2  0  1  5  年    3  月  

《 21日 〜 22日 》

    七面山 ・ 八紘嶺

  羽衣 〜 敬慎院 〜 七面山 〜 希望峰(テント泊) 〜 1964m峰 〜 1810m峰 〜 八紘嶺  (往復)

   ようやく冬型も緩み、春らしい気候となってきたので、以前から何度も計画倒れになっていた希望峰から八紘嶺の間の未踏破の稜線を歩くことにした。 この区間の稜線は樹間が詰まっているため展望がないということらしいが、果たしてそのとおりなのだろうか。

   中央道の『境川PA』に前泊し、翌朝七面山の登山口の羽衣に向かう。 途中から予報にはなかった雨が降り出してしまったので、予定よりも遅く8時過ぎに敬慎院の表参道を登り始める。 お彼岸中ということもあり、山上の敬慎院に泊まっている人の車が周辺の駐車場に多く見られた。 雨は止んだが、風で飛ばされた雨水が枝から落ちてくるのが煩わしい。 途中3か所ある休憩所や数100m毎にある屋根付のベンチにお世話になりながら休み休み登る。 表参道は観光地で落ち着かないが、図らずも天気の悪い今日はむしろ好都合だった。 標高1300m付近から上では参道の雪がカチカチに凍っていて登りにくかった。 間もなく昨日敬慎院に泊まった人が次々と下山してくるようになった。 朝方の雨と気温の上昇により霧が湧き始め、山門(和光門)から先では視界が10mほどとなってしまった。

   正午前に敬慎院に着き、随身門付近で霧が晴れるのを待ちながら1時間近く大休止する。 敬慎院で炊事用の水を少しいただき、七面山の山頂へ向かう。 まだ雪の深い七面山に登る参詣者はそれほど多くなく、トレースはあるものの、途中2人の人とすれ違っただけで、七面山(1983m)の山頂には誰もいなかった。 予想どおり七面山の先にはトレースが無かったので、ここからスノーシュー(妻はワカン)を履いて希望峰へ向かう。 天気は徐々に回復し、ようやく青空が少し見えるようになった。 3時に人待ち顔の希望峰(1980m)の山頂に着く。 七面山からは40分ほどを要した。 山頂は七面山から八紘嶺の間で一番展望が良いが、今日は霧のため笊ケ岳すら見えない。 

   希望峰の山頂のすぐ先から尾根を外れ、左の窪地に向けて急坂を僅かに下る。 6年前に希望峰に登った時に下見をしておいた尾根の乗り換え地点が今日の幕場だ。 乗り換え地点は舟窪地形となっていて、陽射しには恵まれないが、風は全く当たらない。 テントを設営してから明日の下見とトレースを付けに、尾根に取り付いてしばらく先に進む。 乗り換えた後の尾根は顕著で、前回の記憶どおりテープ類が頻繁にあることも分かった。 幕場は快適で暖かく、夜中のテント内の温度は2℃で水も凍らなかった。


敬慎院の表参道の入口


表参道を登る


数100m毎にある屋根付のベンチ


途中3か所ある休憩所


標高1300m付近から上では参道の雪がカチカチに凍っていて登りにくかった


霧に煙る和光門


敬慎院の随身門


敬慎院から七面山へ


七面山の山頂


樹間から見た希望峰


希望峰の山頂直下


希望峰の山頂


幕場とした尾根の乗り換え地点


   八紘嶺までの往復は8時間と予想し、翌朝5時過ぎにスノーシュー(妻はワカン)を履いて幕場を出発。 昨日下見に行った所から先も尾根は顕著で、暗くてもルーファンで足が止まることは殆ど無かった。 南の空が明るくなり、樹間から辛うじて淡い富士山が見えた。 積雪と雪質は尾根の地形と向きにより千差万別で、登山道が出ている所もあり、予想どおり時間が掛かった。 意外にも最初の顕著な鞍部に、今まで無かった古いワカンの跡が見られた。 その先の二つ目の顕著な鞍部から最初のピークの1964m峰に登り返す。 八紘嶺までの所要時間の目安となる1964m峰へは幕場から1時間半ほど掛かった。 山頂からは八紘嶺や青笹山が樹間から僅かに見える程度で、残念ながら南アルプスの主脈の展望は全くなかった。 

   1964m峰からはインクラ跡(1796m)に向けて下り基調となり、山頂直下の急坂を下る。 尾根が広くなると小規模ながら二重山稜になっている所が二か所あり、ルーファンに少し苦労した。 顕著なコルとなっているインクラ跡には予想よりも少し早く8時前に着いた。 インクラ跡からは尾根がさらに広くなり、積雪も増してスノーシューでは歩き易くなった。 八紘嶺が間近に迫る1820m峰の山頂は縦走路中一番広く開放的で、南アルプスの山々が樹間から僅かに見えた。 目標の八紘嶺に手が届くことが分かったことで気が緩んだのか、縦走路の木々に付けられていたテープと同じテープが見られた1820m峰の南側の支尾根に引き込まれてしまい、30分近く時間をロスしてしまった。 縦走路に見られたテープは登山者のためのものではなく、森林の管理目的だったことが分かった。 結局予想よりも少し遅く、9時半過ぎに待望の八紘嶺(1918m)の山頂に着いた。 一昨年の年末にも訪れているので、山頂の記憶は新しく感動も薄かったが、ようやくやり残していた宿題が終わったという感じで満足だった。

   もうしばらく訪れることもないだろう八紘嶺の山頂を10時に発つ。 足は疲れていたが、トレースのある帰路のスピードは予想以上に速く、1時半前に幕場に戻った。 テントを撤収して2時前に幕場を発つ。 最後の楽しみにしていた希望峰からの展望は昨日と同じように春霞のため冴えず、今回は終始展望に恵まれない山行となってしまった。 七面山を経て敬慎院からの下り始めが3時半になったので、もう殆ど人のいなくなった静かな表参道を下り、6時前に駐車場に着いた。


5時過ぎにスノーシュー(妻はワカン)を履いて幕場を出発


幕場からしばらくは尾根が顕著で、暗くてもルーファンで足が止まることは殆ど無かった


樹間から見た富士山


樹間からのご来光


1964m峰の山頂のプレート


1964m峰の山頂から見た八紘嶺


1964m峰からインクラ跡へは尾根が広くなった


1964m峰からインクラ跡の間には二重山稜があった


顕著なコルとなっていたインクラ跡


インクラ跡からは尾根がさらに広くなった


縦走路中一番広く開放的だった1820m峰の山頂


1820m峰の山頂から見た八紘嶺


1820m峰の山頂から見た山伏


南側の支尾根には縦走路の木々に付けられていたテープと同じテープが見られた


八紘嶺の山頂直下


八紘嶺の山頂


八紘嶺の山頂


八紘嶺の山頂から見た赤石岳


八紘嶺の山頂から見た聖岳


八紘嶺の山頂から見た1964m峰


八紘嶺から1820m峰へ


インクラ跡から1964m峰へ


1964m峰の山頂


幕場に戻る


希望峰の山頂と七面山


希望峰の山頂から見た笊ケ岳(右)と布引山(左)


希望峰の山頂から見た八紘嶺


七面山の山頂


静かな表参道を下る


2 0 1 5 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P