《 25日 〜 26日 》 桑ノ木山 ・ ネコブ山 ・ 下津川山
三国川ダム管理所 〜 十字峡 〜 桑ノ木山 〜 ネコブ山(テント泊) 〜 下津川山 (往復)
巻機山から越後三山への上越国境の山々の縦走は、有給休暇を使えない週末ハイカーの私にとってGWしか行くことが出来ないが、この時期は晴天が続かなかったり雪が少なかったりで、10年以上も計画倒れになっていた。 この状況を打破するため、今回はその核心部の下津川山(1927m)と小沢岳(1946m)に十字峡から桑ノ木山(1495m)とネコブ山(1794m)を経て登ることにした。
関越道の塩沢石打SAに前泊し、6時に三国川ダムの管理所の駐車場を出発。 駐車場には他に3台の車が停まっており、雑談を交わした練馬ナンバーの単独の男性の方が先行していった。 今日は桑ノ木山の山頂に泊り、ネコブ山に登られるとのこと。 桜が咲いているしゃくなげ湖右岸の車道を4キロほど先の十字峡まで歩く。 雪崩の危険がある車道は除雪がされておらず、まだ半分以上が雪で覆われていた。 駐車場から1時間少々で十字峡に着き、橋を渡った先にある入口が半分雪崩で塞がれた十字峡トンネルを抜け、右手の導水管の脇の階段を登る。 階段の取り付きは雪で埋まっていたので、右側の藪の急斜面を木の枝を掴みながらしばらく登り、階段の継ぎ目から取り付いた。 階段は上に行くほど老朽化が酷く、コンクリートがボロボロに剥げていた。 階段の終点には小さな管理小屋があり、そのテラスで一息入れる。 標高はまだ600mほどしかない。 あいにくの春霞で雲も多いが、眼前の阿寺山や八海山の眺めが良い。
8時半前に管理小屋を出発し、崖の右側から20mほどの急な岩場を攀じ登ると、しばらくはやや明瞭な踏み跡が痩せた尾根どおしに見られた。 残雪は尾根の左側の斜面に見られ、時期がもう少し早ければ雪の上を快適に登れるかもしれない。 踏み跡は破線の登山道のような感じだが、尾根が痩せているので注意深く歩けば道に迷うことはない。 それゆえかテープ類は殆どなかった。 標高920m付近で傾斜が緩むと、ようやく尾根上にも残雪が見られた。 ここは休むのにもちょうど良い場所だ。 ここからアイゼンを着け、先行者の新しいトレースを辿る。 987m地点の岩塔は右から巻き、そのまま尾根の右側の斜面の残雪を拾って登る。 残雪が途切れた所から尾根に戻ると、尾根は再び痩せて傾斜が増し、残雪は再び尾根の左側の斜面だけとなった。 意外にも尾根上の踏み跡は登山道のように明瞭だったので、アイゼンを着けたまま踏み跡をしばらく登ることにした。
標高1120m付近で再び傾斜が緩むと、ようやく尾根全体を残雪が覆うようになり、その先の1196m地点からは展望が一気に開け、それまでとは一変して気持ちの良い雪稜歩きとなった。 日向山の奥に中ノ岳と越後駒が見えるようになり、背後の八海山はますます凄みを増してきた。 おおらかな桑ノ木山の山頂も望まれるようになった。 左手の丹後山から本谷山へのたおやかな国境稜線は残雪が少なく黒々としている。 1338m地点からは憧れの下津川山が見え、桑ノ木山への緩やかな登りが続いた。 寒気の影響で雲は多いが、登るにはちょうど良い天気だ。 先行者の姿が前方に見えるようになり、桑ノ木山の山頂直下で初めて重厚なネコブ山が姿をあらわした。
ほぼ予定どおり正午ちょうどに桑ノ木山の山頂に着く。 駐車場で出会った方は今日中にネコブ山を登られるとのことで、サブザックを背負って再び先行していった。 私達は平らでだだっ広い山頂でゆっくりランチタイムとし、12時半前にネコブ山に向かう。 山頂から緩やかに少し下ってからネコブ山への登りに入る。 右手には巻機山が大きく望まれるようになった。 ネコブ山へのルートは明瞭だったが、尾根の残雪が予想よりも少なく、所々で藪を迂回しなければならないので煩わしい。 残雪も割れ目が多くなり、先ほどまでの快適な雪稜歩きとはいかなかった。 一方、寒気が抜けて天気は尻上がりに良くなり、空の青さが濃くなってきた。 途中で日帰りの若い男性の単独者とすれ違い、しばらくすると先ほどの方とすれ違った。 後続のパーティーの姿は見えず、今日ネコブ山に登る人はもういないようだ。 本谷山の向こうに平ケ岳が見えるようになると、ネコブ山の東端(1774m)に着き、トレードマークの山頂の瘤(こぶ)に向かって緩やかな頂上稜線を漫歩する。 下津川山がその全容を披露し、その右隣りに初めて小沢岳が見えた。
2時半に待望のネコブ山の山頂に着く。 一昔前に岳人誌が選定して話題になった『マイナー12名山』の一峰だ。 山頂から先には予想どおりトレースはなかった。 雪の剥げた瘤の上に登る。 越後三山の眺めが特に素晴らしい山頂は360度の大展望で、燧ケ岳や至仏山、そして谷川岳から巻機山を経て越後三山へと通じる上越国境の山々が一望され、疲れも一気に吹っ飛んだ。 明日登る下津川山へのルートも良く見えたが、尾根の残雪は乏しく所々で藪が出ていた。 瘤のすぐ脇には平らで快適なテントサイトがあり、風は明日にかけても弱いという予報だったので、迷わずそこにテントを設営する。 予想以上に素晴らしいロケーシュンの幕場で嬉しくなった。 明日のルートの下見をしたり、水を作ったり、写真を撮ったりしていると、もう夕食の時間となった。
明日の好天を約束するかのように、いつの間にか雲一つない快晴の天気となり、アーベンロートに染まる山や空を眺めながら至福の時を過ごす。 7時過ぎには横になったが、“好事魔多し”の諺どおり春の天気は変わり易く、しばらくすると強い風がテントを叩き、日付が変わっても吹き止まなかった。




































2時頃になってようやく風が収まって安堵する。 再び風が吹き始めないことを祈りながら僅かに熟睡し、明るくなるのを待って4時半過ぎにネコブ山の山頂の幕場を出発。 昨日下見で付けた自分のトレースをしばらく辿り、下津川山への尾根を歩き始める。 尾根は顕著で分かり易いが、所々藪で分断されているのが良く分かる。 朝焼けの山々が美しいが、最終目標の小沢岳には不気味な雲が取り付いていた。 山頂から標高差で100mほど緩やかに下った鞍部から1713m地点への登り返しは早くも藪となったが、意外にも藪には踏み跡があり、また藪の背丈は腰よりも低く、見た目よりは歩き易かった。 巻機山がモルゲンロートに染まり始めると間もなくご来光となった。
1713m地点から先は登り基調となったが、最初のうちは藪の部分が多く、ネコブ山と下津川山の中間点辺りから先でようやく尾根の左側の残雪を使って登れるようになった。 下津川山手前の偽ピークからは一旦少し下って山頂への広い雪稜を登る。 山頂は笹藪に覆われていたが、先ほどのような踏み跡は見当たらなかったので、直登せずに左から巻くように藪に入ると、すぐに本谷山からの稜線に出た。 稜線には残雪が見られ、数日前の縦走者のトレースがあった。 稜線の残雪を僅かに登り、少しだけ背丈ほどの笹藪を漕ぐと、三角点の置かれた猫の額ほどの狭い下津川山の山頂に飛び出した。
予想よりも少し早い7時前に山頂に着いたので、憧れの山頂からの大展望を充分満喫してから指呼の間の小沢岳に向かう。 小沢岳を覆っていた不気味な雲はようやく無くなった。 見た目には1時間足らずで小沢岳に着きそうに思えたが、意外にも主脈の縦走路はハイマツの藪が酷く、足下に踏み跡はあるものの、痩せた尾根の藪漕ぎは下りでも困難を極めた。 ここを往復しなければならないと思うと気が滅入る。 想定外の藪との格闘が登頂へのモチベーションを萎えさせ、時間にはまだ余裕があったが、雪の多い時期に再訪することを誓って下津川山に引き返す決断は早かった。
小沢岳に行かなかったので、予定よりもだいぶ早く8時過ぎに下津川山の山頂を辞してネコブ山に戻る。 下津川山には誰も登ってこないと思ったが、間もなく若い男女のパーティーとすれ違った。 男性の方と雑談を交わすと、これから国境稜線を丹後山方面に縦走し、大水上山から平ケ岳を経て尾瀬に縦走されるとのことだったが、下山後にそのパーティーの女性の方が山仲間の田口さんの知り合いということが分かった。 往路では煩わしいと思った稜線の藪も、先ほどのハイマツの藪と比べたら全く可愛いものだった。
10時過ぎにネコブ山の山頂の幕場に戻り、テントをゆっくり撤収して11時半に山頂を発つ。 途中で日帰りの地元の山岳会の男女4人パーティーと単独の男性とすれ違った。 マイナー12名山のネコブ山は今やメジャーな山になりつつあるように思えた。 午後に入ってからも澄みきった青空は続き、桑ノ木山の山頂を経て十字峡への下りでは越後三山を正面に眺めながら至福の時を過ごした。
987m地点の岩塔まで残雪の急斜面を下ることは出来たが、早めにアイゼンを外して導水管上部の管理小屋まで痩せ尾根を下り、導水管の脇の階段を下って4時に十字峡へ着いた。 しゃくなげ湖右岸の車道をフキノトウを摘みながら歩き、三国川ダムの管理所の駐車場には5時過ぎに着いた。














































