2  0  1  2  年     9  月  

《 26日 〜 27日 》    中ノ岳 ・ 越後駒ケ岳

十字峡 〜 中ノ岳 〜 中ノ岳避難小屋(泊) 〜 越後駒ケ岳 〜 千之沢小屋  (縦走)

勤務先の3日間の夏季休暇の消化で久々に平日に山を登った。 土日と合わせて5連休となったため、当初は普段の週末では行けないような山やルートを計画していたが、残念ながら計画した山域の天気予報があまり良くなかった(結果的には良い方にハズレた)ので、ちょうど同じ日に登山を予定していた山仲間のハイジさん&ちー隊長の山行にご一緒させてもらうことになった。 ハイジさん&ちー隊長は、当初島々から徳本峠へ登り、霞沢岳を往復して上高地に縦走する計画をされていたが、やはり直前の天気予報を見て越後三山の中ノ岳へ変更されたとのことだった。 中ノ岳へは十字峡からの周回ルートが一般的だが、車が2台使えるので越後駒ヶ岳への縦走を提案し、出発の1時間前に急遽今回のルートが決定した。 前夜関越道の石打SAでハイジさん&ちー隊長と合流し、翌朝下山口とした千之沢小屋の駐車場に車を1台デポして、登山口とした十字峡に向かう。 平日にもかかわらず、十字峡のトンネルの出口の駐車場には車が6〜7台停まっていた。 避難小屋での水の貯えが懸念されていたので、登山口にいた地元の方に最近の雨の状況を尋ねたところ、この夏は雨が非常に少なかったが、数日前に一日中雨が降り続いたとのことで安堵した。 十字峡登山センターを7時半過ぎに出発し、日向山・中ノ岳方面へ急坂を登り始める。 十字峡から中ノ岳へのルートは二度ほど下りで辿ったことがあるが、十字峡から中ノ岳までは単純標高差で1600m以上、累積では1800mほどあるため、登りは避けたいとその都度思っていた。 登り始めはまだ涼しい空気が残っていたが、最初の水場(水不足で枯れていた)付近からは次第に残暑が厳しく感じられるようになった。 急ぐ旅ではないので中間点の日向山までは休憩をこまめに取り、予定どおり3時間半ほどかけてゆっくり登った。 眼前の中ノ岳や八海山、そして巻機山から続く稜線の山々が一望される日向山で30分ほど大休止し、一旦少し下ってから中ノ岳へ登り返す。 6合目を過ぎると気温の上昇で夏山の名残のような雲や霧が湧き始め、展望は無くなったが、登るにはむしろ好都合となった。 間もなく日帰りで中ノ岳を登った方々数人(全て単独)と三々五々すれ違う。 8合目の標識を過ぎると、先ほどまで稜線を覆っていた霧も次第に薄くなり、兎岳へと繋がる稜線の鞍部(池ノ段)まで登ると、正面に荒沢岳が望まれた。 足取りも軽く秋色に染まり始めた稜線をひと登りし、予定よりも少し早く2時半に中ノ岳の山頂に着いた。 あいにく越後駒は霧に閉ざされていたが、夕方や明日の朝には素晴らしい展望が待っているだろう。 今日の宿は山頂直下に建つ中ノ岳避難小屋だ。 この小屋は2000mを超える標高にあり、ロケーションも抜群なので、“避難小屋愛好家”の私としてはいつか泊まってみたいと願っていたが、図らずも平日の空いている時に泊まることが叶った。 ありがたいことに、小屋の傍らに設置されている雨水を溜める大きな水のタンク(容量は数百リッター)には綺麗な水が一杯入っていた。 小屋は予想どおり貸し切りで、私はラーメン、ハイジさん&ちー隊長はボッカしたビールやワインを飲んで寛ぐ。 皆で楽しく歓談していると、意外にも4時半過ぎに八海山方面から地元の方が1人来られた。 この方はTさんという長岡の宮司さんで、山頂で高らかに携えてきたホラ貝を吹いていた。 夕方になり雲が下がってきたので、小屋から数分の山頂で夕焼けショーを楽しむ。 雲海に浮ぶ八海山の幻想的な光景に一同の目が釘付けとなった。 日没後に小屋に戻り、夕食を作って食べる。 その後は誰も小屋に来なかったので、地元のTさんに新潟の食べ物やお酒の話などを色々と伺いつつ、図らずもホラ貝の吹き方の指南を受けることになった。


十字峡登山センターを出発する


千本松原(二合目)付近


千本松原付近から見た巻機山


日向山(五合目)への急坂を登る


日向山から見た中ノ岳


日向山から見た八海山


六合目を過ぎると雲や霧が湧き始め、展望は無くなった


稜線の鞍部(池ノ段・九合目)から見た荒沢岳


秋色に染まり始めた中ノ岳の山頂直下の稜線


中ノ岳の山頂


中ノ岳避難小屋


避難小屋の1階


中ノ岳を囲むおびただしい雲海


山頂で夕焼けショーを楽しむ


雲海に浮ぶ八海山の幻想的な光景


避難小屋の2階


Tさんからホラ貝の吹き方の指南を受ける


翌朝は少し寝坊して5時過ぎに起床する。 Tさんのいびきは、本人の申告どおりホラ貝以上だったらしい。 すでに朝焼けが始まっており、朝食中にご来光となった。 小屋の窓からご来光を拝む。 朝食後に出発の準備をしてから再び山頂に行く。 空は見事な秋晴れとなり、北の方角には越後駒・浅草岳・守門岳はもちろんのこと、飯豊や朝日連峰も遠望された。 南から西にかけては頸城や北アルプスの山々、そして富士山まで望まれた。 一方、東から南の方角にある丹後山から兎岳へのなだらかな稜線からは会津側に浮ぶ大量の雲や霧が滝のように十字峡方面の谷に流れ込み、その動きに一同の目が釘付けとなった。 いつまでも去りがたい山頂を辞し、7時過ぎに小屋を出発する。 Tさんは越後駒を越えて枝折峠に下るとのことで、越後駒まで相前後しながら進む。 小屋から一気に大きく下った後は、小さなアップダウンを繰り返して越後駒への稜線を辿る。 途中で休憩した場所にサングラスを忘れてしまい、往復30分ほどのアルバイトを強いられたが、平日なので稜線上では誰ともすれ違うことはなかった。 稜線の最低鞍部の天狗平からは笹原の中の急登となったが、道は見た目よりも良く踏まれていて登り易かった。 静かな千之沢小屋への下山ルートとの分岐で辿ってきた稜線を眺めながら一服し、越後駒の山頂に向かう。 山頂直下に駒ノ小屋があるためか、山頂付近では絶えず登山者の姿が見られた。 コースタイムどおりゆっくり歩いたので、山頂に着いたのは11時を過ぎていたが、まだ展望は利き、皆の目には佐渡ケ島まで見えたとのことだった。 Tさんがホラ貝を吹くと、山頂に居合わせた人も珍しそうに見入っていた。 最後の展望を楽しみ11時半に山頂とTさんに別れを告げる。 縦走路を少し戻って下山ルートに入り、指呼の間のグシガハナのピークに向かう。 グシガハナ付近は紅葉が少し綺麗だった。 グシガハナからはゴールの千之沢小屋の駐車場が眼下に見えたが、ここからの下りは非常に急峻であることが想像された。 見た目どおり急坂の連続となり、息をつく暇もないほどだ。 筋肉痛になることは間違いない。 先ほどまで見下ろしていた八海山をあっという間に見上げるようになり、林道と出合う十二平登山口までずっと急坂は続いた。 休憩をこまめに取りながら、グシガハナから3時間ほどで十二平登山口に降り立った時は正直ホッとした。 意外にも林道は雑草が生い茂り荒廃していた。 殺風景な林道を1時間ほど歩き、ほぼ予定どおり千之沢小屋の駐車場に4時半に着いた。 十字峡にデポした車を回収し、いつもの五十沢温泉で汗を流した。


未明の会津の山々


未明の越後駒ケ岳


ご来光


会津側に浮ぶ大量の雲や霧が滝のように十字峡方面の谷に流れ込む


中ノ岳の山頂から見た越後駒ケ岳


中ノ岳の山頂から見た荒沢岳


避難小屋の前でホラ貝を吹くTさん


避難小屋を出発する


避難小屋直下から見た越後駒ケ岳


稜線から見た中ノ岳


稜線から見た八海山


檜廊下付近


稜線から見た越後駒ケ岳


天狗平から越後駒ケ岳への登り


越後駒ケ岳の山頂直下


越後駒ケ岳の山頂


越後駒ケ岳の山頂から見た八海山


下山ルートをグシガハナのピークに向かう


グシガハナ付近から見た中ノ岳


グシガハナからは急斜面の下りが続いた


十二平登山口で荒廃した林道に降り立つ


水無川の残雪


千之沢小屋付近から見た急峻なグシガハナのピーク


千之沢小屋


2 0 1 2 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P