2  0  1  6  年    4  月  

《 2日 》    日向倉山 ・ 未丈ケ岳

    銀山平 〜 赤崩山 〜 日向倉山 〜 未丈ケ岳  (往復)

   未丈ケ岳は16年前の秋に奥只見シルバーライン途中の泣沢の登山口から登って以来、再訪する機会を逸していた山だ。 近年ネットの情報により、シルバーラインの開通直後に銀山平あるいは丸山スキー場から残雪を利用して登られていることが分かり、その機会を窺っていた。 今年は積雪が少なかったため、シルバーラインが3月18日に開通したことが分かり、ラストチャンスに賭けて登ることにした。 但し、この時期のシルバーラインの通行時間は朝の6時から夕方の6時までなので、銀山平に前泊出来る日曜日なら早立ちが可能だが、土曜日だとトレースがなければ日帰りでは厳しそうだったので、山中1泊で行く計画を立てたが、日曜日は天気が崩れるという予報だったので、今回は日帰りで登ってみることにした。

   銀山平への出口のトンネルを出たすぐ先の橋の手前の除雪された駐車スペースに車を停めて6時半過ぎに出発。 石抱橋方面への車道のゲートが閉まっていたため、越後駒ケ岳へ向かうスキーヤーもここから一斉にスタートしていった。 雪解けの進む北ノ又川に沿って200mほど上流に歩くと古いコンクリート製の建物があり、そこが赤崩山への尾根の取り付き点となっているようで、先行した登山者が躊躇なく建物の裏側から尾根に取り付いていた。 トレースはあったが硬い雪の急斜面が続きそうだったので、取り付きからアイゼンを着けて登る。 銀山平から見た赤崩山の山肌は雪が禿げている所もあったが、尾根の積雪はそこそこあり、藪が出ている所はなかった。 先行者のトレースはもちろんのこと、先週あたりの古いトレースも多く、ルーファンやラッセルは全く不要だった。 傾斜が少し緩むと雪も柔らかくなったのでアイゼンを外したが、その後は下山するまでアイゼンを着けることはなかった。 天気は予報以上に良く、越後駒ケ岳、中ノ岳、荒沢岳の三山の眺めが圧巻だ。 赤崩山への顕著な尾根には取り付きも含め赤テープの一つもなかったが、木々が疎らで予想以上に快適だった。 

   銀山平を出発してから1時間ほどで赤崩山(1164m)の山頂直下の稜線に着くと、先行していた二人の山スキーヤーがスキーを履いていた。 お二人は地元の方で、スキーで未丈ケ岳まで行かれるとのことだった。 稜線からは目標の未丈ケ岳が良く見えたが、その頂は予想どおりまだ遠かった。 赤崩山へは帰路に寄ることにして、日向倉山への縦走を開始する。 どうやら私達が最後となったようだ。 最初こそ短いが急な斜面を下ると、その後は緩やかで歩き易い幅の広い尾根が続いた。 新旧のトレースがある尾根は快適そのもので、途中で休憩していた中高年の男女パーティーを追い越した。 

   予想以上のトレースに助けられ、予定より早い9時に中間点の日向倉山(1430m)の山頂に着いた。 無木立の広い山頂からの展望はとても素晴らしく、燧ケ岳から会津駒ケ岳・三ツ岩岳・丸山岳を経て会津朝日岳へと連なる会津の山々が一望された。 端正な未丈ケ岳が神々しく望まれ、ここから見た未丈ケ岳が一番絵になるのではないかと思えた。 ゆっくり寛ぎたくなるような山頂だが、先はまだ長いので写真を撮っただけで先に進む。


 

銀山平への出口のトンネルを出たすぐ先の橋の手前の除雪された駐車スペース


雪解けの進む北ノ又川に沿って200mほど上流に雪原を歩く


赤崩山への尾根の取り付き点となる古いコンクリート製の建物


コンクリート製の建物の裏側から赤崩山への尾根に取り付く


赤崩山への尾根の積雪はそこそこあり、藪が出ている所はなかった


赤崩山への尾根には先行者のトレースはもちろんのこと、先週あたりの古いトレースも多かった


赤崩山の山頂直下


赤崩山の山頂直下の稜線から見た未丈ケ岳


赤崩山の山頂直下の稜線から見た日向倉山


赤崩山の山頂直下の稜線から見た越後駒ケ岳(中央)と中ノ岳(左)


赤崩山の山頂直下の稜線から見た荒沢岳


終始先行していた地元の二人の山スキーヤー


赤崩山から日向倉山へ


赤崩山と日向倉山の間から見た越後駒ケ岳(右)と中ノ岳(左)


赤崩山と日向倉山の間から見た荒沢岳


赤崩山と日向倉山の間から見た未丈ケ岳


赤崩山から日向倉山へは緩やかで歩き易い幅の広い尾根が続いた


赤崩山から日向倉山へ


日向倉山の山頂


日向倉山の山頂から見た未丈ケ岳


   日向倉山からは尾根を90度左に折れ、未丈ケ岳とのほぼ中間点にある1376m峰との鞍部に向けて下る。 意外にも日向倉山を過ぎるとトレースは薄くなり、日向倉山までの登山者もいることが分かった。 尾根の雪庇はだいぶ落ちているが、トレースは尾根の左の樹林帯の中につけられていた。 小さなピークを一つ越え、1230mの鞍部から1376m峰への登りに掛かると、少し風が出てきたので休まずに登り続ける。 猫の額ほどの狭い1376m峰の山頂には日向倉山から1時間ほどで着いた。 未丈ケ岳の山頂がぐっと近づき、いつの間にか日向倉山が遠くなっていた。 右手には丸山スキー場方面への顕著な尾根が延びていたが、トレースは無かった。

   山頂には風が吹いていたので、山頂から少し下った先のテラスのような所で一息入れる。 テラスには先行していた若い男女パーティーが寛いでいた。 男女パーティーと雑談を交わしていると、後ろから単独の若い男性が追い越していった。 テラスから先の痩せ尾根の下りでは雪庇が崩れて藪が出ていたが、見た目ほど状態は悪くなく短時間で通過出来た。 痩せ尾根を下った所が1300mの最後の鞍部で、そこから先は癒し系の幅の広い緩やかな尾根となり風も吹き止んだ。 鞍部からはゆっくりとしたペースで男女パーティーと相前後しながら登るようになった。 終始先行していた山スキーヤーは山頂手前の藪を右から回り込んでいったが、雪の状態が悪そうに見えたので、私達は藪の中に僅かに繋がっていた雪の急斜面をすり抜けるように進んだ。 最後は今まで以上にたおやかな頂上稜線となり、予定よりも1時間ほど早い11時半過ぎに待望の未丈ケ岳(1552m)の山頂に着いた。

   広い山頂はまだ雪に覆われていたが、山頂の標柱だけは完全に出ていた。 快晴無風の山頂からの展望は期待を裏切らず、それまで見えていた越後三山や会津の山々に加え、眼前には憧れの毛猛山、その背後には浅草岳と守門岳、さらにその奥には粟ケ岳や飯豊の山並みまで遠望された。 間もなく先ほどの単独の若い男性と少し時間を置いて中高年の男女パーティーも到着し、この日は私達を含め9人が未丈ケ岳に登った。 思いがけず時間に余裕が出来たので、山頂でゆっくり寛ぎ登頂の余韻に浸る。


 

日向倉山から1376m峰へ


尾根の雪庇はだいぶ落ちているが、トレースは尾根の左の樹林帯の中につけられていた


1376m峰(右奥)の手前の小さなピークへの登り


1376m峰の手前の小さなピークから見た1376m峰と未丈ケ岳(左奥)


1376m峰への登り


1376m峰への登りから見た日向倉山


1376m峰への登りから見た越後駒ケ岳(中央)と中ノ岳(左)


1376m峰の山頂から見た未丈ケ岳


1376m峰の山頂から見た会津の山々


先行していた若い男女パーティー


テラスから先の痩せ尾根の下りでは雪庇が崩れて藪が出ていた


1300mの鞍部付近から見た1376m峰


1300mの鞍部から先は幅の広い緩やかな尾根を男女パーティーと相前後しながら登る


1376m峰から未丈ケ岳へ


1376m峰から未丈ケ岳へ


1376m峰から未丈ケ岳へ


未丈ケ岳の山頂手前の藪


藪の中に僅かに繋がっていた雪の急斜面をすり抜けるように進む


未丈ケ岳の山頂直下


広い未丈ケ岳の山頂


未丈ケ岳の山頂から見た毛猛山と背後の守門岳


未丈ケ岳の山頂から見た浅草岳


未丈ケ岳の山頂から見た会津朝日岳(中央)・村杉岳(左)・丸山岳(右)


未丈ケ岳の山頂から見た越後駒ケ岳(中央右)と中ノ岳(左)


   12時半前に去りがたい山頂を発ち往路を戻る。 午後に入っても雪の状態は悪くならず、日向倉山への登り返しも全く苦にならなかった。 快晴の天気も全く崩れることなく続いたので、最後に赤崩山の山頂を踏んでから銀山平に下り、まだ陽の高い4時半に車に戻った。 今回辿った残雪期の銀山平から未丈ケ岳までのルートは、スタートからゴールまで終始山々の展望に恵まれ、1500m台の低山ながら景観の素晴らしさやユニークさでは他に類を見ない好ルートであることが分かり、次回は是非丸山スキー場からの泊まりで再訪したいと思った。


未丈ケ岳の山頂から往路を戻る    遠景中央は荒沢岳


1376m峰への登り


1376m峰の山頂直下


1376m峰から日向倉山へ


1376m峰と日向倉山の間から見た未丈ケ岳と1376m峰(右)


日向倉山の山頂直下


日向倉山の山頂から見た未丈ケ岳


日向倉山の山頂から見た丸山岳(左端)・三ツ岩岳(中央)・会津駒ケ岳(右端)


日向倉山から赤崩山へ


日向倉山から赤崩山へ


赤崩山の山頂直下


赤崩山の山頂


赤崩山の山頂から見た日向倉山


赤崩山から銀山平へ


雪解けの進む銀山平


2 0 1 6 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P