2  0  1  6  年    3  月  

《 12日 》    小野岳

小野観音 〜 小野岳 〜 大内登山口  (縦走)

   週末は直前になって土曜日のみ会津地方に小さな晴れのマークが出たので、久しぶりに荒海山に登ることにしたが、前泊した道の駅『たじま』で未明から雪が降り、空模様も怪しかったので、第二候補の小野岳(第三候補は大戸岳)に9年ぶりに登った。 前回小野岳に登ったのは秋で、午前中に大戸岳、午後に小野岳を登ったが、いずれも山頂付近の紅葉が良かったという記憶が残っている。

   登山口の小野観音の駐車場に車を停めて7時に出発。 神社の左手から登山道に入る。 数日前に降った新雪が僅かに見られたが、南斜面の登山道には予想以上に雪が少なかった。 間もなく『小野登山口』という道標があり、そこから杉の植林帯に入る。 急坂の植林帯を30分ほど登り自然林に変わると、ようやく積雪が10センチほどになったが、数日前の単独者のトレースがあり、予想していたルーファンやラッセルは全く不要だった。 登り始めは陽射しもあったが、肝心の天気は上へ行けば行くほど悪くなり、途中から全く陽が射さなくなってしまった。 

   山頂手前からは気温が急激に下がり、それと同時に積雪が一気に増え、吹き溜まりでは2mほどあった。 単独者のトレースは登山道を辿らず、最短距離で往復していた。 山頂直下では霧氷が見られ、傾斜が緩やかになったので、トレースを離れて花見をしながら歩く。 山頂に近づくにつれて傾斜は殆どなくなり、まるで癒しの森のようだった。 腰痛の妻のペースに合わせてゆっくり登ったが、それでも10時半前に誰もいない広い山頂に着いた。 山頂は曇に覆われ、幻想的ではあるものの、期待していた周囲の山々の展望が得られず残念だった。

   意外にも祠の置かれた山頂の端まで行くと、反対側の積雪が多い大内登山口から登ってこられた年配の単独者が木陰で寛いでいた。 単独者はUさんという地元の方で、この山には季節を問わず何度も登られているとのことだった。 積雪期は週末でも山中で出会う人は稀とのことで、お菓子を差し出しながら遠方から来た珍客を歓迎してくれた。 地元の天気予報でも昼前から晴れるとのことだったので、天気の回復を待ちながらUさんと雑談を交わす。 この山は雪の多い時にラッセルして登ると、5時間ほど掛かるとのことだった。 Uさんはとても気さくで人情味に溢れた方で、私達が予定より早く着いたことで反対側の大内登山口への縦走を決めると、途中の車道歩きは長くて大変だから、小野観音まで自分の車に乗って行くよう重ね重ね勧めてくれた。 当初予定していた荒海山は、近隣の七ケ岳と同じように災害で登山道が崩壊し、登山禁止になっていることや、今年の冬は福島県内でも遭難が多いと教えていただいた。

   風のない穏やかな山頂に30分ほど滞在したが、天気が回復する兆しがないので、再訪を誓って山頂を後にする。 下りはUさんに先導していただき大内登山口へ下る。 ザック以外はウエアーからワカンまで、全て日用品を使って登られているUさんの山慣れたスタイルを見て、登山用品で身を固めていることが恥ずかしくさえ思えた。 登山口の標高が小野観音より200mほど高いこともあり、山頂から僅か1時間ほどで大内登山口に下ってしまった。 登山口の車道の路肩に停めてあったUさんの車で小野観音の駐車場まで送っていただき、再会を誓ってUさんを見送った。 山は全く冴えなかったが、思わぬ地元の方との出会いが印象に残った山行となった。


登山口の小野観音の駐車場


南斜面の登山道には予想以上に雪が少なかった


『小野登山口』という道標がある所から杉の植林帯に入る


急坂の杉の植林帯を30分ほど登る


植林帯から自然林に変わると、ようやく積雪が10センチほどになった


天気は上へ行けば行くほど悪くなってしまった


山頂手前からは気温が急激に下がり、それと同時に積雪が一気に増えた


山頂直下では霧氷が見られた


傾斜が緩やかになったので、トレースを離れて花見をしながら歩く


山頂に近づくにつれて傾斜は殆どなくなり、まるで癒しの森のようだった


広い山頂に着く


雲に覆われた小野岳の山頂


山頂の端に置かれた祠


山頂の霧氷


Uさんに先導していただき大内登山口へ下る


大内登山口へ下る


大内登山口


小野観音の駐車場から見た大戸岳


小野観音付近に咲く福寿草


2 0 1 6 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P