《 30日 》 会津駒ケ岳 ・ 中門岳 ・ 大杉岳
滝沢登山口 〜 会津駒ケ岳 〜 中門岳 〜 駒ノ小屋 〜 大津岐峠 〜 大杉岳 〜 御池 (縦走)
週末の天気予報では日曜日は午後から雨模様、土曜日は会津地方が快晴となっていたので、いくつかの選択肢の中から日帰りで会津駒ケ岳に登ることにした。 会津駒ケ岳は6年前の秋にキリンテから往復したのが最後だが、21年前のGWには滝沢橋から、13年前の春には滝沢橋からキリンテへ周回したので、今回はまだ未踏破の御池までの縦走ルートを計画した。 直前に山仲間のハイジさんから御一緒いただけるとの連絡があり、金曜日の夜に春日部から車1台で出発した。 道の駅『番屋』で前泊し、翌朝登山口の滝沢橋に向かう。 6時に登山口の駐車場に着くと、すでに10台以上の車が停まっていた。 6時半前に新緑が眩しい登山口を出発。 高度計は1100mを指していた。 予報どおりの快晴の天気で、すでに気温も上がり始めている。 のっけから急登が続くので意識的にゆっくりしたペースで登るが、それでも汗は止まらず、1時間もしないうちにオーバーヒート気味になり、早々に一休みする。 ハイジさんとの会話が弾み、暑くても登ることが苦にならないのが救いだ。 1700mを過ぎると木々の背も低くなり、南会津や日光方面の山々も見え始めた。 間もなく登山道に残雪が見られるようになると、空気が少しひんやりとしてきた。 駒ノ小屋直下の湿原からは青空の下に会津駒ケ岳の山頂や燧ケ岳が望まれ、思わず歓声を上げる。 すでに朝一番で登った人達が下ってくる。 9時前に駒ノ小屋に着き、ベンチで一休みする。 駒ノ小屋から山頂方面には雪が繋がっていたが、この時期にまだこれだけの残雪が稜線上にある山は少ないだろう。 駒ノ小屋からは緩やかな雪のスロープをひと登りする。 さすがに山頂直下では雪が無くなり木道の上を歩く。 9時半に会津駒ケ岳の狭い山頂に着く。 山頂が雪で覆われていない今の時期では山頂からの展望は良くないので、居合わせた方に記念写真を撮ってもらい、休まずに中門岳方面に向かう。 すぐにまた稜線に残雪が現れ、中門岳まで残雪を踏んで歩けることが分かった。 左手には平ケ岳、中ノ岳、越後駒ケ岳、右手には指呼の間に青々とした緑の三ツ岩岳が望まれた。 稜線からの開放感に溢れる景色に加え、中門岳までは下り基調だったので足取りは軽い。 中門岳の山頂の標柱は完全に雪から出ていて、残雪が池塘に変わりつつあった。 ここでランチタイムとした後、すぐ先の木道の終点まで足を延ばす。 木道の終点はすでに残雪が池塘に変わっていた。 まだ先は長いので、トンボ返りで会津駒ケ岳方面に戻る。 この時期に登る人は百名山狙いなのか、私達の後からは中門岳まで来る人は少なかった。 山頂直下を右から巻いて駒ノ小屋に11時過ぎに戻り、休むことなく大津岐峠方面への縦走路に入る。 ここからは尾根は痩せ、登山者の姿も無くなり、今までとは全く趣を異にする。 正面に燧ケ岳を望みながら大津岐峠までは下り基調で進むが、残雪も少なくなり夏山特有の暑さが蘇ってくる。 逆にそれまで見られなかった高山植物が次々と見られるようになった。 最初はみずみずしいシャクナゲが、その次にシラネアオイ、そしてハクサンコザクラなどが順次見られたが、意外にもシラネアオイはその後も稜線上のいたる所に咲いていた。 午後に入ってからは空が鉛色の雲に覆われるようになったが、逆にそれが暑さを和らげてくれて助かった。 キリンテへ下る登山道が分岐する大津岐峠を過ぎると、会津駒ケ岳からは小さく見えた燧ケ岳が次第に大きくなっていく。 大津岐峠から御池までは初めて歩くルートだ。 熊笹と灌木を切り裂いた地味な稜線の登山道を足元の高山植物に癒されながら次の目標の電発避難小屋に向かう。 所々にある残雪が蒸し暑さを和らげてくれる。 予報が外れたのか、とうとう小雨がパラつき始めた。 電発避難小屋付近から七入の集落に下る道もあったが、避難小屋(送電線の施設で一般の使用不可)の近くで一息入れていると青空が戻ってきたので、予定どおり大杉岳を経て御池に縦走することにした。 一昔前はそれなりに登山者の往来があったのか、所々に苔むした木道が見られた。 電発避難小屋から1時間足らずで最後のピークの大杉岳に着く。 展望の無い地味な山頂の立派な標柱は雪の重みで傾いていた。 意外にも御池への下りの登山道は良く手入れがされていてとても歩き易かった。 山頂から少し下ると樹間から燧ケ岳が眼前に大きく望まれ、ここがもう尾瀬の一角であるかのようだった。 さらに下るとブナやモミジの木々が多くなり、紅葉の時期の素晴らしさが想像出来た。 大杉岳から40分ほどで奥只見湖に通じる国道に飛び出し、10分ほど歩いて4時過ぎに御池ロッジに着いた。 水芭蕉の最盛期が終わったためか、観光客やハイカーの姿は少なめだった。 ロッジの休憩所で思いがけずハイジさんが年配の女性から、その方が飲んでいた缶ビールを勧められるという“珍事”があった。 4時40分発の田島行のバスに乗って滝沢橋の駒ケ岳登山口で下車し、15分ほど車道を登って駐車場の車を回収する。 桧枝岐の蕎麦屋『開山』で美味しい蕎麦に舌鼓を打ち、貸し切り状態の『駒の湯』でゆったりと汗を流して帰途についた。