《 12日 》 会津駒ケ岳 ・ 大戸沢岳 ・ 三岩岳
滝沢橋 〜 会津駒ケ岳 〜 大戸沢岳 〜 三岩岳 〜 国体コース登山口 (縦走)
山仲間のハイジさんからのお誘いで、二週続けて登った南会津の山に再び行くことになった。 ルートは会津駒ケ岳から大戸沢岳を経て三岩岳への縦走ということに決まったが、出発直前に山仲間のセッちゃんから三岩岳に登る計画をしていたとの連絡があり、皆で同じルートを歩くことになった。
道の駅『番屋』に前泊し、翌朝三岩岳の登山口の小豆温泉のスノーシェッド手前の路肩の除雪されたスペースに車を1台デポし、会津駒ケ岳の登山口の滝沢橋に向かう。 滝沢橋手前のテニスコートの駐車場に車を停めて5時過ぎに出発する。 駐車場にはすでに10台ほどの車が停まっていた。 ノーブランドの三岩岳と百名山の会津駒ケ岳の人気は歴然だ。 滝沢橋から雪に埋もれた川沿いの車道を10分ほど歩いた所で車道をバイパスする冬道に入り、再び車道と交差した所で6本爪のアイゼンを着け、明瞭なトレースを辿って広い沢状のやや急な斜面を登る。 山肌に朝陽が当たって美しい。 昨日の雨による濃霧を心配していたが、朝から快晴の良い天気となり足取りは軽い。 間もなく雪庇の落ちた顕著な支尾根に乗り、出発してから1時間半ほどで無木立のヘリポート跡に着く。 右手からの登山道と合流し、幅の広いブナの尾根を緩やかに登っていくと、左へ少し曲がる地点から尾根はやや顕著になり、目指す大戸沢岳(2089m)が右手の樹間から見えた。 今のところ風は全くなく、予報どおりの穏やかな登山日和に心が弾む。
ブナ林からシラビソの樹林帯に変わると、左手の樹間から燧ケ岳、至仏山、笠ケ岳、平ケ岳、中ノ岳などが順次見えるようになった。 新雪がうっすらと積もった重厚な会津駒ケ岳の丸い頂が指呼の間に望まれるようになった所で山々の展望を愛でながら一息入れる。 トレースは登山道どおり駒ノ小屋方面についていたので、敢えて山頂方面へのトラバースはせずに駒ノ小屋を経由して山頂に向う。 山小屋は予想以上に雪から出ていた。 駒ノ小屋から先の頂上稜線では越後駒ケ岳や未丈ケ岳も見えるようになり、軽い足取りは一層軽くなった。 山頂手前で下山してきた4人のパーティーとすれ違い、予定よりも少し早く9時半過ぎに会津駒ケ岳の山頂に着いた。 ちょうど山頂に居合わせた山岳会の方々と写真を撮り合う。 意外にも山頂の大きな標柱は昨年の同時期よりも50センチほど雪から出ていた。 快晴無風の山頂からはこれから向かう大戸沢岳と三岩岳が並んで見え、尾瀬、南会津、奥利根、奥只見、上越国境、頸城、日光、那須、飯豊連峰に至るまで枚挙にいとまがないほど沢山の山々が見渡せた。
山頂で30分ほどゆっくり寛ぎ、アイゼンからスノーシューに履き替えて大戸沢岳へ向かう。 意外にも新しい単独者のトレースがあった。 大戸沢岳まではたおやかな広い尾根でルーファンの必要は全く無い。 途中の2098m峰は左から巻いていく。 雪の状態が良かったので、会津駒ケ岳から1時間足らずで大戸沢岳の山頂に着いた。 大戸沢岳を滑るスキーヤーの姿はなく、貸し切りの山頂直下でこれから向かう三岩岳方面の山々を眺めながらのんびり寛ぐ。
11時半前に大戸沢岳を発ち、三岩岳への縦走を続ける。 ここから先は二週間前に往復したばかりなので、ルートや風景の記憶は鮮明だ。 1918mの鞍部まで下ると、三岩岳から縦走してきた3人のパーティーと樹林越しにすれ違った。 鞍部から2057m峰への登り返しでは照り返しが強烈で、顔がジリジリと焼けてくるのが分かるほどだった。 尾根の南斜面の雪は一部が剥げ落ち、二週間前と比べて雪庇はだいぶ丸くなり、雪も少し汚れてきたが、稜線からの山々の展望は何度見ても飽きないほど素晴らしい。 2057m峰で汗で濡れたシャツを着替え、たおやかな2060m峰を経て最後のピークの三岩岳へ向かう。 予定よりもだいぶ早く、1時過ぎに三岩岳の傍らの平らな広場に着いた。 三岩岳の山頂にはもう誰もおらず、3時間前に発った会津駒ケ岳の山頂は遥かに遠くなった。
予報どおり風の全くない日溜りのような広場で最後の展望を充分満喫し、2時前に重い腰を上げて三岩岳の山頂を踏んで登山口へ下る。 意外にも三岩岳の山頂の雪は溶け、標柱が完全に見えていた。 途中の避難小屋もだいぶ雪から出ていて、もうじき使えそうだった。 国体コースのブナ林の尾根の雪は下るには都合良く腐っていたので、途中からスノーシューを外して下る。 899mの電波塔の先の登山口への急斜面では登山道が所々で露出していたので、これを繋ぎ合わせながらアイゼンを着けずに下り、まだ陽の高い4時半前に国道の路肩に停めた車に戻った。 登山口の滝沢橋にデポした車を回収し、『駒の湯』で汗を流して帰途についた。