《 28日 》 三岩岳 ・ 大戸沢岳
国体コース登山口 〜 三岩岳 〜 大戸沢岳 (往復)
先週と同じように甲信地方よりも東北地方の方が天気が良さそうだったので、南会津の大戸沢岳(2089m)か窓明山(1842m)のいずれかを日帰りで登ることにした。 泊まりで行ければその中間にある三岩岳(2065m)の三山を登ることが出来るが、春の天気は変わり易く好天は二日続かないようだ。
道の駅『番屋』に前泊して翌朝登山口の小豆温泉に向かう。 気温はマイナス7℃と予想以上に低かった。 小豆温泉のスノーシェッド手前の路肩には登山者用に除雪されたスペースがあり、車が1台停まっていた。 その車の方と雑談を交わし、5時半過ぎにその方の後から登り始める。 図らずもその(ボーダーの)方とはその後ずっと相前後しながら登ることになった。 国体コースの登山口の案内板はまだ雪の下で、天気の良かった昨日の新しいスキーのトレースを辿って899mの電波塔への急斜面を登る。 つぼ足のままで登るつもりでいたが、踏み抜く回数が多くなったので途中からスノーシューを履き、出発してから40分ほどで顕著な尾根の末端に建つ電波塔に着いた。 ここから先は昨年の4月にも同じルートで三岩岳に登っているのでルーファンの必要は全くない。 尾根上の雪は適当に締まっていたので、スキーよりもスノーシューの方が登り易い。 三岩岳の山頂が良く見えるようになる1100m地点から1308m峰まではブナ林の気持ちの良い登りが続く。
天気は予想よりも少し悪く、空には白い雲が浮かんでいた。 三岩岳の背後の空も白く濁っている。 それとは無関係に妻のペースが予想以上に上がらず、今日はより遠くの大戸沢岳に行くのは諦め、窓明山へ行くことになるような予感がした。 1308m峰の山頂直下をトラバースし、その先の三岩岳までの中間点となる新道コースとの分岐で大休止する。 ブナからシラビソに変わる1699m峰への登りからは風が一時的に強くなったが、1699m峰を過ぎて傾斜が緩むと風も収まり、天気もやや回復してきた。 窓明山方面への分岐付近で天気の様子を窺いながら一息入れていると、三岩岳の背後にも青空が見えるようになってきたので、とりあえず三岩岳へ登り、そこから天気と時間に応じて大戸沢岳に行くか引き返して窓明山へ行くかを決めることにした。
先ほどまで吹いていた風のお蔭で、稜線の雪は予想以上に良く締まっていて歩き易かったが、それでも妻のペースは上がることはなかった。 屋根の一部だけが僅かに見える避難小屋の脇を通り、先行するボーダーの方の後を追う。 予報以上に気温が上昇し始め、まるでGWのような暖かさとなった。 ボーダーの方に道を譲られ、三ツ岩を左手に見ながら直登する。 傾斜が緩み山頂が見えてくると、意外にも山頂に人がいるのが見えた。 この時期に違うルートから登れるのはきっと常連さんに違いない。 予定よりも少し遅れ、11時過ぎに三岩岳の山頂に着いた。
早速山頂で寛いでいたスキーヤーの方に登ってこられたルートを尋ね、しばらく雑談を交わしていると、私が時々拝見しているHPの筆者で、この山域の山スキーのエキスパートの恒さんだということが分かって驚いた。 心配していた天気は予報以上に良くなり、前回は破天荒のため何も見えなかった山頂からは、指呼の間の大戸沢岳はもちろんのこと、中ノ岳・越後駒・荒沢岳の三山の展望が特に素晴らしく、窓明山から続く稜線の先に鎮座する丸山岳の背後に守門岳・浅草岳・粟ケ岳・矢筈岳・御神楽岳といった新潟の名峰が見え、飯豊連峰も窓明山の背後に鮮明に見えた。
午後も天気が安定しそうだったので、下大戸沢へ颯爽と滑っていく恒さんを見送り、11時半過ぎに山頂を発って大戸沢岳に向かう。 すぐ先に平らな広場があり、そこから次のピークの2060m峰へは雪庇の発達した広い無木立の尾根を下り、大らかな鞍部から緩やかに登り返す。 展望の良い2060m峰から次の2057m峰へはさらに緩やかな純白の広い尾根を漫歩する。 尾根の両側にはおびただしいほどの数の山々が見られ、期待以上の大展望に足取りも軽い。 三岩岳から大戸沢岳へはトレースがなく、途中誰にも出会わないと思ったが、2057m峰からの下りで会津駒方面からスノーシューで縦走してきた若い単独者とすれ違った。 午後に入り気温の上昇で雪が重くなってきたが、この方のトレースにも助けられ大戸沢岳への最後の登りにかかる。 ここまでの大展望で充分満足したという妻を山頂の肩に残し、長い頂上稜線を一番標高の高い所まで登る。 1時半過ぎにもう誰もいなくなった大戸沢岳の山頂に着く。 燧ケ岳と会津駒が並んで見え、このままさらに先へと縦走していきたい気持ちを抑えながら、トンボ返りで山頂を後にする。 気温はさらに上昇し、暖かいを通り越して暑いとさえ思えるほどとなった。
3時半前にようやく三岩岳の傍らの平らな広場に着く。 なぜこちらを山頂としなかったのか不思議だ。 三岩岳の山頂にはもう誰もいないが、本当に明日は天気が下り坂なのかと疑いたくなるほどこの時間になっても山々の展望はクリアーだった。 疲れた足を労りながらゆっくりと寛ぎ、三岩岳の山頂を踏んで登山口へ下る。 今日登れなかった窓明山を見ていると、次回は是非窓明山に泊まり、その先の坪入山(1774m)・丸山岳(1820m)方面へ縦走してみたいと思った。 電波塔からの急斜面はアイゼンを着けて下り、まだ明るさの残る6時に国道の路肩に停めた車に戻った。