《 27日 》 空沢山 ・ 三倉山 ・ 大倉山 ・ 流石山
音金 〜 空沢山 〜 一ノ倉 〜 三倉山 〜 1854m峰 〜 大倉山 〜 流石山 (往復)
紅葉狩りのシーズンが始まったが、日曜日に法事があるので、土曜日に手軽に登れる山として以前から再訪したいと思っていた裏那須の山に行った。 紅葉の見頃には少し早いが、自宅から高速を使わずにアプローチ出来るのも魅力だ。 道の駅『しもごう』で前泊し、翌朝登山口の音金集落へ向かう。 収穫を待つ田んぼと蕎麦畑の広がる音金集落の外れにある稲荷神社の手前の路肩の駐車スペースに車を停めて6時半前に出発。 関東の人は登らないルートなので、予想どおり他に車は停まっていなかった。
神社の脇から細い林道をジグザグを切りながら登り、日の当たらない苔むした涸れ沢を詰めていくと、1時間ほどで登山地図に記された尾根筋の登山道と合流した(標識あり)。 10年前の晩秋にここを登った時は、大峠の手前の舗装路の終点に自転車をデポして音金から周回したが、今回は大峠の喧噪を避け、音金からの往復とした。 尾根筋のルートは明るい樹林帯で、左手には二岐山、大白森山、旭岳、正面には三本槍岳などが見えてくる。 急坂が続くが登り易い道だ。 所々に紅葉した木々が見られるようになり、稜線での紅葉に期待が持てた。 最初のピークの空沢山(唐沢山)には稲荷神社から2時間半ほどで着いた。 地味な空沢山(1691m)の山頂は雑木が茂っているもののまずまずの展望で、南会津の山々や吾妻、遠くに飯豊の山並みも遠望された。
空沢山からはそれまでとは一変して木々の背丈が短くなり、周囲の展望が利くようになった。 三倉山の前衛峰の一ノ倉(1860m)への登りに入ると、ツツジやドウダン系の鮮やかな赤が山肌を彩り始め、その美しさに足が全然前に進まなくなった。 足元に朽ちた標識のある一ノ倉を過ぎると、眼前には今日の行程の最高点となる三倉山(1888m)が、逆光ながらも見事な紅葉に染まっていた。
三倉山の山頂では大峠からの単独者と出会い、その後も10人ほどの人とすれ違ったが、いずれも標高差が少ない大峠から往復しているようだった。 明日の日曜日にはもっと多くの人がここを訪れることが予見され、昨今の登山ブームに加え、甲子トンネルが開通したことが最大の要因ではないかと思えた。 三倉山から大倉山(1885m)を経て流石山(1812m)への稜線は高低差が少なく、また前回の記憶どおり展望がとても良かった。 今日は紅葉を期待せず、静かな山とルートを選んだだけだったが、図らずも稜線は紅葉の見頃を迎えていた。 ここ数年秋はネパールに行っていたので、久々に見た日本の紅葉の山の風景に心が弾んだ。
あいにく大倉山から先では雲や霧が稜線を覆っていたが、強い風で雲や霧が飛ばされ、周囲の景色は目まぐるしく変わっていった。 予報どおり天気は尻上がりに良くなり、目標の流石山からさらに10分ほど先に進んだ那須連峰の展望が良い所でようやく雲や霧が稜線から無くなった。 眼前に並ぶ茶臼岳、朝日岳、三本槍岳、旭岳などの主脈の山々の紅葉も素晴らしいに違いない。
今日はあまり長居は出来ないので、正午過ぎに重い腰を上げて往路を戻る。 流石山から大倉山、三倉山を経て一ノ倉までは鮮やかな紅葉を愛でながらの稜線漫歩で、往路では雲や霧に閉ざされていた所を見ることが出来たり、逆光で見えた所が順光となったりして、音金から往復したことが正解となった。 音金から登ったのは私達だけだったようで、大倉山を過ぎてからは誰とも出会うことはなかった。
錦秋の一ノ倉を後ろ髪を引かれる思いで後にし、空沢山からは急坂を転げるように一気に下り、4時半前に登山口の稲荷神社に着いた。 車に戻って最後の写真を撮ろうとすると、600枚ほど撮ったカメラの電池が終わっていた。 帰路に車のラジオから聞こえてきたのは御嶽山の噴火のニュースだった。