2  0  1  5  年  1  0  月  

《 24日 〜 25日 》    赤沢山 ・ 武信白岩山

   川又 〜 赤沢山 〜 四里観音避難小屋(泊) 〜 十文字峠 〜 大山 〜 武信白岩山 〜 十文字峠 〜 柳避難小屋 〜 川又  (周回)

   紅葉狩りにはラストチャンスだった東北方面の天気予報が悪く、日曜日は高い山は風が強いという予報だったので、4年前の冬に栃本から赤沢山まで辿った十文字峠越えの古道を踏破することにした。 今回は川又を起点に白泰山・赤沢山・大山を経て四里観音避難小屋に泊まり、翌日は十文字峠まで縦走した後、武信白岩山をピストンして登ってから股ノ沢林道を柳避難小屋方面に下り、入川沿いの長い林道を歩いて川又へ周回する計画とした。

   国道140号線沿いの川又のバス停のある駐車場を6時半過ぎに出発。 栃本の集落の中ほどにある栃本関所跡への車道を登る。 陽当たりの良い栃本の集落からは、意外な角度で奥秩父の主脈上の古礼山などが見えた。 30分ほどで栃本関所跡に着き、三叉路を十文字峠への登山口に向けて登っていくと、間もなく登山口の道標が右手の路肩に見られた。 登山口から鬱蒼とした薄暗い植林の中を登り、地味な両面神社の脇を通っていくと、栃本広場からの車道と交差する地点に着いた。 近くには数台の車が停められる駐車スペースがあり、車が2台停まっていた。 さすがに無雪期には入山者がいるようだ。 

   車道の傍らには『白泰山線登山道入口』と記された看板があり、そこから再び登山道に入る。 しばらくすると、4年前には無かった山火事跡のような伐採地が突然登山道の南面に現れ、雁坂嶺などの奥秩父の主脈の山々が一望された。 川又のバス停から2時間半ほど掛かってようやく一里観音(幕末に起点の武州栃本から終点の信州梓山までの間に一里ごとに置かれたという石仏)に着いた。 間もなく後ろから単独の男性が足早に追い越して行った。 今日は私達と同じように避難小屋に泊まるとのこと。 標高が1400mを超えた辺りから登山道の周囲には紅葉した木々が見られるようになった。 天気が良く陽射しが強いので、数は少ないがとても色鮮やかだ。 一方、登山道からの展望は殆どなく、左手の樹間からは和名倉山が、右手の樹間からは両神山が時折垣間見られる程度だ。 縦走路から外れている白泰山(1793m)は、前回登った時に展望が全くなかったのでパスする。


 

国道140号線沿いの川又のバス停のある駐車場


陽当たりの良い栃本の集落からは、意外な角度で奥秩父の主脈上の古礼山などが見えた


栃本関所跡


十文字峠への登山口


地味な両面神社


『白泰山線登山道入口』と記された看板から再び登山道に入る


山火事跡のような伐採地が突然登山道の南面に現れ、雁坂嶺などの奥秩父の主脈の山々が一望された


一里観音


標高が1400mを超えた辺りから登山道の周囲には紅葉した木々が見られるようになった


樹間から見た両神山


    11時過ぎに中間点とも言える白泰山避難小屋の建つ二里観音に着いた。 傍らにある展望の良い『のぞき岩』には日帰りの3人のパーティーが寛いでいた。 私達もここで奥秩父の山々の展望を愛でながら30分ほどゆっくり寛ぎ、次の目標の赤沢山に向かって歩き始める。 白泰山と同じように縦走路から外れている赤沢山へは道標もないが、赤テープと薄い踏み跡を辿って山頂に登る。 赤沢山(1818m)の山頂は雑木に囲まれて展望は無いが、30mほど先の展望の利く露岩からは明日登る予定の武信白岩山も良く見えた。 知る人ぞ知る露岩で今日最後の展望を楽しんで縦走路に戻る。 

   赤沢山から先ではそれまで明瞭だった登山道の踏み跡が薄くなり、所々に付けられた古いテープを頼りに進む。 下り基調だが足が少し重たくなってきているせいか、コースタイムの目安となる三里観音になかなか着かない。 1時半過ぎにようやく人待ち顔の三里観音に着いた。 峠越えの古道らしく、次の大山(1860m)のピークも南側を巻いていく。 何度も小さなアップダウンを繰り返し、予定よりも少し遅く3時過ぎに四里観音避難小屋に着いた。

   意外にも小屋の煙突から煙が出ており、まるで営業中の山小屋のような雰囲気が漂っていた。 重い扉を開けて中に入ると、先ほど追い越していった方(Sさん)が薪を集め、新調された薪ストーブに火を入れていた。 Sさんは登山を始めてまだ3年と日は浅いが、山行回数は多くこの小屋に泊まるのは6回目ということだった。 14年ぶりに再訪した懐かしい避難小屋は、Sさんのような愛好家によって守られているようで、痛みも少なく清潔だった。 水場は小屋のすぐ先の沢で、水量も多かった。 結局今晩は私達とSさんだけで小屋は貸し切りとなり、トレランもやられているというSさんとの山の話で盛り上がった。


二里観音


白泰山避難小屋


のぞき岩から見た奥秩父の山々   中央が破風山


のぞき岩から見た赤沢山(中央右)


雑木に囲まれて展望の無い赤沢山の山頂


赤沢山の山頂付近の露岩から見た諏訪山(中央中景)


赤沢山の山頂付近の露岩から見た武信白岩山(右端)


赤沢山から先ではそれまで明瞭だった登山道の踏み跡が薄くなった



三里観音


四里観音避難小屋


避難小屋の内部


Sさんが集めた薪と新調された薪ストーブ


   翌朝はピークハントはしないが、同じルートで川又に下るというSさんと共にまだ暗い5時に避難小屋を出発。 すぐに韋駄天のSさんの姿は闇に消え、冷たい風の中を十文字峠へ向かう。 四里観音を過ぎ、股ノ沢林道と呼ばれる川又に下る登山道との分岐に荷物をデポし、その先の十文字峠から大山を経て武信白岩山に登る。 十文字峠からは奥秩父らしい鬱蒼とした針葉樹の中を歩く。 予報どおり風が強まり、早朝ということもあって冬のように風が冷たかった。 強い風に吹かれながら稜線を歩き、展望の良い大山(2225m)に着くと、山頂には霧氷が見られた。 大山から先ではさらに風が強まり、歩くペースが速くなったので、7時過ぎに目標の武信白岩山(2280m)の頂に着いた。 山頂の岩峰は登山禁止となっていたが、岩に慣れた人なら問題なく登れる。 山頂は10m以上の強風が断続的に吹いていたが、天気と周囲の山々の展望はすこぶる良く、冠雪した北アルプスの山々も遠望出来た。


 

Sさんと共にまだ暗い5時に避難小屋を出発する


四里観音


十文字峠からは奥秩父らしい鬱蒼とした針葉樹の中を歩く


展望の良い大山の山頂


大山の山頂から見た八ケ岳


大山の山頂から見た三宝山


大山の山頂には霧氷が見られた


武信白岩山の山頂から見た三宝山


武信白岩山の山頂から見た大山


武信白岩山の山頂から見た木賊山


武信白岩山の山頂から見た雁坂嶺(中央)と破風山(右)


武信白岩山の山頂から見た両神山(中央奥)と赤沢山(中央手前)


   風が強いので山頂には長居をせずに往路を戻り、誰ともすれ違うことなく8時半前に荷物をデポした股ノ沢林道との分岐に着いた。 林道とは名ばかりで分岐からの道は細く、落葉が堆積している所では古いテープを頼りながら下る。 一方、林道のように山の地形に沿って道が付けられているため、見た目よりも歩く距離が長い。 分岐から2時間ほど緩やかに高度を下げるような感じで下り、足下に股ノ沢が見えてくると、ジグザグを切りながら沢に向かって急降下する。 比較的新しい吊橋を2本渡り、11時半過ぎにようやく中間点となる柳避難小屋に着いた。 意外にも避難小屋は四里観音避難小屋とほぼ同じ造りで薪ストーブもあり、愛好家の寝袋や釣道具などが置かれていた。

    居心地の良い避難小屋でランチタイムとしていると、もう一泊ここに泊まりたくなってきてしまったが、重い腰を上げて正午に避難小屋を発つ。 避難小屋から先では再び登山道は沢から離れ、先ほどと同じように山の地形に沿って登り下りを繰り返しながら、まるで縦走路を歩いているかのように、1200m前後の高度を維持しながら進んだ。 何度も繰り返される登り返しに妻が音を上げるが、図らずもちょうどこの高さが紅葉の見頃だった。 避難小屋から2時間ほどで着いた赤沢吊橋への下降点は、避難小屋よりも50mほど標高が高かった。 下降点には道標はないが複数のテープがあり、眼下に見える沢とは反対方向の斜面を古いテープに導かれてぐんぐん下る。 沢音が近づいてくると森林軌道の残骸が見られるようになり、間もなく実質的な登山口となる赤沢吊橋に着いた。

   赤沢吊橋を渡った先が『荒川起点』とされる場所で、ここからは殆ど起伏のない入川林道を歩く。 森林軌道の跡が残る入川の渓谷に沿った林道は、それまでとは一変して良く整備された道となり、ゲートのある下流のキャンプ場や観光釣り場まで続いた。 林道は途中から舗装路となり、4時過ぎに車を停めた川又のバス停のある駐車場に着いた。 車にはSさんから「11時に無事下山しました」というメモが置かれていた。


十文字峠に建つ十文字峠小屋


林道とは名ばかりの股ノ沢林道を古いテープを頼りながら下る


股ノ沢林道は山の地形に沿って道が付けられているため、見た目よりも歩く距離が長い

<3r>

比較新しい真ノ沢吊橋


四里音避難小屋とほぼ同じ造りの柳避難小屋


避難屋の内部


避難小屋から先では再び登山道は沢から離れた


1200m前後の高さが紅葉の見頃だった


実質的な登山口となる赤沢吊橋


赤沢吊橋付近にある案内板


森林軌道の跡が残る入川の渓谷に沿った林道は、それまでとは一変して良く整備された道となった


2 0 1 5 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P