿世潟 〜 大日尾根 〜 1750m峰 〜 1816m峰 〜 大平山  (往復)

   週末は天気の良い土曜日に用事があり、昼過ぎから天気が下り坂になるという予報の日曜日に山に行くことになったので、以前から気になっていた日光の中禅寺湖畔の大日崎から派生する通称「大日尾根」を辿って南岸尾根と合わさる1750m峰に登り、天気と相談しながら先週登った夕日岳からの展望で一番印象的だった大平山(1959m)まで行こうと思った。 中禅寺湖畔から大日尾根へ至るルートは数通りあるが、昨年社山の山頂で出会った女性の方が辿った阿世潟から大日尾根に至るルートを辿ることにした。

   湖畔の立木観音手前の駐車場に前泊して翌朝5時に出発。 気温はマイナス2℃と、この時期にしては異常に高かった。 まだこの時間帯では社山に登る人はいない。 二週間前の大雪はだいぶ落ち着いたようで、湖畔の積雪は予想よりも少なかった。 湖岸の周遊歩道は狸窪のゲートまで除雪されていた。 狸窪のゲートから先も阿世潟峠への登山道が分岐する阿世潟までは踏み固められたトレースがあり、登山道と全く変わらない感じで歩けた。 

   周囲が明るくなり始めた阿世潟でスノーシューを履き、6時半にトレースのない千手ケ浜方面への周遊歩道を歩き始める。 阿世潟沢に流れ込む二つの目の沢に架かる木の橋を渡るとすぐに、テープや目印は一切なかったが、“ここを登ってください”と言わんばかりの顕著な尾根が見られたので、迷わずそこから取り付くことにした。 意外にも登り始めてすぐに、先週くらいのスノーシューかワカンのトレースが見られた。 トレースは単独者が下ったものであることが分かり、ルーファンやラッセルといった不確定要素がなくなって拍子抜けした。 トレースを辿って登っていくと、尾根は次第に傾斜を増していったが、雪がだいぶ締まっていたので、トレースがなくても軽いラッセルで登れそうだった。 また、尾根は相変わらず顕著なままで、トレースや目印がなくても迷うような所は全くなかった。


社山の山頂手前から見た1557m峰(中央手前)と大日尾根  (2015年2月撮影)


湖岸の周遊歩道は狸窪のゲートまで除雪されていた


狸窪のゲートから阿世潟までは踏み固められたトレースがあった


阿世潟峠への登山道が分岐する阿世潟


阿世潟沢に流れ込む二つの目の沢に架かる木の橋


顕著な尾根への取り付き


木々が疎らな顕著な尾根


尾根には先週くらいのスノーシューかワカンのトレースが見られた


尾根から見た社山


尾根の雪はだいぶ締まっていたので登り易かった


   取り付きから1時間弱で標高差250mを稼ぎ、猫の額ほどの平らな小ピークに着いた。 この小ピークは大日崎からの尾根との合流点で、計画どおりのルートを辿れたことが分かった。 小ピークから僅かに下って登り返した所で松ケ崎からの尾根とTの字に合わさった。 木の幹に古い赤テープがあったので、ここが各方面からの尾根が纏まる1557m峰であることが分かった。 ここから先が大日尾根の核心部となり、南岸尾根と合わさる1750m峰に向かって緩やかで顕著な尾根が続いていた。 意外にも尾根上の積雪は少なく、所々で地肌が見えている所もあった。 

   1633m地点の前後では積雪が少し増えて勾配も増したが、新しい鹿のトレースを利用して登った。 辺りには鹿の寝床が沢山見られた。 尾根の幅が広くなり勾配が緩くなってくると、南岸尾根と合わさる1750m峰が近づく。 嬉しいことに天気は予報以上に良く、右手に見える白根山や男体山の上には雲一つない青空が広がっていた。 図らずもルーファンやラッセルに苛まれずに済んだので、予定よりも早く9時半に1750m峰に着いた。 意外にも眼前の社山やこれから向かう南岸尾根の縦走路の積雪は、一昨年、昨年とここを歩いた時と比べて一番少なかった。 ありがたいことに稜線は風が弱く絶好の登山日和となったが、気温が高いことが災いして足尾の谷から湧き始めた霧が目標の大平山方面を覆っていた。


大日崎からの尾根との合流点となる猫の額ほどの平らな小ピーク


各方面からの尾根が纏まる1557m峰


1557m峰から先の大日尾根の核心部は緩やかで顕著な尾根が続いた


1633m地点の前後では積雪が少し増えて勾配も増したが、新しい鹿のトレースを利用して登った


尾根の幅が広くなり勾配が緩くなってくると、南岸尾根と合わさる1750m峰が近づく


南岸尾根と合わさる1750m峰


1750m峰から見た白根山(中央)と錫ケ岳(左端)


1750m峰から見た1792m峰


   南岸尾根にはトレースは見られず、今日も貸切りとなりそうだった。 鹿が飛び跳ねる“通い慣れた”1792m峰、1816m峰を稜線漫歩で越えていくが、気温の上昇で次第に雪が重くなり、積雪が少ない所ではスノーシューが下駄を履くこともあったが、大平山への分岐が近づいて積雪が多くなると、逆に雪が良く締まっていて歩き易くなった。

   1926m地点の先にある大平山への分岐の道標(道標の表示は『社山/黒檜岳』)の100mほど手前から左に折れて大平山へ向かう。 奥深い大平山の山頂は前衛峰に阻まれてまだ見ることは出来ないが、昨年道に迷いながら黒檜岳へ登った時の記憶を活かし、前衛峰のピークは踏まずに樹林帯の中を最短距離でトラバースしながら進んだ。 到着時間のリミットと決めていた12時半ちょうどに、人待ち顔の大平山(1959m)の山頂に着いた。 積雪は50センチほどだったので、愛好家が設置した立派な山名板が見られた。 木々の切れた南面の足尾側の展望は霧のため満足に得られず、先週登った夕日岳や薬師岳を望むことは出来なかったが、久しぶりに新たな寂峰の頂を踏めたことが嬉しかった。


1792m峰付近から見た男体山


1792m峰付近から見た黒檜岳


1792m峰付近から見た1816m峰


1816m峰の手前から見た社山


1816m峰から見た中禅寺湖


気温の上昇で次第に雪が重くなり、積雪が少ない所ではスノーシューが下駄を履いた


大平山への分岐が近づいて積雪が多くなると雪が良く締まっていて歩き易くなった


大平山への分岐の手前から見た大平山の前衛峰


大平山への分岐から大平山へ


大平山の山頂直下


愛好家が設置した立派な山名板がある大平山の山頂


木々の切れた南面の足尾側の展望は霧のため満足に得られなかった


   静かな頂で疲れた足をゆっくり休め、1時前に山頂を発つ。 予報どおり昼過ぎから天気は下り坂となったが、時々強い陽が射したり、青空が戻ったりする不思議な空模様だった。 大平山から2時間ほどで大日尾根と南岸尾根が分岐する1750m峰まで戻ると、どのルートにも私達以外のトレースはなかった。 次回ここを辿る時のために、最小限度のテープを付けながら大日尾根を下ったが、取り付きには敢えてテープは付けなかった。 阿世潟の分岐でスノーシューを外し、往きよりも更に歩き易くなった湖岸の周遊歩道をだらだらと1時間以上歩き、日没後の6時前に立木観音手前の駐車場に着いた。


1816m峰付近から見た1792m峰(手前)と男体山(奥)


1750m峰付近から見た社山


1750m峰から大日尾根を下る


1557m峰から阿世潟へ


阿世潟からの尾根への取り付き


阿世潟と大日尾根


2 0 1 7 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P