《 6日 〜 7日 》 常念岳 ・ 大天井岳
一ノ沢 〜 常念小屋(テント泊) 〜 常念岳 〜 常念小屋 〜 大天井岳 〜 常念小屋 〜 一ノ沢 (往復)
今週末も不安定な天気(予報)に翻弄されながら登る山を選んだが、図らずも天気の悪さが幸いし、人気の北アルプスの常念岳周辺で予想外の静かな山行が叶った。
霧雨が降りやむのを待って11時過ぎに一ノ沢登山口の駐車場を出発。 駐車場には10台以上の車が停まっていたが、すでにお昼近くになっているので周囲に人影はない。 一ノ沢のルートは8年前の11月に常念岳へ日帰りで行って以来だ。 予報では午後から天気は回復するとのことだったが、一向にその気配はなく、逆に途中から再び霧雨となってしまった。 霧雨は1時間ほどで止んだが、その後も常念乗越(常念小屋)まで一度も陽が射すことはなかった。 一方、気温が低かったので、この時期にしては珍しく暑さを全く感じなかった。 登山道を覆う残雪も殆どなくなり、登り下りともアイゼンの出番はなかった。 途中で常念岳への日帰りの登山者を中心に10人以上の人とすれ違った。
3時半前に霧に煙る常念乗越(常念小屋)に到着。 槍ケ岳はおろか常念岳の山頂すら見えない。 夕方の天気次第では常念岳の山頂で夕焼けショーを楽しもうかと思ったが、結局日没近くまで山々は雲や霧に包まれていた。 天気が良くなかったことが幸いし、幕場もテントが7〜8張しかなく、私達の後から到着する人もいなかった。
翌朝は昨日の悪天が嘘のように未明から快晴の天気となり、空には月がこうこうと輝いていた。 放射冷却で気温は氷点下となり、テントが霜で真っ白になっていた。 3時半過ぎに幕場を発ち、常念岳の山頂へ向かう。 前方には山頂でご来光を見ようとする人たちのヘッドランプがいくつか揺れている。 風も無く予想外の良い天気となりそうで足取りは軽い。 関東方面には雲が多く、ご来光は日の出の時間よりも少し遅れて雲上からとなったが、山頂直下の肩から拝むことが出来た。 5時前に山頂に着き、居合わせた人と共に360度の大展望に歓喜する。 何度となく良い天気の日に登っている山だが、今日はその中でも一番良い天気と展望かもしれない。 陰から陽へ刻々と変化する山々の表情を楽しみながら1時間近く山頂に腰を据え、5時半過ぎに山頂を発って幕場に戻った。
朝食を食べてから6時半過ぎに幕場を出発し、常念岳とは反対方向の大天井岳へ向かう。 今日も中途半端な時間に出発したことが幸いしたのか、途中ですれ違う人も少なく、縦走路はまるで平日のような静かさだった。 常念岳からの展望を優先させたので、大天井岳は消化試合的な面もあったが、北に行けば行くほど天気は良くなり、梅雨入り前にもかかわらず秋晴れのような澄んだ青空の下での稜線漫歩となった。 陽射しは強いが気温が低く、まるでGWの頃のような爽やかな陽気だ。 所々でつがいの雷鳥の姿が見られたが、どれも警戒心が弱い感じがした。
労せずして9時過ぎに誰もいない大天井岳の山頂に着く。 もともと展望の良い頂だが、眼前の槍ケ岳はもちろん、裏銀座の山々や立山と剱、そして後立山の山々が青空の下に一望され、予想以上の素晴らしい展望に何も言うことはない。 快晴無風の山頂で30分以上寛いでから、燕岳方面から縦走してくる登山者に山頂を譲って往路を戻る。 先ほどとは逆に南に行けば行くほど天気は悪くなり、常念岳は昨日のように霧に飲み込まれようとしていた。
正午前にすでに誰もいなくなった幕場に戻り、テントを撤収して一ノ沢のルートを下る。 昨日と同じように霧で陽射しがなくなり、涼しくてちょうど良かった。 また、中途半端な時間に幕場を出発したことが幸いし、すれ違う人も殆どいなかった。