2  0  1  4  年     5  月  

《 17日 》    大門沢小屋

奈良田第一発電所 〜 大門沢小屋  (往復)

   天気の良い週末は続き、今週末に延期した農鳥岳に大門沢小屋から登ることにした。 若い頃は広河原まで車で入れたので、無雪期に農鳥岳へ日帰りで登ったこともあったが、スーパー林道が通行止めになってからもう何年も農鳥岳の山頂は踏んでいなかった。 ベースとなる大門沢小屋へは何度も泊まっているが、過去2回積雪期に農鳥岳へ登ろうとして敗退していたので、快晴の予報が出ている日曜日に今度こそリベンジしたいと思った。 

   正午前に奈良田第一発電所の先の林道のゲート前に車を停めて出発する。 付近には車が3台停まっていたが、おそらく山菜採りか釣りだろう。 30分ほど照り返しのきつい林道を歩く。 気温は18度もあり暑さが堪える。 林道の終点の第三堰堤から樹林帯の登山道に入ると、風も少し感じられるようになり、涼しくてちょうど良くなった。 樹林帯はモミジの新緑が眩しく、所々にミツバツツジも見られた。 小鳥のさえずりも響く良い季節だ。 木々に印された登山道のペンキマークは新しくなっていた。

   登山道が岩の堆積した小沢の中を通るようになると、その先で大門沢の本流を右岸から左岸へと渡る。 渡渉点には比較的新しい木の橋が架けられていたが、水流の強さでややズレて斜めになっていた。 大門沢の本流に沿って左岸を登って行くと、大門沢小屋の直下で今度は右岸への渡渉点があり、周囲には切れたロープやワイヤーの残骸があった。 以前ここに橋があったかどうかの記憶にないが、飛び石伝いに渡ることが困難だった記憶もない。 飛び石伝いに渡れる所を探して付近を右往左往すると、ようやく少し下流に渡れそうな所が見つかった。 左岸から4分の3ほどは問題なく渡れ、右岸まであと2mほどとなった所に岩に挟まった太い流木があった。 この流木の上を渡れれば靴を濡らさずに済むので、足先で安全性を確かめながら渡ることにしたが、全体重が流木に掛かった瞬間、足元をすくわれるように流木が岩から外れ、背中から沢に落ちてしまった。 幸い沢は深くはなかったので、少し流されただけで止まったが、全身がずぶ濡れになってしまった。 特に靴とズボンの濡れが酷く、カメラやシュラフにも水が浸み込んでいた。 靴を脱いで渡渉することは出来たが、この状況では小屋に着いても服や荷物を乾かすことだけに追われてしまうので、妻には申し訳ないが泣く泣く下山することにした。

   着替えをして出発するともう4時を過ぎてしまった。 水を吸った荷物は先ほどよりも重たくなり、下山する足の運びも鈍くなった。 自己嫌悪に苛まれながら、好天が約束されている明日に日帰りで登れる山やルートを考えながら下る。 幸か不幸か選択肢は二つしか思い浮かばず、奈良田から笹山への往復か、雨畑湖(老平)から布引山を経て笊ケ岳への往復だった。 奇しくも笹山と笊ケ岳は両方とも去年登っていたが、笊ケ岳は転付峠からで、老平からのルートはちょうど20年前の5月中旬に登ったことを思い出したので、それを理由に笊ケ岳へ登ることにした。 

   日没寸前の7時に車に戻り、奈良田のバス停のベンチで山小屋での夕食に用意していたうどんなどを食べ、登山口の老平に向かった。 9時過ぎに老平の集落の外れの登山者用の駐車場に着くと、意外にも車が5台も停まっていた。


奈良田第一発電所の先の林道のゲート


林道の終点の第三堰堤


発電所の取水口の古い吊り橋


新緑が眩しい大門沢小屋への登山道


大門沢の本流を右岸から左岸へと渡る


大門沢小屋直下の渡渉点


日没寸前の7時に車に戻った


2 0 1 4 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P