《 12日 》 明神ケ岳 ・ 七ケ岳
滝倉橋 〜 明神ケ岳 (往復)
三連休の最終日は喧噪を避け、以前から気になっていた湯西川の明神ケ岳(1596m)に登った。 地形図には登山道が記されていない山だが、『栃木百名山』にノミネートされているため、昨今の登山ブームで踏み跡は山頂直下の急斜面の笹薮を除いては明瞭で、登山口から4時間半で往復することが出来た。 湯西川の山なので紅葉はそれなりに綺麗だ。 尖った山容ゆえ、周辺の山からはすぐに同定出来るが、あいにく山頂には雑木が茂り、展望は樹間からのみだった。 『湯西川水の郷』という日帰りの温泉施設のすぐ先から舗装された林道を5キロほど入った所にある滝倉橋を渡った先が登山口となっているが、車が3台ほど停められる駐車スペースはあるものの、登山口を示すものは地味な赤テープしかなかった。
喜三郎小屋 〜 七ケ岳 (往復)
明神ケ岳を午前中に登り終えたので、午後は近隣の七ケ岳に登ることにした。 国道121号線から羽塩登山口に入る車道の入口には『災害により登山禁止』という看板があったが、とりあえず登山口まで車で行くと、登山口から1.5キロほど手前にある喜三郎小屋の三叉路で道路が通行止めとなっていた。 仕方なく通行止めの看板の手前に車を停めて正午に出発。 車道を20分ほど登っていくと、ちょうど登山口の所が土石流で埋まり、道路が完全に崩壊していた。 沢を渡った先の登山道は影響がなかったので自己責任で入山したが、羽塩ルートのシンボルとも言える平滑沢の手前も登山道が土石流で埋まっていた。 土砂の上を沢の上流に向かって歩いていくと、上から単独の男性が下ってきたのでこの先の状況を伺うと、平滑沢は水流も少なく問題なく登れるが、沢の源頭部がやはり土石流で埋まり、登山道の取り付きが分からなかったとのことだった。
とりあえず平滑沢を登ってみると、その名のとおり幅の広いナメ状の沢が標高差で200mほど延々と続くユニークな沢で、上部では木々の紅葉も綺麗だった。 水流も少ないので靴を濡らすことなく快適に登れたが、雨の日や水量が多い時期にここを通るのは危険な感じがした(災害前はロープなどがあったようだ)。 30分ほど平滑沢を登った源頭部では、細くなった沢床が土石流で埋まっていた。 先ほどの単独の男性が引き返したと思われる地点だ。 すでに土砂や岩は安定しているように思えたので、最後まで平滑沢を詰めて土石流の上を登っていくと、頭上に仰ぎ見た山肌の一部が剥げていた。 そこが以前からそうだったのか、これが災害の爪跡なのかは初めて辿るルートなので知る由もなかった。 私達もここで引き返すか否かの判断に迫られたが、先ほどの登山口の取り付きと同じように登山道さえ見つかれば登れる可能性はあるので、妻はここで引き返し私のみ時間を区切って登ることにした。
ルーファンしながら土石流の上をさらに登っていくと、運良く左手に登山道の標識が見つかり、そこからは全く問題なく山頂まで登山道を登ることが出来た。 標高差で400m近くあった山頂までの登山道をまるで水を得た魚のように僅か30分ほどで駆け登り、2時半前にすでに誰もいなくなった七ケ岳の山頂に着いた。 予報どおり天気は下り坂になってきたが、稜線付近の山肌の紅葉は見頃で、ここから下岳(七番岳)まで縦走していきたい気持ちを抑えるのに苦労する。 周囲の紅葉の風景を写真に収め、10分足らずで山頂を後にした。 山頂からは足早に登山道、土石流の跡、沢、そして車道を駆け下り、妻と約束した4時までに車に戻った。