2  0  1  6  年    4  月  

《 23日 》    会津朝日岳

赤倉沢登山口 〜 叶ノ高手 〜 会津朝日岳

   週末は足の甲が腫れる病気が治ったばかりの妻のリハビリのため、泊りでの山行はやめて日帰り登山となった。 先週に続き甲信方面よりも新潟や福島の天気予報が良かったので、山麓の残雪が少ないことに目を付けて、土曜日に会津朝日岳を登ることにした。 会津朝日岳へは2年前の秋に登山口の手前まで行ったものの、土砂災害による道路の通行止めで登れなかったが、今回は予想どおり登山口付近にある「いわなの里」までの車道には雪が全くなく、赤倉沢登山口の駐車場まで車で入れた。 

   6時過ぎに駐車場を出発する。 GW直前のためか熊本の大地震の影響か他に車はなかった。 意外にも駐車場のすぐ先を流れる赤倉沢に架かる橋が取り外されていて渡れず、車に戻ってスペアの靴下とタオルを持って渡渉することとなり、のっけから出鼻をくじかれた。 結局出発は30分ほど遅くなってしまったが、実質的な登山道の入口となる赤倉沢越までの林道には一片の残雪も見られず、スムースに歩けたので助かった。

   三吉ミチギの水場の手前から残雪が登山道を覆うようになり、所々で露出しているジグザグの登山道を繋ぎ合わせながらやや急な斜面を登っていく。 間もなく登山道は消失したが、予想よりもここまでは楽に登ることが出来た。 トレースはなかったので、地形図を見ながらほぼ登山道に沿って登っていく。 この山は冬の間は登られていないようで、テープ類は一切なかった。 尾根の幅は広いが木々は疎らで見通しは良く、高い所を目指してキックステップで登っていくと、登山地図に「人見の松」と記された所の近くに上手く出ることが出来た。 そこから先で尾根は急に痩せ、中間点となる叶ノ高手までは雪庇の落ちた明瞭な雪稜歩きとなった。 4〜5mの至近距離でハチ合わせしたカモシカが飛ぶように逃げていく。 天気は予報以上に良く、左手には浅草岳が良く見えるようになった。 叶ノ高手(1430m)のピークには雪が無かった。


赤倉沢登山口の駐車場


赤倉沢に架かる橋は取り外されていた


実質的な登山道の入口となる赤倉沢越までの林道には一片の残雪も見られなかった


登山道の入口となる赤倉沢越


三吉ミチギの水場の手前から残雪が登山道を覆うようになった


三吉ミチギの水場


所々で露出しているジグザグの登山道を繋ぎ合わせながらやや急な斜面を登る


トレースはなかったので、地形図を見ながらほぼ登山道に沿って登っていく


登山地図に「人見の松」と記された所の近くに上手く出た


至近距離でハチ合わせしたカモシカが飛ぶように逃げていった


人見の松付近から登ってきた尾根を振り返る


人見の松から叶ノ高手へ


人見の松と叶ノ高手の間から見た浅草岳


人見の松から叶ノ高手へは雪庇の落ちた明瞭な雪稜を歩く


叶ノ高手(手前)と会津朝日岳(奥)


叶ノ高手のピークには雪が無かった


   叶ノ高手で一息入れ、避難小屋のある熊ノ平へ緩やかに下る。 意外にも登山道が露出している所もあり、1382m峰の直下までルーファンすることなく下れた。 それまで良く見えなかった会津朝日岳の山頂が眼前に大きく迫り、何度も足を止めて写真を撮る。 19年前に初めて登った時の記憶は全く残っていなかった。 1382m峰は残雪を利用して尾根通しにも越えられそうだったが、地形図に記された登山道どおり藪の中をトラバースしながら進み、赤倉沢を渡渉してから4時間後の10時過ぎに避難小屋に着いた。 雪が少ないため避難小屋は完全に雪から出ていた。 避難小屋は古くて無骨だったが、新しく建て替えられる避難小屋が多い昨今、貴重な存在で個人的には好感が持てた。

   避難小屋に不要な荷物をデポし、アイゼンを着けて「バイウチノ高手」と登山地図に記された山頂直下の小ピークに向けてやや急な斜面を直登する。 雪はまだ良く締まっていて登り易い。 バイウチノ高手から緩やかに少し下った先からは、指呼の間の山頂に向けて無木立の幅の広い急斜面となり、そのほぼ中央をピッケルを刺しながら直登する。 会津の山でこれだけの登攀は珍しい。 例年どおりの積雪だったら、危なくて登れなかったかもしれない。 ありがたいことに頂上稜線の雪庇も落ちていたので、避難小屋から1時間ほどで山頂の脇の展望の良い露岩に着いた。 露岩からは稜線の先に憧れの丸山岳が望まれたが、その頂は予想以上に遠く感じた。 露岩と目と鼻の先の会津朝日岳(1624m)の山頂には正午ちょうどに着いた。

   古い方位盤が置かれた山頂からの展望は良く、浅草岳、守門岳、毛猛山、猿倉山、御神楽山、未丈ケ岳、越後駒ケ岳そして中ノ岳などの山々が一望された。 私達の後から登ってくる人は誰もおらず、図らずも19年ぶりの山頂は貸し切りとなった。 午後に入っても雲は殆ど湧かず、明日もこの良い天気が続くのではないかと思えた。 最後の赤倉沢の渡渉は憂鬱だが、足取りも軽く三吉ミチギからはフキノトウを摘みながら下った。

   下山後に天気予報を確認すると日曜日の天気が好転していたので、浅草岳を沼ノ原ルートから登ることに決め、登山口の只見の町に車を走らせた。 昨年と同じように町の中心部にある『ひとっぷろまち湯』という日帰り温泉で入浴と食事を済ませ、そこからすぐ近くの舘ノ川公園の快適な駐車場に泊まった。


叶ノ高手から避難小屋のある熊ノ平へ


叶ノ高手と避難小屋のある熊ノ平の間から見たバイウチノ高手越しの会津朝日岳


叶ノ高手と避難小屋のある熊ノ平の間から見た会津朝日(右)・鋸刃(中央)・1520m峰(左)


避難小屋のある熊ノ平へは地形図に記された登山道どおり藪の中をトラバースしながら進む


避難小屋の手前から見たバイウチノ高手(左端)と会津朝日岳(中央)


避難小屋の手前から見た叶ノ高手


雪が少ないため避難小屋は完全に雪から出ていた


古くて無骨な避難小屋の内部


避難小屋からバイウチノ高手へ


避難小屋とバイウチノ高手から見た会津朝日岳


バイウチノ高手から見た会津朝日岳(右端)


バイウチノ高手から会津朝日岳へ


無木立の幅の広い急斜面のほぼ中央をピッケルを刺しながら直登する


雪庇の落ちた会津朝日岳の頂上稜線


山頂の脇の展望の良い露岩から見た丸山岳


山頂の脇の展望の良い露岩から会津朝日岳の山頂へ


会津朝日岳の山頂


会津朝日岳の山頂から見た高倉山(中央)・未丈ケ岳(左奥)・毛猛山(右奥)


会津朝日岳の山頂から見た浅草岳と田子倉湖


会津朝日岳の山頂直下の無木立の幅の広い急斜面を下る


バイウチノ高手から見た会津朝日岳(右端)


三吉ミチギからはフキノトウを摘みながら下る


いわなの里付近のカタクリの群落


2 0 1 6 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P