《 18日 〜 19日 》 朝日岳 ・ 雪倉岳
蓮華温泉 〜 白高地沢 〜 五輪ノ森 〜 朝日岳(テント泊) 〜 雪倉岳 〜 小蓮華山 〜 白馬大池 〜 蓮華温泉 (周回)
降雪が少なかったことで、いつもより早く蓮華温泉への道路の通行止めが解除されたので、梅雨の晴れ間を狙って蓮華温泉から朝日岳と雪倉岳を周回して登った。 このルートは7年前の晩夏に辿ったが、花の盛りは過ぎていたものの、高山植物が多く見られたので、次回は是非初夏の花のシーズンにと思っていた。
蓮華温泉の駐車場を7時過ぎに出発。 天気は予報よりも良く、これから登る朝日岳や雪倉岳が良く見えた。 駐車場には蓮華温泉の宿泊者や登山者の車が20台ほど停まっていたが、まだ朝日小屋がオープンしていないので、朝日岳方面への登山者の姿は見られなかった。 蓮華温泉から瀬戸川に架かる橋までは300mの下りだ。 登山道はつい最近刈り払いが行われたようで歩き易かった。 最初のポイントとなる兵馬ノ平の湿原ではワタスゲが揺れていたが、意外にも期待していた水芭蕉はすでに咲き終わっていた。 蓮華温泉から2時間ほどで白高地沢に架かる新しい橋を渡り、花園三角点に向けて木の階段の多い道を登る。 昨日の気温が低かったお蔭で樹林帯の中では夏の暑さはさほど感じない。 登山道の脇には咲いたばかりのオオサクラソウやキヌガサソウ、そしてタニウツギが見られた。
花園三角点の手前で樹林帯を抜けると、まだ最盛期には少し早いが、ニッコウキスゲ、ワタスゲ、コバイケイソウ、イワイチョウなどが所々に見られるようになった。 花園三角点の先に広がる五輪高原では水芭蕉、チングルマ、ハクサンコザクラなどの群落が見られ、みずみずしい花々としばし戯れる。 五輪高原を過ぎるとようやく登山道に残雪が見られるようになり、単独者が先行していることが分かった。 五輪ノ森の道標の先からは幾筋もの小沢が登山道を横切っていたが、その一番手前の沢で水を5Lほど汲んでいく。 夕食用にネマガリダケも少し摘む。 水が豊富なので付近には再び水芭蕉が見られ、シラネアオイやリキュウキンカを筆頭に沢山の種類の花々が見られた。 間もなく栂海新道との分岐に向けて残雪が登山道を覆うようになると、上から先行していた単独氏が下ってきた。 単独氏は朝日岳まで登り、これから適当な所まで下って泊まられるとのことだった。 単独氏のアドバイスにより早めに6本爪のアイゼンを着けて分岐へのやや急な斜面を登り、コースタイムよりもだいぶ遅れて3時前に栂海新道との分岐となる千代の吹上に着いた。 周囲にはそれまで見られなかったハクサンイチゲ、ミヤマアズマギク、ウルップソウ、ヨツバシオガマなどが多く見られ、ボッカによる疲れも一気に吹っ飛んだ。
稜線は登山道が露出していたのでアイゼンを外す。 分岐で一息入れ、足元の花々を愛でながら指呼の間となった朝日岳の山頂に向かう。 山頂の直下では再び残雪が登山道を覆うようになったが、傾斜が緩かったのでアイゼンは不要だった。 4時前に貸し切りの山頂に着くと、雲は多めながら眼前には白馬岳、旭岳、清水岳などが望まれ、剱や毛勝三山も遠望された。 広く平らな山頂に幕を張り、しばらく昼寝を決め込んだが、予想どおり誰も山頂を訪れることはなかった。 夕食後は雲海に沈む夕陽を眺め、期待どおりの素晴らしい夕焼けショーを堪能した。
夜中にテントを叩く風の音は皆無で、翌朝は4時過ぎに山頂を出発。 朝焼けが見られないような天気であれば往路を引き返そうと思っていたが、周囲の山々も良く見えていたので、予定どおり雪倉岳方面に周回することにした。 山頂直下の残雪の斜面はまだ雪が硬く、6本爪のアイゼンを着ける。 間もなく雲海からのご来光となった。 予報どおり昨日の朝ほどの良い天気ではないが、正午までは天気が持ちそうに思えた。 アイゼンの脱着を繰り返しながら赤男山との鞍部へ急降下し、小湿原の小桜ケ原で一息入れる。 その名のとおり、ハクサンコザクラの群落が見られ、水芭蕉やリュウキンカも咲いていた。
小桜ケ原の末端の小沢で水を汲み、赤男山の山腹を巻いて雪倉岳に登り返す。 途中にあった残雪の斜面はアイゼンの脱着が面倒なので、やや急な草付を高巻きして通過する。 その先は見事なお花畑となっていて、シラネアオイやシナノキンバイ、そしてハクサンイチゲが群生していた。 陽射しは弱く涼しい風も僅かに吹いていたので、雪倉岳への登りは全く苦にならない。 予報どおり天気が刻々と下り坂になっていくのが玉にキズだ。 8時半にもう何度も訪れている雪倉岳の山頂に着いた。 今日は反対方向からの縦走者もいないようだ。 山頂から見た白馬岳には雲や霧がかかり始めていた。
静かな山頂で一息入れ、雪倉避難小屋に下っていくと、再び足元に花々が多く見られ、それまで全く見られなかったツクモグサが咲いていた。 雪倉避難小屋は以前のように一般の使用を禁止するような雰囲気はなくなり、内部も新しくなっていた。 避難小屋から先は鉢ケ岳の山腹を巻いていく。 所々で残雪が登山道を覆っていたが、傾斜は緩く雪も柔らかくなっていたのでアイゼンは不要だった。 主稜線との分岐となる三国境の手前のガレ場には小蓮華山方面への明瞭な踏み跡があったので、試しにこれを辿っていくと、主稜線の縦走路に上手く合流した。 すでに周囲はモノトーンの世界となり、小蓮華山(2768m)の山頂は霧に煙っていた。
小蓮華山を過ぎると風が急に強まり、白馬大池手前の残雪の斜面はホワイトアウトしていた。 白馬大池から蓮華温泉への下りではとうとう雨が降り出し、傘をさして下ることになったが、登山道の脇に咲くシラネアオイやタニウツギは雨に濡れたことでかえって色鮮やかに見えた。