2  0  1  6  年    5  月  

《 28日 〜 29日 》    飯豊本山 ・ 大日岳

   弥平四郎登山口 〜 上ノ越 〜 疣岩山 〜 三国岳 〜 本山小屋(泊) 〜 御西小屋 〜 大日岳 〜 本山小屋 〜 三国岳 〜 弥平四郎登山口  (往復)

   みずみずしいハクサンイチゲのお花畑を愛でようと飯豊の頼母木山周辺の散策を考えていたが、登山口の飯豊山荘前の道路が6月下旬まで通行止めということで、同じ飯豊の本山小屋に泊まって大日岳を往復することにした。 本山小屋までのルートは初めて辿る弥平四郎の登山口からとした。 前夜の移動中に山仲間の西さん&セッちゃんから、計画していた薬師岳の天気が悪そうなので明日は切合小屋か本山小屋に泊まるというメールが入った。

   磐越道の『新鶴PA』で前泊し、翌朝『西会津IC』から登山口の弥平四郎の駐車場までは1時間ほどで着いた。 簡易トイレもある広い駐車場には地元ナンバーの車を中心にすでに5〜6台の車が停まっていた。 6時半過ぎに駐車場を出発。 西さん&セッちゃんはまだ現れなかったので、川入の登山口から登ってくるのだろう。 駐車場から最初の目標となる疣岩山までは新旧二つのルートがあるが、登山口の案内板は新ルートを推奨していたので、この案内に従って新ルートを登ることにした。 朝方は霧が出るという予報どおり、陽射しが弱かったので登るには都合が良かった。 新緑のブナ林の急坂を1時間ほど登ると、一旦緩やかな下りとなり、再び30分ほど急坂を登って稜線上の上ノ越の分岐に着いた。 ここまでは登山道に一片の残雪も見られなかった。 上ノ越の分岐は雑木に囲まれ展望は無かったが、疣岩山への稜線をしばらく辿っていくと、所々で右手の木々がなくなり磐梯山や那須・南会津の山々が遠望され、また左手の樹間からは大日岳が望まれるようになった。 足元には所々に色鮮やかなシラネアオイが見られ心が弾む。 登山地図に記された巻岩山(1578m)の山頂には山名板が見当たらなかった。 巻岩山を過ぎると稜線上には残雪や雪庇の名残が見られ、祓川山荘からの旧ルートとの分岐を過ぎると疣岩山まではカタクリが多く見られた。

   地味な疣岩山(1653m)の山頂には三角点はあったが、意外にも巻岩山と同じように標柱や山名板は見当たらず、期待していた主脈方面の展望も悪かった。 疣岩山と三国岳の間は所々で残雪が登山道を覆っていたが、ピッケルで確保しなければ下れない急斜面もあり、雪の多い年にはこのルートを5月に辿るのは難しいように思えた。 歩く人が少ないためか、数頭の猿が前方の登山道に見られた。 ほぼ予定どおり10時半過ぎに三国岳(1644m)の山頂に建つ三国小屋に着き、靴を脱いでしばらく小屋の中で寛いだ。


 

登山口の弥平四郎の駐車場


新緑のブナ林の急坂を登る


稜線上の上ノ越の分岐は雑木に囲まれ展望は無かった


巻岩山の先から見た疣岩山


巻岩山と疣岩山の間から見た飯豊本山


足元には所々に色鮮やかなシラネアオイが見られた


地味な疣岩山の山頂


疣岩山と三国岳の間は所々で残雪が登山道を覆っていた


数頭の猿が登山道に見られた


疣岩山と三国岳の間から見た三国岳


三国岳の山頂に建つ三国小屋


三国小屋付近のミネザクラ


三国岳の山頂から見た大日岳


   11時にミネザクラが満開の三国小屋を発つ。 前後に西さん&セッちゃんの姿は見えなかった。 三国岳から先は“通い慣れた道だ”。 山肌には残雪があるが、登山道は殆ど露出していたので、コースタイムよりも早く歩けた。 再び足元にシラネアオイが多く見られるようになった。 天気は回復して暑くなってきたが、たおやかな種蒔山(1791m)周辺は残雪が登山道を覆い、雪渓上を涼しい風が吹いていた。 切合小屋の手前で西さん&セッちゃんらしき二人が前方を歩いているのが見えた。 切合小屋の水場で一息入れ、下山してきた日帰りの単独者と雑談を交わす。 本山小屋の水場はまだ埋まっているかも知れないので、念のため3リッターだけ水を汲んでいく。

    切合小屋から草履塚への登りはトレースに従って直登する。 雪は柔らかくアイゼンは不要だった。 展望の良い草履塚を越えると登山道に残雪はなくなり、ハクサンイチゲなどの花々が見られるようになった。 姥権現の前で西さん&セッちゃんが待っていてくれた。 足元の花々は種類も増え、荷物は重いが足取りは軽い。 予想よりも早く2時半過ぎに本山小屋直下の水場との分岐に着き、水場のパイプを探しながら雪渓の縁を辿ったが、残念ながら水場はまだ雪に埋もれていた。

   山小屋にはほぼ同時に着いた単独の男性と先行者のザックが二つ置かれていたたけで空いていた。 温室のように暖かく快適な山小屋でしばらく寛いでから水作りを始める。 GWに降った雪なので意外と綺麗だった。 5時半過ぎに目と鼻の先の本山の山頂に向かう。 あいにくの逆光で山頂から主脈の山々の展望は良くないが、雲がないので夕焼けショーには期待が持てた。 山小屋に戻って夕食を食べ、山小屋の窓から素晴らしい夕焼けショーを楽しんだ。


三国岳から先の登山道は殆ど露出していた


三国岳と種蒔山の間から見た種蒔山


三国岳と種蒔山の間から見た疣岩山


三国岳と種蒔山の間にはシラネアオイが多く見られた


種蒔山付近から見た飯豊本山


種蒔山周辺は残雪が登山道を覆い、雪渓上を涼しい風が吹いていた


切合小屋


切合小屋から草履塚への登りはトレースに従って直登する


草履塚の山頂


草履塚の山頂から見た大日岳


草履塚を越えるとハクサンイチゲなどの花々が見られるようになった


姥権現の前で西さん&セッちゃんと合流する


草履塚と本山小屋の間から見た草履塚


本山小屋


温室のように暖かく快適な山小屋の内部


西さん&セッちゃんが採ってきた根曲がりダケ


本山小屋付近から見た大日岳


本山の山頂


本山の山頂から見た北股岳


本山の山頂から見た朝日連峰


本山小屋で夕焼けショーを楽しむ


本山小屋で夕焼けショーを楽しむ


本山小屋で夕焼けショーを楽しむ


   翌朝は3時半過ぎに本山小屋を発ち大日岳へ向かう。 昨夜から吹き始めた風は予報どおり次第に弱くなってきた。 本山(2105m)を通過すると間もなく周囲が明るくなった。 駒形山(2038m)を越えてしばらく下ると、広くたおやかな稜線は残雪に覆われるようになり、主脈から外れた大日岳との分岐に建つ御西小屋まで雪渓が続いた。 早朝の雪は硬かったが、前日の新しいトレースがあったのでアイゼンは着けずに歩いた。 間もなく本山の背後からの力強いご来光となった。 周囲には一片の雲もなく、予報以上の快晴の天気に足取りが軽くなる。 予定よりも少し早い5時前に御西小屋に着いた。 山小屋の近くで写真を撮っていた方から、昨日の宿泊者は二人で、もう一人の方は先ほど大日岳に向かったと教えていただいた。 大日岳の山頂直下の残雪の斜面は急で、登るのは少し難しいとのことだった。 

    誰もいない山小屋の中で一息入れ、不要な荷物をデポして5時過ぎに山頂に向けて出発する。 鞍部まで残雪の斜面を下ると登山道が露出し、ハクサンイチゲやシラネアオイが見られた。 大日岳には2年前の秋に登っているのでルートの記憶は新しい。 間もなく下山してきた単独者とすれ違ったので上の状況を伺うと、やはり山頂直下の残雪の急斜面は少しリスキーだったとのことだった。


 

3時半過ぎに本山小屋を出発する


未明の本山の山頂


本山の山頂から見た大日岳


朝焼けの駒形山(本山と重なっている)


駒形山を越えてしばらく下ると、広くたおやかな稜線は残雪に覆われるようになった


早朝の雪は硬かったが、前日の新しいトレースがあったのでアイゼンは着けずに歩いた


本山の背後からの力強いご来光


御西小屋まで雪渓が続いた


御西小屋付近から見た大日岳


大日岳との分岐に建つ御西小屋


御西小屋から見た北股岳方面の稜線


御西小屋付近から見た大日岳


御西小屋と大日岳の間から見た牛首山


御西小屋と大日岳の間から見た大日岳


御西小屋と大日岳の間から見た北股岳(中央)と烏帽子岳(中央右)


御西小屋と大日岳の間から見た大日岳


   登山道が笹藪の切り裂きに入ると間もなく残雪の急斜面の取り付きとなった。 高度計の数字では山頂までの標高差は110mだった。 雪面には先ほどの単独者のアイゼンの爪跡が見られたが、私達は全員が6本爪のアイゼンなので、硬い雪面にピッケルを深く打ち込みながらキックステップで足場を丹念に作って直登するルートを採った。 45度ほどの急斜面は最初の20mくらいで、その先は尾根が顕著になり傾斜も緩くなったので短時間で登れるようになった。 ほぼ予定どおり7時前に大日岳(2128m)の山頂に着いた。 もちろん山頂は私達だけで貸し切りだが、残雪期に登ったのは全員初めてだった。 相変らず天気は良く、守門岳・浅草岳・越後駒ケ岳・中ノ岳などの山々や佐渡島なども遠望された。 

   山頂からの大展望を満喫し、7時過ぎに山頂を発つ。 山頂直下の残雪の急斜面の下りはバックステップで慎重に下り、意気揚々と8時半にもう誰もいなくなった御西小屋に着いた。 このまま北股岳へ縦走していきたい気持ちを押し殺し、デポした荷物をピックアップして本山小屋への往路を戻る。 予想どおり誰とも出会うことなく10時過ぎに本山小屋に戻った。

   山小屋でラーメンを作って食べ、荷物をまとめて11時前に本山小屋を発つ。 切合小屋を経て三国小屋までは各々のペースで下る。 午後の暑さを危惧していたが、稜線に吹く涼しい風に助けられた。 1時半過ぎに三国小屋で西さん&セッちゃんと別れ、帰路も往路と同じ上ノ越を通る新ルートを下り、まだ陽の高い4時半過ぎに弥平四郎の駐車場に着いた。


大日岳の山頂直下の残雪の急斜面の取り付き


急斜面の取り付きの先は尾根が顕著になり傾斜も緩くなった


大日岳の山頂付近から見た御西岳(中央手前)と本山(中央奥)


大日岳の山頂


大日岳の山頂から見た二王子岳


大日岳の山頂から見た西大日岳


大日岳の山頂から見た北股岳(中央左)と烏帽子岳(中央右)


山頂直下の残雪の急斜面の下りはバックステップで慎重に下る


大日岳から御西小屋へ


大日岳から御西小屋へ


御西小屋と本山の間から見た駒形山(左)と本山(中央)


駒形山から本山へ


本山の山頂


本山の山頂から見た北股岳


本山の山頂から見た大日岳


本山小屋付近のミヤマキンバイ


11時前に本山小屋を出発する


切合小屋を経て三国小屋までは各々のペースで下る


切合小屋を経て三国小屋までは各々のペースで下る


種蒔山と三国岳の間から見た疣岩山


種蒔山と三国岳の間から見た三国岳


種蒔山と三国岳の間から見た大日岳


三国小屋で西さん&セッちゃんと別れる


弥平四郎の登山口


2 0 1 6 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P