《 23日 〜 24日 》 小朝日岳 ・ 大朝日岳 ・ 西朝日岳 ・ 竜門山 ・ 鳥原山
古寺鉱泉 〜 古寺山 〜 小朝日岳 〜 大朝日岳 〜 大朝日小屋(泊) 〜 西朝日岳 〜 竜門山 〜 大朝日小屋 〜 小朝日岳 〜 鳥原山 〜 古寺鉱泉 (往復/周回)
一足早い梅雨前線の影響で甲信地方の天気が日曜日に悪いという予報だったので、急遽東北地方の山に出掛けた。 今年は残雪が少ないので、花を期待して朝日連峰の主脈の山に登ったが、残念ながら稜線上に花は殆ど咲いてなかった。 一方天気は予報以上に良くなり、二日続けて快晴の天気に恵まれ、白と緑のコントラストが美しい残雪期の山々の展望を充分楽しむことが出来た。 大井沢と日暮沢の間の林道が土砂崩れで長期通行止めのため、今回は古寺鉱泉から入山し、図らずも新旧を通して初めてとなる大朝日小屋に泊まることになった。
7時半に古寺鉱泉の広い駐車場を出発。 駐車場にはすでに10台ほどの車が停まっていた。 予報どおり快晴の天気だが風が強い。 一方これが幸いし、暑さや虫に苛まれることなく清々しい気分で新緑の木々の中を登ることが出来た。 秋には何度も訪れている朝日連峰だが、古寺鉱泉から登るのは初めてだった。 タムシバの白い花が青空に映える。 日暮沢からのルートとの分岐の手前にある『一服清水』の水場は出ていたが、大朝日小屋の手前の『銀玉水』に期待して水は汲まなかった。 日暮沢からのルートと合わさると間もなく残雪が尾根を覆い始めた。 木々が疎らになると、月山や障子ケ岳、そして清太岩山の奥に以東岳が見えた。 古寺山の山頂直下は急斜面で6本爪のアイゼンを着ける。 古寺鉱泉から3時間ほどで中間点の古寺山(1501m)の山頂に着いた。 地味ながら展望の良い山頂でゆっくり寛ぎ、アイゼンを外して指呼の間の小朝日岳(1647m)へ向かう。 山頂を通らない巻き道の入口は登山道が出ていたが、その先は残雪の長いトラバースとなるので、予定どおり小朝日岳の山頂を越えていくことに迷いはなかった。
小朝日岳を過ぎると登山道が完全に露出し、大朝日小屋の手前の『銀玉水』の水場までは残雪を踏むことはなかった。 シラネアオイが僅かに咲いていた熊越と名付けられた鞍部を過ぎてからは風が一段と強まり、日帰りの登山者6〜7人と次々にすれ違った。 『銀玉水』から先は再び残雪が広い尾根を覆い、期待していた水場はまだ雪の下だった。 銀玉水から先の残雪の急斜面を先行者のステップに助けられて登り、古寺鉱泉から6時間ほどで大朝日小屋に着いた。 小屋にはすでに数人の登山者が寛いでいたが、そのうちの一人は管理人さんだった。 『金玉水』のある中岳との鞍部はまだ残雪に覆われていた。
まだ陽も高く、竜門小屋まで足を延ばすことも出来たが、稜線の風が強くて落ち着かず、水の残量も少なかったので、今日は予定どおりこの小屋に泊まることにした。 小屋の二階に荷を解いてから小屋の裏手の大朝日岳(1871m)の山頂に向かう。 午後に入っても快晴の天気は続き、山頂からは飯豊も良く見えた。 祝瓶山は本来なら今頃が旬だろうが、今年は残雪が少なく黒々としていた。 朝日連峰の主脈の山々は純白の春山とはまた違った趣で、白と緑のコントラストが美しい残雪期特有の山肌の模様が印象的だった。 小屋に戻り、中岳との鞍部へ水作り用の雪を取りにいく。 雪を集めて小屋に戻ろうとした時、定年後は朝日岳周辺をホームグラウンドにしているという年配の方が小屋から下ってきて、鞍部から雪渓を100mほど下った所にある沢の源頭を教えてくれた。 沢の水音を頼りに雪を少し掘ると、そのすぐ下には雪解け水が勢いよく流れていた。
夕食を早めに済ませ、夕焼けショーを楽しむため再び小屋の裏手の大朝日岳の山頂に登る。 予報に反して風はますます強くなってしまったが、快晴の天気は続き、西朝日岳の肩に沈む夕陽と刻々と変化する空の色を堪能しながら至福の時を過ごした。 夜中も強い風は吹き止まず、小屋の窓などを叩く音がうるさかった。
翌朝は4時前に小屋を出発し、西朝日岳へ向かう。 風はまだ少し吹いていた。 小屋から少し下った鞍部から中岳への登山道は残雪に覆われていた。 山頂直下の雪が硬かったのでアイゼンを着けていると東の雲海からのご来光となった。 上空には雲もなく、予報よりも天気は良さそうだ。 中岳(1812m)を過ぎてからの下りでは尾根が痩せて登山道が露出していたが、西朝日岳との広い鞍部は再び残雪が登山道を覆っていた。 鞍部から西朝日岳へは登山道と残雪を半々くらい登り、5時半に西朝日岳(1814m)の山頂に着いた。 紅葉シーズンとは違い、辿ってきた大朝日岳方面や竜門山方面への縦走路には全く人影はない。
天気予報は良い方に外れ、今日も快晴の天気となったので、私のみ竜門山まで足を延ばすことにした。 西朝日岳から竜門山の間の縦走路には一片の残雪も見られなかったが、期待していた花は峰ザクラのみで、ハクサンイチゲが僅かに見られただけだった。 竜門山の直下で竜門小屋に泊まられたという単独の登山者とすれ違った。 昨夜は小屋は貸し切りだったとのこと。 花と戯れることもなかったので、竜門山へは西朝日岳から1時間足らずで着き、少しだけ大きくなった以東岳と、それとは反対に小さくなった大朝日岳の写真だけ撮ってトンボ返りで往路を引き返した。
8時に妻の待つ大朝日小屋に戻ると、管理人さんは一足先に下山されたとのことで、誰もいなくなった小屋はガランとしていた。 荷物をパッキングして9時前に大朝日小屋を発つ。 天気は相変わらず快晴で昨日以上に良い。 昨日と比べて風が弱いので暑くなってきた。 銀玉水を過ぎると、日帰りの登山者が次々と登ってきた。 熊越の鞍部から小朝日岳へは標高差200m弱の急登が続く。 天気が良いので小朝日岳からは予定どおり鳥原山経由で古寺鉱泉へ下ることにした。 山頂からしばらくは登山道が出ていたが、間もなく残雪が登山道を覆うようになり、先行した同宿者のものと思われる新しいトレースが見られた。 所々で樹林帯の登山道に入ると、咲いたばかりのタムシバやカタクリなどの花が見られ、ナナカマドの新緑が目に鮮やかだった。 20年ぶりの鳥原山(1430m)の山頂は記憶のかけらもなかったが、笹薮の切り裂きに三角点が置かれているだけの地味な頂だった。
鳥原山の山頂から広い残雪の斜面を下ると、朝日鉱泉との分岐に湿原と池塘があり、水芭蕉が咲いていた。 分岐から古寺鉱泉へは初めて辿る道だったが、登山道が尾根通しにつけられていないため、所々で残雪に覆わている所が分かりにくかった。 途中の『田代清水』の水場は出ていた。 水場から先も残雪でルートが分かりにく所があり、ぶな峠登山口との分岐となる畑場峰がその最たるものだった。 同宿者の新しいトレースに助けられ無事古寺鉱泉への登山道に導かれ、まだ陽の高い2時に古寺鉱泉の広い駐車場に着いた。