《 15日 》 鳥ノ胸山 ・ 加入道山 ・ 大室山
和出村バス停 〜 道の駅『どうし』 〜 鳥ノ胸山 〜 大界木山 〜 モロクボ沢ノ頭 〜 白石峠 〜 加入道山 〜 大室山 〜 加入道山 〜 和出村バス停 (周回)
冬型で風が強いが気温は高いという予報だったので、一番風の弱そうな西丹沢の山に登ることにした。 下山口とした『和出村』のバス停前の駐車場に前泊し、翌朝5時半過ぎに駐車場を出発。 国道413号線を登山口とした道の駅『どうし』まで小1時間ほど歩く。 道の駅の裏手の吊り橋を渡り、『道志村グリーンロッジ』へ続く車道を少し歩いて、その先で最初のピークとなる鳥ノ胸山(1208m)への登山道に入る。 登山道の積雪は予想以上に多かったが、トレースもしっかりついていた。 西丹沢の主脈までは誰とも出会わないと思っていたが、途中で中年の単独氏が追い越して行った。 登るにつれて急坂が連続するようになったが、トレースに助けられ労せずして8時過ぎに鳥ノ胸山の山頂に着いた。 西側の木々が切れていたが、あいにくの春霞で富士山や御正体山は少し霞んで見え、背後の南アルプスの山々は全く見えなかった。 山頂で先ほどの単独氏と雑談を交わすと、札幌から定期的に日高(埼玉県)に出張があり、その期間に関東周辺の山を登られているとのことだった。 今日これからのルートを尋ねると、奇しくも私達と同じルートで西丹沢の主脈に向かい、その後は大界木山をピストンしてから私達とは反対方向の菰釣山へ縦走し、ブナノ丸から白井平に下るとのことで、そのユニークな計画に同じような匂いを感じて好感が持てた。
先に行かれた単独氏の後を追い、山頂から反対方面に一旦下って緩やかな登り下りを繰り返しながら30分ほど行くと、道志の湯と道志の森のキャンプ場の分岐となる雑木ノ頭に着き、明瞭な後者へのトレースを右に分け、単独氏のトレースのみとなった前者へのルートを辿る。 尾根は顕著でルーファンは不要だったが積雪が多く、単独氏のトレースのお蔭で妻のペースが落ちずに済んだ。 雑木ノ頭から30分ほど下り基調に進んでいくと、道志の湯から上がってくる『三ケ瀬室久保林道』に出たが、林道には雪が吹き溜まっていて歩くのが困難なほどだった。 林道を道志の湯方面に20mほど行くと、『大界木山登り口』と記された朽ちかけた道標があり、そこから西丹沢の主脈へ続く登山道に取り付く。 この登山道は登山地図には破線で記されているが、地形図には記されていない。 単独氏はさすがに北の岳人らしく、一見分かりにくい取り付きの急斜面をスムースに登ったようで、後続の私達はとても助かった。 樹間からは目標の加入道山や大室山が見えたが、その頂はまだ遠かった。 その後もトレースは的確に登山道を辿り、単独氏が雪山に長けていることが見て取れた。 所々に古いテープ類はあるが、積雪期この登山道を主脈から下るのは難しいだろう。 単独氏のトレースのお蔭で予定よりも少し早く10時前に西丹沢の主脈との分岐に着いたが、予想どおり分岐には登山道の存在を示唆する複数の古いテープ類があるだけで道標はなかった。
今日の核心部を意外な展開で無事に通過し、分岐からはトレースのある主脈の縦走路を白石峠方面に向かって歩く。 縦走路には今まで全く感じなかった風が少し吹いていた。 大界木山の山頂直下で私達と反対方向に縦走する先ほどの単独氏とすれ違い、トレースのお礼を言って見送った。 地味な大界木山(1246m)の山頂で一息入れ、10時半に白石峠方面へ歩き始める。 大界木山から先の縦走路は予想より積雪が多かったが、丹沢に精通していない私達にはこれが例年並みなのかどうかは分からない。 大界木山から次のピークのモロクボ沢ノ頭(1190m)へは100mほど下って登り返す。 間もなく西丹沢自然教室(箒沢)から畦ケ丸を経て登ってきたという中高年のツアーの団体とすれ違って違和感を覚えたが、この団体が白石峠までの縦走路で出会った唯一のパーティーとなった。 モロクボ沢ノ頭から縦走路を外れ、畦ケ丸(1293m)へ寄りたかったが、時間に余裕がないので今回は割愛した。
モロクボ沢ノ頭を過ぎると白石峠の手前の水晶沢ノ頭(1278m)の手前までは起伏の少ない稜線漫歩となり、右手の樹間からは桧洞丸や蛭ケ岳といった丹沢の主峰が望まれるようになった。 風が強く吹いていた水晶沢ノ頭を越え、午後のスケジュールの目安となる白石峠(1307m)には、大界木山からほぼコースタイムどおりに歩いて1時前に着いた。 白石峠から道志の湯へ下る登山道は廃道となったのか、道標はなかった。 白石峠から加入道山(1418m)へは急坂が続き、道志の湯あるいは西丹沢自然教室(箒沢)から登ってきたと思われるパーティーや単独者とすれ違った。
加入道山の山頂に1時半前に着き、山頂のすぐ脇に建つ『加入道避難小屋』に入って一息入れる。 避難小屋は風の当たらない南側に面しているので暖かい。 冬期に泊まる人は少ないだろうが、小屋には毛布が置かれていて、シーズン中は混むだろう。 1時半過ぎに避難小屋を発ち、最後のピークとなる大室山へ向かう。 人気の山らしいが、もうこの時間帯では登る人はいない。 午後には風が一時的に弱くなるという予報だったが、標高が上がったせいか風はますます強くなってしまった。 顕著な尾根を大室山との鞍部へ緩やかに下ると、鞍部付近は急斜面となり足元の雪が氷化していたが、アイゼンを着けるのが面倒なので慎重に通過する。 V字形の狭い鞍部から大室山へは、ハイキングコースのように木の階段やロープが張られていた。 加入道山の山頂の道標には大室山まで2.4キロと記されていたが、疲れの見えてきた妻のペースが上がらなくなり、3時前にようやく大室山(1588m)の山頂に着いた。 吹き溜まった雪で山梨百名山の新旧の標柱が埋まっていた。 雑木の茂った山頂は展望には恵まれないが、樹間からは蛭ケ岳や丹沢山の奥に塔ノ岳が遠望された。
静かな山頂で一息入れ、3時過ぎに加入道山への道を戻る。 加入道山を越えて少し下った所にある和出村への分岐から道志の湯方面に下る。 陽の当たる西側斜面だが相変らず雪が多い。 分岐から1時間ちょうどで舗装された車道(登山口)に出合った。 そこから5分ほど車道を下ると日帰り温泉施設の『道志の湯』があり、さらにそこから15分ほど車道を下って、日没前の5時半過ぎに『和出村』のバス停前の駐車場に着いた。