2  0  1  4  年     4  月  

《 12日 》  ;四ツ岳

平湯キャンプ場 〜 四ツ岳  (往復)

   週末は先月ネパールのメラ・ピーク(6476m)に登った山仲間のkana−catさんとネパールの報告会を兼ねた一泊二日の山行となった。 天気予報の良い土曜日に乗鞍岳か四ツ岳をスキーで登る計画を立て、最終的にお互いに登ったことがない四ツ岳へ行くことになった。 登山道がない四ツ岳は、無雪期であれば山裾を通る乗鞍スカイラインから藪漕ぎすれば登れそうだが、ネット上でもそのような記録は見当たらず、また積雪期でもスキー以外で登った記録は見つけられなかった。 当初はスキーで登るつもりだったが、4月中旬なら足で登った方が総合的に効率が良いと判断し、今回はスノーシューを背負って登ることにした。

   kana−catさんと安房トンネルの出口にある駐車場で待ち合わせ、そこから数100m先の平湯キャンプ場の除雪された駐車場(1310m)に車を置いて6時半前に出発。 気温はマイナス4度だった。 天気は良く風もないが、近くに乗鞍岳というメジャーな山があるため、予想どおり他に入山者はなかった。 キャンプ場のバンガローの脇を通り、古いスキーのシュプールを辿りながら雪に埋もれた小沢に沿って傾斜の緩い樹林帯をしばらく歩く。 ありがたいことに雪は予想以上に硬く締まっていて歩き易かった。 15分ほど歩くと小沢が雪から顔を出している所があり、アイゼンを着けて小沢から離れて左の沢状となっている急斜面に取り付く。 地形図に記された1504m地点付近を通ることを目標に、所々に僅かに見られる古いシュプールを繋ぎ合わせながら登る。 

   1504m地点からの傾斜の緩い幅の広い尾根に乗ると、明瞭なシュプールが見られるようになったが、シュプールは全て下りなのであまりあてにならない。 高度計の標高をチェックしながら、最初の核心となる大滝川の渡渉点を探す。 左から沢の流れる音が聞こえてきたので、その方向に向かっている微かな古いシュプールを追っていくと、ネットの写真で何度も見た大滝川の渡渉点が足下に見えた。 急斜面を標高差で30mほど下り、スノーブリッジで大滝川を渡る。 心配していたスノーブリッジにはまだ余裕があった。 渡渉点の対面の崖にもまだ雪が残っていたので、労せずして北面台地に通じる尾根の末端に這い上がることが出来た。 樹間の詰まった幅の広い尾根は傾斜も緩かったが、しばらくするとまた傾斜がきつくなった。 前方の樹間から大崩山が見えるようになった所で一息入れる。

   標高1800m辺りからは積雪(新雪)が次第に多くなり、急斜面の登りでは一部で膝下のラッセルになった。 おしゃべりをする余裕もなくなり、黙々と樹間の詰まった軟雪のやや急な斜面を登る。 ようやく背後の樹間から穂高や槍が見えるようになったので一息入れる。 再び傾斜が緩んできたので、ここからスノーシューを履く。 間もなくネットの写真で見た防火帯のような切り裂き(シュート)があらわれ、その先に四ツ岳直下の小岩峰が見えた。 沢状となっているシュートの真ん中を登っていくと、途中から雪が柔らかくなり、スノーシューでも沈むようになってきたので、右脇の樹林帯の中を登ることにした。 標高2300m辺りからは木々が次第に疎らになり、再び傾斜がきつくなってきたので、スノーシューをデポしてアイゼンを着けて登る。 しばらく軽いラッセルで登っていくと森林限界となり、前方に小岩峰が立ちはだかった。 ネットの記録では小岩峰を右か左に巻いて登るが、雪の状態やトレースの有無によってどれが正解でどれが不正解ということはない。 この時期なら最短距離の岩峰上を通れるかもしれないが、kana−catさんと協議した結果、小岩峰を左から巻いて登ることになった。 

   ありがたいことに心配していた風はなかったが、小岩峰に近づくにつれて雪は硬くなり、ピッケルは刺さらず傾斜も一段と急になってきたので、確保なしで登ることに不安を感じた。 ロープはあるものの、このまま登り続ければどこかで行き詰まることが予見された。 小岩峰を巻かずに直登することも試してみたが、ここから山頂までの標高差はまだ250mほどあったので、ルーファンと確保を繰り返しながらでは時間切れになることは明らかだった。 しばらくルートの選択に迷ったが、小岩峰を左から巻いて登るには、もう少し下の方から巻かなければならいことが分かったので、往路を少し引き返して小岩峰を右から巻いて登ることにした。 

   30分以上時間をロスしてしまったが、最初に通過した雪に埋もれた大きな岩の上から右方向へ斜度を抑えながらトラバース気味に登ってみると、見た目は硬そうに見えた雪面の状態は非常に良く、図らずも今までになくスピーディーに登ることが出来た。 いつもなら強い風の洗礼を受けそうな所だが、今日は殆ど風がなくありがたい。 左の頭上に小岩峰を仰ぎ見ながら、山頂の方向に向かって一直線に登る。 足元にはハイマツが少しだけ露出し、一見歩きにくそうに見えたが、見た目とは正反対に快適な登高が続いた。 山頂は奥深くてなかなか見えてこないが、高度計の数字はどんどん上がっていく。 いつの間にか小岩峰をやり過ごすと、右手の猫岳(2581m)や大崩山(2523m)はすでに目線の下になっていた。 大きな山に相応しく、最後は緩やかな登りとなり、ほぼ予定どおり1時過ぎに待望の四ツ岳の山頂に着いた。 山頂からの展望は想像していた以上に雄大で、指呼の間の乗鞍岳はもちろんのこと、白山や水晶岳、鷲羽岳の山頂も遠望された。 

   いつまでも佇んでいたい素晴らしい山頂だったが、宿泊予定の『中の湯温泉』に到着予定時間の電話を入れ、1時半過ぎに山頂を後にする。 眼下にはザラメ雪のオープンバーンが見えた。 帰路も森林限界までの雪の状態が良かったので、スノーシューをデポした地点まで30分足らずで一気に下ってしまった。 樹林帯の雪は気温の上昇で柔らかくなり、下るには足に優しく好都合だった。 ルーファンの必要がなくなったので、大滝川の渡渉点には山頂から僅か1時間半ほどで着いてしまい、スキーのスピードとそれほど変わらなかった。 結局山中では誰とも出会うことなく4時過ぎに平湯キャンプ場に着き、宿泊先の『中の湯温泉旅館』に向かった。


盛夏の硫黄岳付近から見た四ツ岳  (2013.8.11)


平湯キャンプ場から取り付く  (6:23)


雪に埋もれた小沢に沿って傾斜の緩い樹林帯をしばらく歩く  (6:28)


アイゼンを着けて小沢から離れて左の沢状となっている急斜面に取り付く  (6:48)


所々に僅かに見られる古いシュプールを繋ぎ合わせながら登る  (7:10)


傾斜の緩い幅の広い尾根に乗ると、明瞭なシュプールが見られるようになった  (7:29)


大滝川の渡渉点へ急斜面を標高差で30mほど下る  (7:56)


ネットの写真で何度も見た大滝川の渡渉点  (7:57)


スノーブリッジにはまだ余裕があった  (7:59)


渡渉点からは労せずして北面台地に通じる尾根に這い上がることが出来た  (8:09)


北面台地に通じる尾根に乗る  (8:17)


樹間の詰まった幅の広い尾根は傾斜も緩かった  (8:19)


再び傾斜がきつくなる  (8:29)


前方に大崩山が見えるようになった所で一息入れる  (8:36)


急斜面の登りでは一部で膝下のラッセルになった  (9:05)


軟雪の急斜面の登りがしばらく続いた  (9:38)


背後の樹間から穂高や槍が見え始めた所で一息入れる  (9:47)


傾斜が緩んだので、スノーシューを履く  (10:10)


防火帯のような一直線の切り裂きの先に四ツ岳直下の小岩峰が見えた  (10:16)


切り裂きから見た焼岳  (10:20)


防火帯のような一直線の切り裂き(シュート)  (10:22)


森林限界の手前では急斜面の登りとなる  (10:49)


森林限界付近から見た大崩山  (10:49)


森林限界から見た四ツ岳直下の小岩峰  (10:56)


雪は所々で柔らかくなる  (11:21)


森林限界を過ぎると展望が一気に開けた  (11:35)


小岩峰の直下は雪がとても硬かった  (11:44)


小岩峰を左から巻くことを諦めて、往路を少し引き返す  (12:03)


小岩峰を右から巻く  (12:15)


小岩峰の下をトラバース気味に登る  (12:27)


スキーには最適なザラメの斜面  (12:28)


山頂方面へ小岩峰を右から巻くルートは所々でハイマツが露出していた  (12:33)


小岩峰を右から巻くルートは最後まで雪の状態が良かった  (12:37)


猫岳と白山(左奥)  (12:45)


シュカブラが見られた四ツ岳の山頂直下  (12:55)


大きな山に相応しく、山頂付近は緩やかな登りとなった  (13:05)


四ツ岳の山頂  (13:13)


四ツ岳の山頂


山頂から遠望した白山


山頂から見た乗鞍岳


下山を開始する  (13:43)


山頂直下から見た金山岩(中央手前)と十石山(中央奥)  (13:45)


猫岳(左)と大崩山(右)  (13:48)


帰路も小岩峰を右から巻くルートは雪の状態がとても良かった  (13:54)


下りのスピードは速い  (14:20)


登りと比べて雪は柔らかくなっていた  (14:58)


大滝川の渡渉点のスノーブリッジ  (15:17)


平湯キャンプ場に下山する  (16:05)


中の湯温泉旅館


夕食の鴨鍋


2 0 1 4 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P