2  0  1  3  年     2  月  

《 3日 》    雨乞岳

雨乞尾白川林道ゲート 〜 ヴィレッジ白州 〜 雨乞岳  (往復)

   冬型が少しだけ緩むとの予報だったので、南アルプス前衛の雨乞岳(2036m)に行った。 雨乞岳は9年前の4月に石尊神社からホクギノ平経由で笹原の道を登り下りしながら登った記憶があるが、当時は登る人が少ないどちらかと言えば寂峰だった。 その後『山梨百名山』ブームなどもあってか、7年前に平久保池の畔に建つ公営の貸別荘施設『ヴィレッジ白州』からの登山道も整備され、近年は入山者が増えているようだ。 今年は1月でも山の積雪が多いので、ヴィレッジ白州からの登山道でも登る人は少ないだろうと思った。 道の駅『はくしゅう』に前泊し、翌朝登山口のヴィレッジ白州に向かう。 昨日は2月にしては気温が異常に高く、今朝も未明の気温が3℃もあり、そのせいか強風が一晩中止まなかった。 下教来石の集落の外れから除雪されていない雨乞尾白川林道を車で行ける所まで走る。 冬期通行止め(12月10日〜4月25日)のゲートから数100m手前で雪崩が道を塞いでいたので、その手前の空きスペースに車を停めて5時半に出発。 ゲートを越えてさらに1キロ弱林道を歩くと冬期休業中(12月〜3月)のヴィレッジ白州の駐車場があり、その先に雨乞岳の登山口の新しい道標があった。 林道には古い足跡があったが、予想どおり登山道にはトレースの痕跡は見られなかった。 積雪は10センチほどあったので、ここからスノーシューを履き、朝焼けに染まる富士山を拝んで6時半前に出発した。 新しく整備された登山道はネットの情報どおり道幅が広く、雪に覆われていても道型がはっきりしているので迷うことは無かったが、昨日からの気温の高さのせいで雪が柔らかく、ペースが思うように上がらない。 山頂までコースタイムは3時間ほどだが、その2倍くらいの時間が掛かりそうだった。 間もなく周囲が明るくなり、樹間からのご来光となった。 登山口から1時間ほどで最初の道標があった(全部で6つある)が、意外にもその地点は地図には載っていない『遊歩道』との合流点になっていて、下からのスノーシューのトレースが上がってきていた。 トレースは1週間ぐらい前のものと思われ、その先も山頂方面に続いていたので、図らずもここからはトレースを辿ることになった。 登山道が付けられている尾根は広いが、要所要所にテープ類があり、トレースがなくてもルートは比較的分かりやすかった。 一方、トレースは緩やかな登山道どおりではなく、直登気味に最短のルートで付けられていた。 間もなく積雪は20センチほどになったので、さらに多かった先週末だとラッセルが大変だったことだろう。 トレースは1605mのピークには登らずに藪をトラバースしていたので、やはりトレースの主はこの山を知り尽くしたパーティーに違いないと確信した。 最短のルートを辿れたお蔭で、予定よりだいぶ早く南面の木々が切れた展望の良いガレ場の淵まで登ることが出来た。 ガレ場の淵からはホクギノ平の稜線、そして日向山から大岩山に続く稜線の向こうに甲斐駒や鋸岳、地蔵岳のオベリスク、そして富士山などが望まれた。 トレースのお蔭で山頂までもうあと1時間ほどだと思われたので、ここでゆっくり展望を愛でながら寛ぐことにした。 重い腰を上げて山頂に向かうと、意外にもトレースはここで終わっていた。 恐らくトレースの主はこの山を何度も登っているので、展望の良いこの場所までとしたのだろう。 そんなことを想像しながら、再びラッセルを始める。 幸いここまで楽をしたので体力も気力も充分残っている。 積雪はさらに増して多い所で30センチほどとなったが、風が多少あるお蔭で部分的に雪が良く締まっていたのでラッセルはそれほど大変ではなかった。 結果的に全体の7割くらいはトレースがあったので、予定よりもだいぶ早い11時前に雨乞岳の山頂に着いた。 石尊神社からのトレースもなかったので、ここしばらくは誰も山頂を訪れていないことが分かった。 前回登った時の山頂の記憶は殆ど無かったが、山頂直下の笹原からは眼前の甲斐駒のみならず、八ケ岳や奥秩父の山々の眺めも良かった。 笹原で展望を楽しんでから、時間も充分あるので、山頂の先の尾根を少し辿ると、木々の間から入笠山周辺の稜線の向こうに純白の北アルプスの山々や乗鞍などが望まれた。 山頂に戻り正午ちょうどに下山を始める。 登ってくるパーティーは無かった。 あまり休まずに下ったので登山口のヴィレッジ白州には2時間ほどで着き、スノーシューを履いたまま林道を下って3時前に車に戻った。 往路では暗くて分からなかったが、途中の林道の脇に『遊歩道』を記した案内板があり、先ほどのトレースの主はそこから取り付いていたことが分かった。


雨乞尾白川林道の冬期通行止めのゲートを越えてヴィレッジ白州へ


雨乞岳の登山口の新しい道標


樹間からのご来光


登山道は道幅が広く雪に覆われていても道型がはっきりしているので迷うことは無い


『遊歩道』との合流点になっていた最初の道標


1週間ぐらい前のトレースが山頂方面に続いていた


登山道が付けられている尾根は広いが、要所要所にテープ類がある


積雪が20センチほどになる


トレースのお蔭で急斜面も労せずして登れた


トレースは緩やかな登山道どおりではなく、直登気味に最短のルートで付けられていた


樹間から見た雨乞岳


南面の木々が切れた展望の良いガレ場の淵で展望を愛でながら寛ぐ


ガレ場の淵から見た甲斐駒ケ岳


ガレ場の淵から見た地蔵岳


ガレ場の淵から見た鋸岳


ガレ場の淵から先は再びトレースの無い尾根を辿る


風が多少あるお蔭で部分的に雪が良く締まっていた


雨乞岳の山頂に着く


雨乞岳の山頂


山頂直下の笹原から見た八ケ岳


山頂直下の笹原から見た奥秩父の山々


山頂直下の笹原から見た甲斐駒ケ岳


山頂の先の尾根を少し辿った木々の間から見た純白の北アルプスの山々


山頂直下の笹原を下る


山頂からガレ場の淵へ下る


ガレ場の淵から登山口へ下る


雨乞岳の登山口


冬期休業中のヴィレッジ白州


林道の脇にある『遊歩道』を記した案内板


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