2  0  1  5  年  1  0  月  

《 3日 〜 4日 》    越百山 ・ 仙涯嶺 ・ 南駒ケ岳 ・ 空木岳

《 3日 》

伊奈川ダム登山口 〜 越百小屋 〜 越百山 〜 仙涯嶺 〜 南駒ケ岳 〜 摺鉢窪避難小屋(泊)

   10月に入り東北の山の紅葉狩の計画をしていたが、直前の天気予報では甲信地方の方が良かったので、急遽計画を変更して中央アルプスの山に行くことにした。 今回辿った越百山から空木岳の間の稜線は何度も通っているが、摺鉢窪避難小屋には泊まったことがなかったので、避難小屋の建つ摺鉢窪のカールの底からの景色を眺めることを一番の目的に伊奈川ダムの登山口から周回することにした。

   6時に伊奈川ダムの登山口の駐車場を出発。 越百山や南駒ケ岳、あるいはその両方への日帰りの登山者が多いようで、すでに駐車場には20台ほどの車が停まっていた。 林道を40分ほど緩やかに登った福栃平の分岐から先の登山道は急坂が続いたが、良く手入れされていて登り易かった。 出発時間が一足遅かったためか前後を登る人影はなく、図らずも静かな山行となった。 避難小屋に設置された雨水タンクの情報が定かでなかったため、越百小屋の手前の水場で水を5リッターほど汲んでいく。 10時前に越百小屋に着くと、オーナーの伊藤さんがテラスにいたので、しばらく雑談を交わしながら寛いだ。 山小屋の宿泊人数を完全予約制の20人とすることで、山の喧噪を防いでいるという考え方に好感が持てた。 天気は予報以上の快晴となり、これから向かう越百山や南駒ケ岳が良く見えた。 

    越百小屋を発つと間もなく、それまで全く感じなかった風が徐々に吹き始め、山頂直下では予報どおりの強い西風が断続的に吹いていた。 予想よりも少し早く11時に越百山の山頂に着く。 山頂からは眼前の南駒ケ岳や仙涯嶺はもちろん、遠く八ケ岳や奥秩父の山々、そして南アルプスの全ての山が一幅の絵のように望まれた。 時間が許せば指呼の間の南越百山まで往復しようと思っていたが、この風では辛い。

   風の当たらない山頂の伊那側で30分ほどゆっくり寛ぎ、爆風にも近い強い風の中を仙涯嶺へと向かう。 残念ながら期待していた稜線の紅葉はすでに終わっていた。 途中、何人かの日帰りの人達とすれ違う。 強い風は一向に吹き止まず、所々にある大岩の陰で一息つきながら進む。 越百山から1時間半近く掛かってようやく仙涯嶺の山頂に着いた。 山頂のみならず周囲にも人影が無くなった。

   仙涯嶺から南駒ケ岳までの間は、登山道が風の当たらない伊那側につけられている所も多く、ようやく強い風から解放された。 南駒ケ岳の山頂手前の偽ピークから赤い屋根の摺鉢窪避難小屋が眼下に見え、2時半過ぎに今日最後の頂となる南駒ケ岳の山頂に着く。 もう何度も訪れている山頂だが、不思議といつもここは貸し切りだ。 今まで見えなかった木曽駒ケ岳や宝剣岳、そして檜尾岳などの主脈上の山々が一望され、眼前の空木岳や赤椰岳の眺めが素晴らしい。 展望をゆっくり楽しみたいところだが、再び強まり始めた冷たい風はそれを許さず、写真だけ撮って転がるように赤椰岳とのコルに向かって下る。 コルから摺鉢窪のカールの底まで標高差で150m近く下り、3時半前に今日の宿泊地の摺鉢窪避難小屋に着いた。 

   避難小屋の内部は窓が小さいため暗かったが、30人ほどが泊まれる広さがあり、すでに5人の先客が小屋の中で寛いでいた。 避難小屋の脇にはトイレ棟があり、入口の左側には新しく立派な雨水タンクが設置されていた。 タンクの中の水量は豊富で、ハイシーズン以外であれば空になることはなさそうに思えた。 カールの底に建つ避難小屋のロケーションは予想以上にユニークで、山頂や稜線に建つ避難小屋とは違う趣があって面白かった。 避難小屋のすぐ裏は崖になっていて、南アルプスの山並みが一望され、日没後は麓の飯島町の夜景が綺麗だった。


伊奈川ダムの登山口の駐車場には20台ほどの車が停まっていた


越百小屋  (23年前のGWにこに泊まった時は、左の小さな小屋しかなかった)


越百小屋から見た越百山


越百小屋付近から見た安平路山


越百山の直下から見た越百山


越百山の直下から見た御嶽山


越百山の山頂


越百山の山頂から見た甲斐駒ケ岳 ・ 仙丈ケ岳 ・ 北岳(左から)


越百山の山頂から見た荒川岳 ・ 赤石岳 ・ 聖岳(左から)


越百山の山頂から見た南駒ケ岳(左)と仙涯嶺(右)


越百山の山頂から見た南越百山


爆風にも近い強い風の中を仙涯嶺へ向かう


越百山と仙涯嶺の間から見た越百山


越百山と仙涯嶺の間から見た烏帽子岳(左端)から念丈岳(右端)までの山並み


仙涯嶺の山頂から見た南駒ケ岳(中央)と空木岳(右)


仙涯嶺と南駒ケ岳の間から見た仙涯嶺


仙涯嶺から南駒ケ岳へ


仙涯嶺から南駒ケ岳へ


仙涯嶺から南駒ケ岳へ


南駒ケ岳の山頂手前の偽ピークから見た摺鉢窪のカール


南駒ケ岳の山頂


南駒ケ岳の山頂から見た越百山(中央)と仙涯嶺(左端)


南駒ケ岳の山頂から見た空木岳


南駒ケ岳と赤椰岳のコルの手前から見た赤椰岳


南駒ケ岳と赤椰岳のコルから見た摺鉢窪のカールと避難小屋


摺鉢窪避難小屋


夕焼けの南アルプス


《 4日 》

   摺鉢窪避難小屋 〜 空木岳 〜 木曽殿越 〜 うさぎ平 〜 伊奈川ダム登山口

   翌朝は5時前に起床し、出発の準備を終えてから小屋の前でご来光の時を待つ。 南アルプスの背後が燃えるような朝焼けに染まり、6時前に北岳と間ノ岳の間からのご来光を拝んだ。 朝の柔らかい陽射しがカールの山肌を染め、期待どおりの素晴らしい景観に思わず歓声を上げる。 これに紅葉が加われば最高だろう。 今日の行程は短く急ぐ必要はないので、避難小屋の周囲でしばらくカールの景色を眺め、写真を撮り続けた。 

   再訪を誓って6時半前に避難小屋を出発。 稜線のコルまでの登り返しは全く苦にならなかった。 コルに上がると、止んだと思っていた風はまだ少し残っていた。 天気は昨日と同じくらい良かったが、なぜか御嶽山には白く厚い雲が纏わりついていた。 7時に静かな赤椰岳の山頂に着く。 木曽駒ケ岳の向こうにも白く厚い雲が見られたが、山頂を発って空木岳に向かっていると、あっという間に木曽駒ケ岳やその周囲の山々を隠してしまった。 

   意外にも空木岳の山頂は静かで、来週の三連休を前にこの辺りの山域を泊まりで訪れた人が少なかったことが分かった。 あいにく南駒ケ岳方面にも雲が取り付き始め、当初の天気予報は外れているような感じがした。 山頂で周囲の山々に取り付いている雲が取れるのを30分以上待ったが、空木岳の周囲にも雲が忍び寄ってきたので、後ろ髪を引かれる思いで木曽殿越へ下る。 まだ下山するには時間も早く、天気が良ければ木曽殿越からさらに東川岳方面へ行ける所まで進もうと考えていたが、木曽側の谷から次々と雲が湧き、午前中は同じような状況が続きそうだったので、再訪を誓って木曽殿越から伊奈川ダムへ下った。 うらぎ平からの林道は未舗装ながら以前に比べて路面の状態が良くなり、とても歩き易くなっていた。


朝焼けの南アルプス


避難小屋から見た稜線のコル


避難小屋から見た稜線のコル


避難小屋から見た南駒ケ岳


避難小屋から見た南駒ケ岳


摺鉢窪避難小屋


避難小屋の内部


摺鉢窪のカールの中央から見た南駒ケ岳


稜線のコルの直下から見た摺鉢窪のカール


稜線のコルから見た南駒ケ岳


赤椰岳の山頂


赤椰岳の山頂から見た南駒ケ岳


赤椰岳の山頂から見た空木岳


赤椰岳の山頂から見た摺鉢窪のカール


赤椰岳と空木岳の間から見た糸瀬山(左奥)


空木岳の山頂直下


空木岳の山頂


空木岳の山頂から見た南駒ケ岳


空木岳の山頂から見た空木平


空木岳から木曽殿越へ


空木岳と木曽殿越の間から見た檜尾岳


空木岳と木曽殿越の間から見た東川岳


木曽殿越付近から見た空木岳


木曽殿越とうさぎ平の間から見た空木岳


北沢に架かる吊橋


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