2  0  1  4  年    6  月  

《 14日 〜 15日 》    富士山

富士宮口 〜 富士宮口頂上(泊) 〜 剣ケ峰 〜 お鉢回り    (往復)

   7月に計画しているペルーの山に向けての高所順応訓練を目的に、参加する6人のメンバー(私、妻、西さん、セッちゃん、kana-catさん、Oさん)で富士宮口から泊りで富士山に登った。 富士宮口から登るのは6年ぶりだ。 残雪も少なくなり、スキーをする人もいなくなったので、新五合目の駐車場は少し空きがあった。 山頂付近にはまだ残雪があるが、火山灰で傷んだ雪で水を作るのも嫌なので、3リッターほどの水をボッカすることにした。 富士山は訓練目的などで春夏秋冬何度も登っているが、今まで山頂に泊まったことはなかった。

   10時半前にバリケードが張られた登山口から出発。 時間が遅いので周囲に登山者は殆どいない。 富士宮口頂上までは2400mの登山口から標高差で1300mほどあるので、6時間くらいで登ることを目標に、1時間当たり250mほどの登高スピードで登る。 気温の上昇ですでに雲が湧いているので、涼しくて登るにはちょうど良い。 時々風で雲が飛ばされると、青空の下に山頂方面がすっきり見えた。 登山道を所々で残雪が覆っているが、トレースは明瞭で全く問題ない。 11時半に新七合 目の山小屋(御来光山荘/2780m)に着いた。 麓から車で新五合目まで一気に上がったせいもあるが、体が高度を敏感に感じるようになり、山頂に泊まることだけでなく、重荷を担いで登ることが良い高所順応訓練になることを悟った。 

   新七合目から七合目の山小屋(山口館/3030m)へは40分ほどで着いたが、ここからは更に体に負荷がかかるので、山小屋に着く度に休憩を取ることにした。 七合目から八合目へは赤茶けた火山礫の多くなった登山道を登り、1時過ぎに八合目の山小屋(池田館/3250m)に着いた。 風が強くなる八合目を境に、上は青空で下は雲の中となった。 八合目から先では、山頂まで繋がっている残雪の斜面が、登山道の右側に並行するようになった。 どちらからでも登れるが、雪が溶けたばかりの登山道は埃っぽくなかったので、kana-catさん以外は登山道を登ることにした。 下山してくる人の殆どが残雪の斜面を下るので、図らずも登山道ですれ違う人は少なかった。 九合目の山小屋の手前からは、登山道が完全に雪の下となった。 

   予定よりも早く2時半前に九合目の山小屋(万年雪山荘/3410m)に着いたので、ここで少し長めに休憩をとる。 九合目からは、すぐ上に見える山小屋へ残雪の斜面を登り、3時過ぎに九合五勺の山小屋(胸突山荘/3550m)に着いた。 山小屋から山頂までは、階段状に踏まれた良いトレースがあったので、運良くアイゼンを着けずに登れた。 

   登山道を使える区間が予想より長く、アイゼンも着けずに登れたため、予想よりも早く4時ちょうどに富士宮口頂上に着いた。 残雪は2月の大雪の影響で例年よりも多い感じがした。 風の当たりにくい山小屋(頂上富士館)の脇に2張と浅間大社奥宮の脇に1張のテントを張ったが、私が持ってきた3人用のテントのポールが上手くスリーブに入らず、不思議に思ったところ、間違って2人用のテントを持ってきてしまったことが分かった。 仕方がないのでポールの一部を折り畳んで短くし、スリーブに通すと、見事に2人用のテントが立った。 フライも3人用だったが、メーカーが同じアライテントだったので、問題なく張ることが出来た。 3人で2人用のテントでは狭いので、西さん&セッちゃんの2.5人用のテントと換わってもらい、事なきを得た。 

   テントに入ってから軽い頭痛がしたが、結局翌日の朝まで頭痛は続いた。 他のメンバーは誰も頭痛はしなかったとのことで、私の高所に対する順応の遅さと弱さがあらためて証明された。 夕食後は幕場付近から初めて富士山で夕焼けショーを楽しんだ。 夕陽に照らされた富士山が“影富士”となって東の雲海の空に映し出され、そのユニークな景色に思わず歓声を上げた。 麓から湧いていた雲はすっかり無くなり、御殿場や富士宮の町の夜景がとても綺麗だった。 夜中は風が次第に強くなり、テントがバタついて寒かった。


道の駅『須走』から見た富士山


バリケードが張られた新五合目の登山口


気温の上昇ですでに雲が湧いているので、涼しくて登るにはちょうど良かった


新六合目の山小屋(雲海荘/2490m)


時々風で雲が飛ばされると、青空の下に山頂方面がすっきり見えた


新七合目の山小屋の直下の残雪の斜面


新七合目の山小屋(御来光山荘/2780m)


七合目の山小屋(山口館/3030m)


七合目から八合目へは赤茶けた火山礫の多くなった登山道を登る


八合目(池田館/3250m)


八合目から先では、山頂まで残雪の斜面が繋がっていた


登山道の右側に並行する残雪の斜面を登るkana-catさん


九合目(万年雪山荘/3410m)


九合目から九合五勺の山小屋(胸突山荘/3550m)まで残雪の斜面を登る


九合五勺(胸突山荘/3550m)の山小屋


九合五勺から見た富士宮口頂上


階段状に踏まれたトレースがあったので、アイゼンは着けずに登った


富士宮口頂上の直下


富士宮口頂上


頂上富士館の脇に2張のテントを張った


2人用のテントに3人用のポールの一部を折り畳んでテントを立てた


浅間大社奥宮の脇に張った2.5人用のテント


幕場付近で夕焼けショーを楽しむ


夕陽に照らされた富士山が“影富士”となって東の雲海の空に映し出されていた


富士宮口頂上付近から見た夕焼けの剣ケ峰


   頭痛と風の音で殆ど眠れなかったが、4時前に吉田口方面の成就岳まで歩いてご来光を見に行く。 朝焼けの空が素晴らしく、今日も梅雨の合間の良い天気になりそうだった。 山中湖の向こうから昇るご来光を拝んで幕場に帰ると、モルゲン・ロートに染まる剣ケ峰の山頂や、西の空に投影される“影富士”が見られ、訓練目的でなくても富士山の山頂に泊まることは面白いと思った。 

   6時に富士宮口頂上の幕場を出発し、剣ケ峰に登ってから時計回りにお鉢を回った。 剣ケ峰の山頂には他に1パーティーがいたのみで静かだった。 雲一つない快晴の天気に恵まれた山頂からは、駿河湾や南アルプスの山々がすっきりと望まれ、眼下の御坂山塊や天子山塊の山々との間に広がる朝霧高原や青木ケ原の樹海の緑が目に鮮やかだった。 図らずも、昨日から三度目の“影富士”も見られた。

   お鉢回りの周回路では時々強い風が吹いたが、周囲の展望を愛でながらのんびり歩いた。 吉田口頂上の手前から雪が無くなりアイゼンを外す。 吉田口頂上にはテントが一張あった。 8時に富士宮口頂上の幕場に戻り、テントを撤収して9時前に下山を始める。 下りはアイゼンを着けて七合目付近まで残雪の斜面を下り、ブル道を通って七合目の山小屋(山口館/3030m)から登山道に入った。 昨日と同じように麓から雲が湧き始めたので涼しくて良かったが、下るにつれて足元の赤茶けた土が乾いてくるのが嫌になる。  

   11時過ぎに新五合目の登山口に到着。 打ち上げはペルーで行うことにして、それぞれの帰途についたが、天気に恵まれたのみならず、当初の目的の高所順応と情報交換、そして何よりもメンバー一同の結束が強まった良い山行となった。


山中湖の向こうから昇るご来光


モルゲン・ロートに染まる剣ケ峰の山頂


西の空に投影される“影富士”


富士宮口頂上の幕場を出発する


剣ケ峰へ登る


白山岳


駿河湾


剣ケ峰の直下


剣ケ峰


剣ケ峰から見た三度目の“影富士”


剣ケ峰から見た南アルプスの山々


剣ケ峰から時計回りにお鉢を回った


お鉢回りの周回路では時々強い風が吹いた


青木ケ原の樹海の緑が目に鮮やかだった


お鉢回りの周回路から見た剣ケ峰


吉田口頂上


吉田口頂上


吉田口頂上から見た山中湖


吉田口頂上から富士宮口頂上へ


富士宮口頂上


アイゼンを着けて七合目付近まで残雪の斜面を下る


新五合目の登山口


2 0 1 4 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P