《 17日 》 大沢山 ・ ボッコノ頭 ・ 大洞山 ・ 笹子雁ケ腹摺山
新中橋 〜 大沢山 〜 ボッコノ頭 〜 大洞山 〜 カヤノキビラノ頭 〜 中尾根ノ頭 〜 笹子峠 〜 笹子雁ケ腹摺山 〜 新中橋 (周回)
昨年の2月に山仲間の西さん&セッちゃんと笹子雁ケ腹摺山(1357m)に登った時から気になっていた笹子峠周辺の山を登った。 笹子峠周辺の山々は御坂の山と大菩薩の山との狭間にある言わば“空白地帯”のため、訪れる人は少ない。 国道20号線の新中橋のバス停の傍らにある『天野記念公園』のトイレのある駐車場に前泊し、翌朝6時過ぎに出発。 国道を笹子駅方面に少し戻り、登山口の奥野稲村神社へ車道を15分ほど歩く。 神社の境内には油性ペンで『大沢山登山口』と書かれた簡素な道標があり、それに従って踏み跡程度の山道をジグザグに辿って行く。 元々マイナーなルートなので、この時間帯では登る人もいない。 登山口の標高は700mほどだがすぐに雪道となり、昨日か一昨日大沢山を往復したと思われる新しいトレースがあった。 樹間から朝焼けに染まる笹子雁ケ腹摺山が見える。 神社から10分ほどで送電線の鉄塔があり、そこから1時間足らずで二つ目の鉄塔があったので、この登山道が巡視路を兼ねていることが分かった。 標高1000mを超えると積雪が多くなる一方、昨日の強風で所々トレースが消えていた。 登るにつれて雪は一段と深まり、予想以上に積雪は多かった。 神社から1時間半ほど登ると、ツボ足でもスノーシューでも登るスピードは同じくらいになったので、標高1100mくらいからスノーシューを履く。 吹き溜まりではスノーシューでも膝下まで沈み、この山域でこれだけ雪山の雰囲気を楽しめるとは思わなかった。 早朝は快晴だった天気は予報よりも悪くなり、雲は無いがどんよりとしているので陽射しのぬくもりを感じない。 コースタイムの2〜3割増しほどの時間を要し、神社から3時間ほどで御坂の山方面への分岐がある大沢山(1460m)に着いた。 ベンチの置かれた大沢山は南面だけが僅かに開け、富士山、御坂山、黒岳、そして北側の樹間からは大菩薩や奥秩父の山々が望まれ、山頂直下の木々の切れ目からはこれから辿るボッコノ頭とその背後に南アルプスの山並が一望された。 青空でないのが惜しまれる。 予想どおり大沢山でトレースは終わっていた。 大沢山からの下りでは尾根が痩せ、露出した岩や木の根でスノーシューでは歩きにくい所もあったが、依然として尾根の積雪は多かった。 テープ類は殆ど無かったが、登山道はずっと尾根通しに続いていたので、迷うところは全く無い。 曇天ながら木々の間から見える景色は、御坂の山からのものとも、大菩薩の山からのものとも微妙に違い新鮮だった。 大沢山から1時間足らずでボッコノ頭(1445m)に着く。 山頂には大沢山と同じ規格の新しい道標が立っていた。 疎林に囲まれ展望は良くないが、眼下には『カムイみさかスキー場』のゲレンデが見え、麓の藤の木集落からのルートを使えば、また様々な周回ルートが考えられそうだった。 休むことなく次のピークの大洞山に向かう。 山頂直下の下りでは雪が吹き溜まり、テレマークスキーのようにスノーシューが滑った。 途中の摺針峠(1291m)までの下りは積雪が多く、スノーシューで歩くには最適だったが、峠を過ぎると積雪が少なくなってきたので、スノーシューから6本爪のアイゼンに切り替える。 午前中は曇天だったが、次第に天気は良くなり、上空には青空が広がってきた。 予定より少し遅れて12時半に大洞山(1402m)の山頂に着く。 摺針峠付近で休憩したので休まずに指呼の間のカヤノキビラノ頭へ向かう。 カヤノキビラノ頭(1411m)は山頂というよりも笹子峠から京戸山やその先の達沢山への登山道との合流点という感じで、昨日か一昨日と思われる新しいトレースが笹子峠から京戸山方面へ続いていた。 意外にもカヤノキビラノ頭付近では少なかった雪は、中尾根ノ頭(1278m)を経て笹子峠に下るにつれて再び多くなり、急斜面となる峠の手前付近では股まで埋まる所もあった。 笹子峠(1100m)には笹子駅方面からのトレースはなく、反対側の甲斐大和駅方面と、これから向かう笹子雁ケ腹摺山方面にトレースが見られた。 直下をトンネルが通っている笹子峠は正に尾根の鞍部という感じで、両方向から山が迫っていた。 無雪期には峠の雰囲気は全く違うだろうから、是非再訪してみたいと思った。 日陰となっている寒々しい峠から急な斜面を少し登り返した日溜りで大休止し、笹子雁ケ腹摺山への最後の登りに入る。 笹子峠手前の大雪が嘘のように山肌に雪が全く無い所があり、その違いに驚かされる。 送電線の鉄塔を過ぎると再び雪が現れ、痩せた顕著な尾根を登る。 振り返れば、辿ってきた大沢山やボッコノ頭はすでに遠い存在になりつつあった。 3時半過ぎに最後のピークの笹子雁ケ腹摺山(1357m)に着く。 もうこの時間帯では登ってくる人もいない。 富士山を眺めながら寛いでいると、1年前の記憶が蘇ってきた。 登山口の新中橋へ下る登山道は、南斜面で雪も少なく凍ってなかったので、1時間ほどで下ることが出来た。