《 21日 》 燧ケ岳
御池 〜 燧ケ岳 (往復)
桧枝岐温泉スキー場の駐車場に前泊し、5時前に御池の大駐車場(@1000円)に着くと、満車と思われた広い駐車場には車が50台ほどしか停まっておらず、出発の準備をしている人も殆どいなかった。 5時に駐車場を出発。 燧ケ岳といえば天下の尾瀬の“本丸”だが、駐車場に車を停めた人は昨日から入山しているのか、意外にも前後に登山者の姿は無かった。 御池から燧ケ岳へは6年前の残雪期にスキーで登って以来だが、昨今の無雪期の週末には怖くて近づけない。 間もなく周囲が明るくなり、樹間からのご来光となった。 上空には雲がなく、予報どおりの爽やかな天気だ。 最初の小さな広沢田代の池塘と湿原を過ぎ、駐車場から1時間半ほどで熊沢田代の湿原に着く。 湿原のベンチには数名の人達が寛いでいたが、私達の後から登ってくる人はいなかった。 朝の気持ちの良い草紅葉の湿原で佇んでいると、いつの間にか私達だけで貸し切りとなり、まるで平日の山にいるかのような錯覚を覚えた。 湿原からは平ケ岳や越後三山の中ノ岳と越後駒、そして荒沢岳などが良く見えた。 熊沢田代からは所々で真っ赤に染まったナナカマドを愛でながら山頂に向かう。 本当にここが燧ケ岳かと疑いたくなるような静かさだ。 秋晴れで空気は乾燥して涼しく、登ることに全くストレスを感じない。 労せずして8時ちょうどに山頂(俎ー)に着く。 山頂にいたのは先ほど熊沢田代で見かけた人達だけで、尾瀬沼や尾瀬ケ原から登ってきた人はいなかった。 写真だけ撮って最高点のある柴安ーに向かう。 尾瀬ケ原を眼下に見下ろす快晴無風の柴安ーの山頂からは、その頂から見える山は全て見えるように思えた。 今日は尾瀬沼や尾瀬ケ原を散策することは毛頭考えていないので、静かな柴安ーの山頂で1時間近く展望を愛でながら寛ぐ。 9時過ぎに重い腰を上げて俎ーへ戻る。 俎ーの山頂には大勢の人が居合わせ、先ほどまでとは全く違う喧噪の世界となっていたが、むしろその方が違和感がなかった。 朝方山が静かだったのは、御池を発つ時間が1時間ほど違っただけのことだった。 御池への下りでは所々で登ってくる人達とすれ違ったが、この時間帯ではまだ下る人は誰もおらず、今朝と同じように熊沢田代は貸し切りとなった。 朝方とは少し違う色合いの湿原の風景に癒され、11時半前に御池の駐車場に戻った。 思いがけず無雪期の週末に尾瀬を訪れることになったが、静かさと良い天気に恵まれて良かった。