2  0  1  2  年   1  2  月  

《 24日 》    下十枚山 ・ 十枚山 ・ 大光山 ・ 奥大光山 ・ 大笹の頭 ・ バラの段

    正木峠 〜 地蔵峠 〜 下十枚山 〜 十枚山 〜 大光山 〜 奥大光山 〜 大笹の頭 〜 バラの段 〜 安倍峠 〜 梅ケ島温泉  (縦走)

   縦走2日目は4時に『黄金の湯』を出発する。 梅ケ島温泉の八絋嶺(1917m)への登山道の入口にある空地に車1台をデポし(安倍峠への車道が冬期通行止めのため)、昨日下山した正木峠へ向かう。 正木峠で朝食を食べ、5時半に出発する。 峠付近は風が強く、先行きが危ぶまれたが、間もなく風は治まり安堵する。 昨日の“下見”が功を奏し、地蔵峠までゆっくり登って40分ほどで着いた。 荘厳な朝焼けが始まり、昨日は全く見えなかった富士山のシルエットが神々しく望まれ嬉しくなる。 足取りも軽く下十枚山(1732m)への登りにかかる。 周囲が次第に明るくなり、昨日辿った青笹山への稜線と淡く染まる富士山や南アルプスの山々が見えた。 間もなく樹間からのご来光となり、地図にはない岩岳(1652m)というピークの脇から篠井山越しに秀麗な富士山が望まれた。 岩岳を過ぎると登山道の雪は多くなったが、トレースがあったので登るには全く支障がなかった。 コースタイムどおり地蔵峠から1時間半ほどで下十枚山の山頂に着いた。 意外にも根張りが大きく存在感のある下十枚山の山頂は狭く、雑木に覆われていたので展望は冴えなかった。 十枚山との鞍部の十枚峠(1580m)に少し下ると木々が疎らになり、十枚山越しに荒川岳から光岳までの南アルプスの山々やその前衛の笊ケ岳や大無間山などが望まれた。 意外にも北斜面となる十枚峠への下りでは積雪が急に多くなり、トレースが期待出来ない十枚山から先の縦走路の状況が気になった。 日溜りとなっている十枚峠の先で一息入れ、今日一番の展望が期待される十枚山(1726m)へ登る。 山頂手前から木々も疎らになり、駿河湾が望まれた。 ほぼ予定どおりの9時前に明るく開けた十枚山の山頂に着いた。 一昨年同じメンバーで登った時は曇天で寒々しかったが、今日は快晴無風で実に爽やかだ。 まだ時間も早いので他の登山者の姿は無い。 しばらく上機嫌で周囲の展望を楽しむ。 ここから梅ケ島温泉への下降点となる安倍峠(1488m)までは一昨年踏破しているが、今回はずっと雪の上を歩くことになるので、所要時間は正確には分からない。 運良く昨日反対方向からこちらに向かって縦走したパーティー(2人)の新しいトレースがあったので安堵する。 積雪は登りとなる南斜面では少なく、下りとなる北斜面で多くなるので、歩くには都合が良い。 また雪は比較的新しくまだ凍ってなかったので、最後までアイゼンを着けることなく歩くことが出来た。 次のピークの大光山(1661m)までは距離が長く、緩急のメリハリのあるアップダウンの繰り返しだったので妻には不評だったが、尾根は明るく所々で色々な展望が楽しめた。 途中の刈安峠の先の日溜りで一休みしたので、十枚山から2時間近くを要して大光山に着いた。 山頂から先にはトレースが無く、代りに真新しい熊の足跡があった。 ここまでのトレースは安倍峠からではなく、麓の草木の集落からこの大光山に登ってきたものだった。 登山道の積雪は10センチほどなので、鹿の足跡などを適当に拾いながら進む。 下りは夏道と同じスピードで歩けた。 意外にも次の奥大光山(1621m)の山頂で単独の男性と出会ったが、やはり安倍峠からの縦走ではなく、麓の三河内の集落から安倍の大滝を経由して登ってきたとのことだった。 奥大光山を過ぎると天気は早くも下り坂となり、南アルプスの銀嶺はいつの間にか雲の中となり、富士山にも雲が湧き始めた。 気温はマイナスだが、風が無いので寒さは感じない。 大笹の頭に近づくと尾根は次第に広くなり、単調な登り下りを繰り返す。 大笹の頭(1672m)・ワサビ沢の頭(1611m)は展望もないので写真を撮るだけで通過する。 最後のピークとなる急峻な山容のバラの段(1648m)が近づくと登山道は今日一番の急斜面となり、古いロープを頼りながらの登下降となる。 無事辿り着いた猫の額ほどの狭い山頂からは南東の方角に篠井山(1394m)が眼下に見えたが、北西の方角の八紘嶺や七面山はすでに霞んでいた。 山頂では一瞬陽が射したものの、その後は風花が舞ってきた。 バラの段から安倍峠までは一段と雪が深まったが、下りなので全く問題なかった。 車道が通じている安倍峠(1488m)には予定よりも30分ほど遅れただけで2時過ぎに着いた。 安倍峠で一息入れ、車道ではなく安倍川の源流沿いの山道を辿る。 途中で車道に合流した後、八絋嶺から梅ケ島温泉へ下る登山道に入る。 意外にもその直後に重荷を背負って登ってきた年配の単独の男性とすれ違った。 明日から八紘嶺から七面山へ縦走するとのことだったが、しばらくしてその男性が一昨年今日と同じ縦走路で唯一出会った方に良く似ていたことに気が付いた。 4時にデポした車に戻り、三度目となる正木峠へ車を回収して帰途についた。 尚、新東名が開通したお蔭で梅ケ島温泉方面へのアプローチは30分ほど短くなった。

        

未明に正木峠を出発する


正木峠から地蔵峠へ


地蔵峠から見た駿河湾方面の朝焼け


地蔵峠から下十枚山へ


下十枚山への登りから見た淡く染まる富士山


下十枚山への登りから見た淡く染まる南アルプスの山々


下十枚山への登りから見た青笹山


岩岳から篠井山越しに見た富士山


岩岳を過ぎると登山道の雪が多くなった


下十枚山の頂稜部


下十枚山への登りから見た聖岳(右)・上河内岳(中)・光岳(左)


下十枚山の山頂直下の登り


下十枚山の山頂は狭く、雑木に覆われていたので展望は冴えなかった


下十枚山の山頂直下から見た十枚山(手前)と南アルプスの山々   右端が七面山


下十枚山の山頂直下から見た大無間山


北斜面となる十枚峠への下りでは積雪が急に多くなった


十枚峠への下りから見た十枚山


十枚峠


十枚峠付近の明るく開けた登山道


十枚峠から十枚山へ


良い天気に恵まれた十枚山の山頂


十枚山の山頂から見た下十枚山(左上が駿河湾)


十枚山から先にも運良く新しいトレースがあった


大光山(山頂は左奥)


刈安峠手前の明るい尾根


刈安峠から見た十枚山


登りとなる南斜面の積雪は少なかった


大光山の山頂手前から見た十枚山(中央左)と下十枚山(中央右)


大光山(おおぴっかりやま)の山頂


登山道の積雪は10センチほどなので、鹿の足跡などを適当に拾いながら進む


奥大光山の手前から見た八絋嶺


大笹の頭の山頂手前の登り


バラの段手前の登山道は今日一番の急斜面となり、古いロープを頼りながらの登下降となる


急峻な山容のバラの段の頂稜部


猫の額ほどの狭いバラの段の山頂


バラの段から安倍峠までは一段と雪が深まった


安倍峠への下りから見た七面山(中央右奥)


地蔵峠から8時間ほどで安倍峠に辿り着く


安倍峠からは安倍川の源流沿いに昔の山道を辿る


梅ケ島温泉の八絋嶺への登山口


2 0 1 2 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P