2  0  1  4  年     1  月  

《 25日 》    温泉ケ岳

    湯元 〜 金精トンネル 〜 金精峠 〜 温泉ケ岳山頂直下  (往復)

   久々に冬型の気圧配置が緩むという予報だったので、土曜日に日帰りで日光の温泉ケ岳に行った。 温泉ケ岳(2333m)は無雪期であれば山頂に一番近い登山口の金精トンネルから2時間足らずで登れる山だが、積雪期には金精道路が冬期通行止めとなるため、湯元からの長い車道歩き(5キロ強)に耐えなければならない。 3年前の2月に同じような計画で金精トンネルから金精峠経由で金精山(2244m)を目指したが、山頂直下の雪の状態が悪く登ることが出来なかった。 今回はその経験を活かしながら、金精峠から反対側の温泉ケ岳に登ることにした。

   湯元の公営駐車場に前泊し、翌朝4時半過ぎに出発。 前日の夜10時に駐車場に着いた時の気温はマイナス9度だったが、夜中に南風が強く吹き、今朝はプラスの1度という信じられないような暖かさだ。 温泉街の外れからこの時期に人気のある刈込湖への踏み固められた登山道をしばらく登り金精道路に入る。 ガードレールには数字が記された小さな標識が付けられ、そこには『10』と記されていた(金精トンネルの手前が50だった)。 道路の積雪は20センチほどで、所々に古いトレースの名残が見られた。 30分ほどツボ足のまま雪を踏んで金精道路を登っていくと、積雪が急に増してきたのでスノーシューを履く。 積雪は多いところでガードレールの高さ以上にあり、前回よりも明らかに多かった。 最初のヘアピンカーブの手前から上に見える車道にショートカットしようと雪の被った笹の斜面を登ったが、最後が急で登れずに戻ろうとした時、スノーシューが雪に引っ掛かって転び、その下あった垂直に近い3mほどの高さの法面から滑落してしまった。 左の肩と肘を打ったが、その時は痛みは感じなかったで、車道に戻ってそのまま歩き続けた。 7時ちょうどに男体山の背後からのご来光となり、湯元の公営駐車場から2時間半で入口を塞がれた金精トンネルに着いた。 

   トンネルの脇で一息入れ7時半に出発。 予想どおり3年前と同じように金精峠へのトレースは無かった。 金精峠まではずっと急斜面なので前回はアイゼンを着けたが、今回は積雪が多いので私のみスノーシューを履いたまま登る。 3年前の記憶は新しく、ルートは分かるがラッセルに時間が掛かる。 間もなく見覚えのある痩せ尾根となったが、その手前の『廃道危険』の道標が雪に埋もれていたため、今回もその痩せ尾根を登ってしまった(登山道はその道標から右の樹林帯に入るようだ)。 痩せ尾根の上部の雪の下は急な岩場となっていたので、スノーシューでは登れなくなりアイゼンを着けたが、新雪が脆いの補助ロープでの確保もままならず、足元の岩まで雪を切り崩して登った。 痩せ尾根を登りきった所で一息入れる。 ここまですでにトンネルから1時間以上を要してしまった。 

   ふと気が付くと、先ほど打った肘に違和感がした。 痛みはないが、肘は内側に10度くらい曲がったままで、まっすぐに伸ばすことが出来なかった。 引き返すかどうか迷ったが、以前も同じような症状で数日後に治ったことがあったので、とりあえず金精峠まで登ることにした。 前回もここを通っている筈だが、テープ類が見当たらないので木々の隙間の広い所を選んで登る。 積雪はさらに増し、少ない所でも膝の高さ、多い所では股まで潜るようになり遅々として登高スピードが上がらない。 再びスノーシューを履き、樹間をジグザグに登る。 間もなく雪に埋もれた古いロープが見られ、登山道を外れていたことが分かった。 登山道に合流してからは再びテープ類が見られるようになったが、登るスピードは変わらなかった。 金精峠に建つ神社のお堂がようやく見えるようになったが、峠の直下は急斜面でスノーシューでは登れず、再びアイゼンを着ける。 峠への登山道は雪の付き方が悪く、時間が掛かりそうだったので、峠には行かずに直接温泉ケ岳への稜線に上がる。 金精トンネルから金精峠までのコースタイムは30分ほどだが、アイゼンとスノーシューの脱着などにより、ここまで3時間近くを要してしまった(前回は1時間半だった)。

   ラッセルに疲れた足を労わりながら峠付近で一息入れ、温泉ケ岳に向かって10時半過ぎに出発。 肘は相変わらず真っ直ぐに伸びないが、肩より上に上げなければ痛みはない。 予想どおり稜線の積雪はそれまでより少なくなったので、アイゼンを着けたままラッセルして進む。 3年前に金精峠から金精山に登った時は、峠を挟んで対峙する温泉ケ岳は登り易そうに見えたが、登山道は尾根上ではなく尾根の北側を巻くようにつけられていたので、登高スピードが上がらない。 テープ類はそれなりに見られたのでルーファンの必要は殆どなかったが、1時間で100mほどしか登れなかった。 金精峠から山頂までの標高差は300mほどなので、予定していた正午には山頂に着かないことが分かった。

   金精峠から2時間近くを要して、12時半前に展望の良い尾根(2220m)に出た。 天気は予報以上に冴えず、しかも昼過ぎからは悪くなる予報だったので、温泉ケ岳の山頂に固執せずここを今日の最終到達地点とすることに迷いはなかった。 眼前には白根山を背景に金精山が目線の高さになり、灰色の空をバックに武尊や谷川連峰・至仏山などが望まれ、眼下には雪に埋もれた寒々しい菅沼と丸沼が見えた。 3年前とは違う理由で今回も山頂に届かなかったが、それほど悔しさはなかった。 下りのスピードは予想以上に速く、まだ明るい4時過ぎに湯元の公営駐車場に戻った。


温泉街の外れから刈込湖への踏み固められた登山道をしばらく登る


30分ほど金精道路を登った所で積雪が急に増してきたのでスノーシューを履く


朝焼けの男体山(右)と大真名子山(左)


車道をショートカットしようとして垂直に近い3mほどの高さの法面から滑落した


ご来光


入口を塞がれた金精トンネル


金精トンネルから見た金精山


痩せ尾根の手前の『廃道危険』の道標は雪に埋もれていた


廃道となっている痩せ尾根を登ってしまった


登山道に合流してからも積雪が多く、登るスピードは変わらなかった


峠の直下は急斜面でスノーシューでは登れず、再びアイゼンを着ける


予想どおり稜線の積雪はそれまでより少なくなった


登山道は尾根の北側を巻くようにつけられていたので、登高スピードが上がらなかった


展望の良い尾根に出た所を最終到達地点とした


最終到達地点から見た白根山(中央奥)と金精山(右手前)


最終到達地点から見た武尊山(左)と谷川連峰(中央奥)


下りのスピードは予想以上に速かった


金精道路を湯元に下る(背後は金精山)


2 0 1 4 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P