2  0  1  3  年     9  月  

《 14日 》    金峰山

甲府市森林浴広場(伝丈橋) 〜 造林記念碑 〜 水晶峠 〜 御室小屋 〜 金峰山  (往復)

   貴重な3連休だったが、後半は台風18号の影響で天気が悪いとのことで、連休初日に急遽日帰りで金峰山に行くことにした。 連休の喧噪を避けるため、金峰山の山頂に通じる4つの登山道のうち、まだ辿ったことがない南側の昇仙峡方面からの登山道を辿ることにした。 甲府昭和IC付近のコンビニで山仲間の西さん&セッちゃんと合流し、途中の昇仙峡の駐車場に車を1台デポして登山口の『甲府市森林浴広場』というキャンプ場へ舗装された車道を車で30分ほど走る。 キャンプ場の先の伝丈橋付近に車を停め、6時半過ぎに出発する。 予想どおり周囲に車や人影は全くなく、今日このルートを辿る人はいないだろう。 昭文社の最新の登山地図ではここから山頂手前の御室小屋までの登山道には実線が引かれ、コースタイムも記されているが、付近には道標の類は全くなかった。 伝丈橋から右に分岐する通行止めの未舗装の林道を50分ほど緩やかに登って行くと、左手の斜面に『金峰山頂』と記された小さなプレートが木に打ち付けられていたので、そこから取り付くことにした。 急斜面の獣道のような踏み跡を登ると、すぐに明るく開けた防火帯の尾根に出た。 登山地図にも防火帯という表示があったので、ここが登山道だということが分かった。 雑草が生い茂った防火帯の幅は次第に広くなり、尾根も勾配が増してきた。 20分ほど防火帯を登ると尾根は広くなり、防火帯もそれに合わせて消滅した。 意外にもそこから先には踏み跡が全く無く、それまで所々に見られた古いピンクのテープもいつの間にか無くなった。 マイナーなルートとはいえ、登山地図には実線が引かれ、山渓のガイドブックにも紹介されているので、この先には何らかの手掛かりがある筈だと、樹林帯の中の笹薮の斜面を登って行く。 高度計を頼りにしばらく登ってみたが、登山道の片鱗は全く見られなかったので、諦めて防火帯まで戻ろうとした時、足下に林道が見えた。 登山道は途中で林道と出合うので、少し遠回りだが林道に下って軌道修正することにした。 林道は予想以上に新しく、降り立った地点では手掛かりは得られなかった。 登山道との出合にある『造林記念碑』という石碑を探し当てながら五丈岩の見える方向に向かって歩いていくと、先ほどの古いピンクのテープが再び散見されるようになり、左手の斜面に踏み跡や赤いペンキマークが見られた。 造林記念碑は見つけられなかったが、これが本来の登山道なのだろうと思い、林道を離れて踏み跡を辿ることにした。 ようやく活路が見い出せたと思ったのも束の間、踏み跡は次第に薄くなってしまい、1時間近く周囲を徘徊した後、泣く泣く林道に戻った。 疑心暗鬼で林道を進むと、その先で道は左右に分岐していた。 左は登りで右は下りだった。 左右の道をそれぞれ少しずつ辿ってみると、分岐を右へ100mほど下った所の左手に笹薮が綺麗に刈り払われた道と、新しいピンクのテープが見られ、先ほど取り付きにあった『金峰山頂』と記された小さなプレートと同じものが木に打ち付けられていた。 右手にも微かな踏み跡があり、笹薮の中に『造林記念碑』があったので、ここが登山地図に記された林道と登山道の出合であることが分かった。 最初に出合った林道が地図に載っていなかったことと、実線の登山道に踏み跡や標識の類がなかったことが原因でだいぶ時間をロスしてしまったが、気を取り直して9時半に造林記念碑を出発する。 これまで辿ってきた道が嘘のように登山道は明瞭で、新しいピンクのテープがベタ貼りされていて迷う所は全くない。 奥秩父らしい苔むした地味な樹林帯の道を黙々と辿る。 途中で細い沢を一本渡り、次のポイントとなる水晶峠に1時間少々で着いた。 標識がなければ通り過ぎてしまいそうな地味な峠には『水晶盗掘禁止』と記された新しい看板があり、足元には石英のような白い石が多く見られた。 水晶峠からは急坂をしばらく下り、大きな石が堆積した涸沢に出合う。 涸沢をしばらく遡っていくと、右手に大弛峠に通じる『川上牧丘林道』へ分岐するルートの標識があった。 水晶峠から20分ほどで最後のポイントとなる御室小屋に着いた。 小屋は屋根も抜け落ちて雨宿りも出来ない状態だった。 御室小屋から山頂までの登山道は登山地図上では破線となっているが、踏み跡は明瞭で赤ペンキもしっかりとついていて全く迷う所はない。 五丈岩から直線的に岩塔が並び、鎖や梯子・ロープを伝って急坂を登って行く。 山頂直下では頭上の五丈岩を見据えながら気持ちの良い岩場の登りとなった。 1時ちょうどに大勢の登山者で賑わう金峰山の山頂に到着。 台風の接近により瑞牆山や小川山が辛うじて見える程度で、八ケ岳や南アルプスの山々も見えないが、今日はこのルートを辿ることが目的だったので悔しさは全くない。 昼食を食べながら30分ほど山頂付近で寛いで下山する。 往路同様、同じルートを辿る人は誰もいない。 下山ルートを間違えているのではないかと思われればしめたものだ。 今日の最大の関心事は、造林記念碑から先の下山ルートだ。 造林記念碑の先に続いていた踏み跡が、どこをどう辿るのか興味津々だったが、造林記念碑から僅か5分ほどで最初に出合った新しい林道に出ただけで、その接点にも踏み跡やテープの類は一つもなかった。 全ては新しい林道が登山道を分断してしまったことが今回の道迷いの原因のように思えたが、林道を作った側が登山道を認識していなかったのかも知れない。 防火帯と新しい林道との間の登山道の取り付きを見つけることが出来なかったので、最初に林道と出合った所から往路と同じ笹薮の斜面を登って戻ることにした。 防火帯と林道との間は30分ほどだったので、4人の記憶を繋ぎ合わせれば何とかなるだろうと思ったが、尾根の幅が広すぎて防火帯に戻ることが出来なかった。 日没も迫っていたので早々に諦めて再び林道に戻る。 新しい林道は下に向かって延びていたので、登山口の伝丈橋から今朝通った林道(御岳林道)とどこかで出合うはずだと思い、造林記念碑には戻らず、そのまま下に向かって下った。 ところが予想は外れ、林道は500mほど下った涸沢で突然終わっていた。 日没前でなければ強引に涸沢を下って御岳林道に出ることも出来そうだったが、造林記念碑まで戻ってさらに林道を延々と下れば確実に登山口へ戻れるので、無理をせず引き返すことに迷いはなかった。 造林記念碑を過ぎると間もなく日没となったが、林道なので歩くには全く問題ない。 造林記念碑から1時間ほどで今朝取り付いた登山道の入口に着き、7時半前に登山口の伝丈橋の車に戻れたので、結果的に登山道のコースタイムとはそれほど差がなかった。 帰宅後に改めて地形図を見たところ、登山道は防火帯の先で分断されていた。 最近ではこのルートを辿る人もなく、昭文社や山渓にそれを指摘する人もいないのだろう。 急遽計画した代替えの日帰り登山だったが、図らずも記憶に残る山行となった。


伝丈橋から右に分岐する通行止めの未舗装の林道


『金峰山頂』と記された小さなプレートが木に打ち付けられている所から取り付く


雑草が生い茂った防火帯の尾根を登る


登山道の手掛かりを求めて樹林帯の中の笹薮の斜面を登る


降り立った新しい林道では手掛かりは得られなかった


五丈岩の見える方向に向かって新しい林道を歩く


林道を離れて赤いペンキマークのある踏み跡を辿る


登山道と林道との出合


笹薮の中に建つ造林記念碑


出合からの登山道は明瞭で、新しいピンクのテープがベタ貼りされていた


造林記念碑と水晶峠の間にあった標識


水晶峠には『水晶盗掘禁止』と記された新しい看板があった


水晶峠を下り、大きな石が堆積した涸沢を遡る


御室小屋は屋根も抜け落ちて雨宿りも出来ない状態だった


五丈岩から直線的に並んだ岩塔を鎖を伝って登るく


五丈岩から直線的に並んだ岩塔を梯子を伝って登る


片手回し岩


山頂直下では頭上の五丈岩を見据えながら気持ちの良い岩場の登りとなった


五丈岩


大勢の登山者で賑わう金峰山の山頂


山頂から見た瑞牆山


造林記念碑のある登山道と林道との出合


帰路では尾根の幅が広すぎて防火帯に戻ることが出来なかった


造林記念碑から登山口の伝丈橋まで林道を延々と歩く


登山口の伝丈橋の通行止めのゲート


2 0 1 3 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P