《 20日 》 会津駒ケ岳 ・ 大戸沢岳
滝沢登山口 〜 会津駒ケ岳 〜 大戸沢岳 (往復)
朝4時過ぎに起きると、空には月や星が見えたので、会津駒ケ岳とその先の大戸沢岳へ登ることにした。 滝沢橋から登山口へ通じる車道は除雪されていなかったので、少し手前のテニスコートの駐車場に車を停めて5時半前に出発。 滝沢橋から雪に埋もれた車道を10分ほど歩いた橋の先から車道をバイパスする冬道に入り、再び車道と交差した所から新しいピンクのテープに導かれてトレースのある広い沢状の急斜面をアイゼンを着けて登る。 気温の上昇でうっすらと霧が湧いて幻想的だ。 車道から30分足らずで雪庇の発達した顕著な尾根に乗る。 冬道だが新しいトレースに助けられ、ルーファンの必要は全くなかった。 雲海を抜けて冬道の尾根をしばらく登ると無木立の広場に出た。 ここからは新しいピンクのテープが連続するようになり、どうやら登山道と合流したようだった。 快晴ではないが、風もなく穏やかな登山日和だ。
昨日の三岩岳と同様に、この時期に登る人の殆どがスキーかボードなので、前後には全く人影が見えない。 ブナ林の気持ちの良い広い尾根を登っていく。 関東方面は一面雲海となり、山々の頂だけが雲の上に出ていた。 快適なツリーランが楽しめそうな斜面が延々と続き、今日もスキーで登れば良かったと少し後悔した。 ブナ林からシラビソの樹林帯に変わると、樹間から目標の大戸沢岳(2089m)への稜線が見えた。 残念ながら空の色は少し濁ってしまったが、展望はますます良くなり、燧ケ岳や日光白根山、至仏山などが遠望された。 森林限界からは会津駒ケ岳の山頂がすっきり望まれるようになり、展望を愛でながら駒ノ小屋の手前で一息入れる。
駒ノ小屋へは寄らず、会津駒ケ岳の山頂に向って真っ直ぐに登る。 頂上稜線まで上がると、平ケ岳や中ノ岳、越後駒ケ岳などの山々が見え始め、足取りも軽くなる。 9時半に誰もいない静かな会津駒ケ岳の山頂に着いた。 何度か登っている山だが、人気のあるこの山で山頂付近に人影が全く見えないのは初めてだ。 山頂の大きな標柱はまだ半分以上雪に埋もれ、周囲の藪もまだ雪の下だったので、昨日涙を飲んだ三岩岳の借りを返してまだお釣りがくるほどの大展望が得られた。 指呼の間にこれから向かう大戸沢岳や昨日登った三岩岳が並んで見え、その先には会津朝日岳、そして越後三山の奥に未丈ケ岳、浅草岳、守門岳、さらに飯豊連峰までが遠望された。
静かな山頂で充分展望を満喫し、登山道のない大戸沢岳に向かう。 スキーヤーにはそれなりに人気がある山なので、新しいトレースも幾つか見られた。 高曇りの天気が幸いして稜線上の雪の状態は良く、スノーシューやワカンの出番は無かった。 途中にある小さなピークを左から巻いて進むが、見た目どおり全般的に起伏は緩やかで、中門岳に行くよりも楽な感じがした。 予想よりも早く、労せずして40分ほどで大戸沢岳の山頂に着いた。 山頂からは昨日登った三岩岳が間近に迫り、このまま縦走していきたい気分だった(この時期であれば、会津駒ケ岳から三岩岳へ日帰りで縦走出来ることが分かった)。
帰路は会津駒ケ岳の山頂は踏まず、山頂直下をトラバース気味に巻いて下る。 駒ノ小屋付近から下では、昨日と同じように10人ほどのスキーヤーやボーダー達とすれ違った。 天気は崩れることなく、まだ陽の高い1時半過ぎに滝沢橋に着いた。