2  0  1  2  年     6  月  

《 23日 〜 24日 》    檜尾岳 ・ 熊沢岳 ・ 空木岳

菅ノ台 〜 桧尾橋 〜 檜尾避難小屋(泊) 〜 檜尾岳 〜 熊沢岳 〜 東川岳 〜 空木岳 〜 菅ノ台  (周回)

   梅雨の合間の貴重な晴天を拾って1か月ぶりに山に登った。 東北の山は花が盛りだろうが、少しでも天気予報の良い長野方面ということで、以前から再訪したいと思っていた中央アルプスの檜尾避難小屋に泊まりに行くことにした。 檜尾避難小屋は20年前の夏に空木岳から木曽駒へ縦走した時に泊まって以来で、木曽殿越から木曽駒間の縦走路もそれ以降歩いていなかった。 丸い屋根の避難小屋は当時の私にとってはとても印象的だった。 飯豊を計画していた山仲間の西さん&セッちゃんも天気予報を見て予定を変更し、急遽この山行にお付き合いいただくことになった。 高速道路のパーキングでは日本一?快適な中央道の小黒川PAで前泊し、翌朝ゴールとした空木岳の登山口に向かう。 池山林道の終点の駐車場にはすでに20台近くの車が停まっていて驚いた。 林道の路肩に車を1台デポし、麓の駒ケ池の畔にもう1台を停めて、菅ノ台バスセンターから駒ケ岳ロープウェイ駅行のバスに乗る。 意外にも大きな荷物を背負った登山者の姿は見られなかった。 途中の桧尾橋で下車し、5分ほど車道を登った先の檜尾岳の登山口を8時半過ぎに出発。 登山口の標高は1200mほどだった。 登山口から檜尾尾根の末端の赤沢ノ頭までは勾配もややきつく、陽射しは弱いが慣れない蒸し暑さで足取りが重い。 標高2000mほどの展望のない赤沢ノ頭を過ぎるとようやく尾根が顕著となり、僅かに感じる風が涼しくなってきた。 すでに山は夏の装いとなり、時折樹間から見える千畳敷カールの残雪も少ない。 2500mを過ぎると森林限界となり、前方には檜尾岳の山頂、右手には意外なアングルで三ノ沢岳、そして左手には明日登る予定の空木岳がすっきり望まれるようになった。 間もなく指呼の間に懐かしい檜尾避難小屋がポツンと見えるようになり心が弾んだが、避難小屋直下の水場はまだ残雪に覆われていてガッカリした。 登山口から5時間半ほどで避難小屋に着くと、予想に反してまだ誰もいなかった。 ゴザが敷かれた10畳ほどの室内には、ネットの情報どおり夏用のシュラフが10個ほどあり、厚めのウレタンマットも豊富にあった。 また、前回は無かった立派なトイレが小屋の脇に設置されていた。 快適な避難小屋でゆっくり寛ぐことを目論んでいたが、水を作らなければならないので、休む間もなく山頂方面へ少し行った雪田から雪を拾ってきて水作りを始める。 水作りを想定していなかったので、持参した残量の少ないGWの使い古しのガスボンベ2個をだましだまし使い、ゴミもハンカチで漉したため6リッターの水を作るのに2時間以上も掛かってしまった。 皆でこれから何人が小屋に来るかという賭けをしたが、夕方になって木曽駒方面から単独の男性が2名来ただけだったので、15人ほど泊まれる小屋を広々と使うことが出来た。 いつものように西さん&セッちゃんの夕食は豪華で、今日も焼き鳥やデザートのマンゴープリンとサクランボを頂いた。 夕方から雲が多くなってしまい、夕焼けショーは期待出来なかったので、まだ明るさの残る7時過ぎに寝たが、ここからが悪夢の始まりで、隣の若い人の大音響のイビキが深夜まで延々と続き、皆殆ど眠れぬまま起床時間の3時となってしまった。


菅ノ台から見た宝剣岳


駒ケ岳ロープウェイ駅行のバスに乗り桧尾橋で下車する


檜尾岳の登山口


慣れない蒸し暑さで足取りが重い


2500mを過ぎると森林限界となる


森林限界から見た檜尾避難小屋(左)と檜尾岳(中央)


森林限界から見た空木岳


森林限界から見た三ノ沢岳


森林限界から見た宝剣岳


避難小屋直下の水場はまだ残雪に覆われていた


檜尾避難小屋


避難小屋の内部


いつも豪華な西さん&セッちゃんの夕食


   寝不足で頭痛もするが、予定どおり4時に避難小屋を出発。 20年ぶりの懐かしい避難小屋での一夜は別の意味でとても印象深いものとなってしまった。 いつの間にか夏至は過ぎ、周囲はまだうす暗い。 空には雲があるようで星は見えなかったが、麓の町の夜景が奇麗だ。 避難小屋から10分ほどで未明の檜尾岳の山頂に着く。 八ケ岳方面の空が朝焼けに燃え始め、黎明の山々の景色を堪能する。 いつまでも佇んでいたい頂だが、4時半前に次のピークの熊沢岳に向かって稜線を歩き始める。 雪の無い稜線を歩くのも久しぶりだ。 間もなくご来光となったが空には薄雲が広がり、清々しい青空にはならなかった。 熊沢岳は大きな岩が散在するユニークな頂の山だったが、20年前の記憶のかけらもなかった。 間もなく初めての縦走者とすれ違ったが、空木平の避難小屋からではなく、今朝零時に池山登山口から登ってきたというトレランの猛者だった。 その後もすれ違った縦走者は2人のみで、シーズンを外せば未だに中アの縦走路は静かであることが分かった。 一方、期待していた高山植物は、キバナシャクナゲ、ハクサンイチゲ、イワカガミなどが所々に点在するだけで、一面がお花畑になっている所は無かった。 東川岳からは眼前に屹立する空木岳を望みながら、木曽殿越のコルに向けて一気に急降下する。 来週から営業の始まる木曽殿山荘のベンチで一息入れ、400m近くの標高差がある空木岳へ登り返す。 高度を上げるにつれ、檜尾避難小屋や辿ってきた縦走路が一望されるようになる。 図らずも私達と入れ替わるようにヘリが木曽殿山荘へスタッフと物資を運んで飛んできた。 山頂が近づくと岩のオブジェが現れ、岩の間を縫うようにして登る。 山頂直下の岩場は以前より整備されて登り易くなっていた。 8時半過ぎに2年振りとなる空木岳の山頂に到着。 奇しくもメンバーは前回と同じだった。 セッちゃんからサプライズの美味しい干し柿をいただき、最後の大展望を楽しむ。 予報どおり早々と稜線に雲が湧き始めた。 下山は“駒石”という大岩を経由して池山尾根を下る。 駒石の他にもユニークな形の岩が所々に点在していて面白かった。 夏山らしく日帰りの軽装の登山者と時折すれ違う。 池山尾根の登山道にも残雪は殆どなく、正午に池山小屋まで下ることが出来た。 居心地の良い小屋で寛ぐつもりでいたが、中央道の渋滞が気になり、休憩もそこそこに足早に林道に向けて下る。 1時過ぎにデポした車に戻り、駒ケ池の畔に停めた車を回収して帰途についた。


未明の檜尾岳の山頂


檜尾岳の山頂から見た燃えるような朝焼け


檜尾避難小屋と南アルプスの山々


熊沢岳に向かって稜線を歩き始める


ご来光(中央左が檜尾避難小屋)


僅かに残る稜線の雪


熊沢岳


熊沢岳の山頂


熊沢岳の山頂から見た木曽駒(中央左)と宝剣岳(中央右)


熊沢岳の山頂から見た空木岳(左)と南駒ケ岳(右)


熊沢岳の山頂から見た御嶽山


熊沢岳の山頂から見た南アルプスの山々


熊沢岳から東川岳へ


東川岳から木曽殿越に下る途中から見た空木岳


木曽殿越のコルに建つ木曽殿山荘


木曽殿越から空木岳へ登り返す


岩のオブジェを縫うようにして登る


南駒ケ岳


空木岳直下の岩場


空木岳直下


空木岳の山頂


空木岳の山頂から見た空木平と池山尾根(左)


池山尾根を下る


駒石


駒石の他にもユニークな形の岩が所々に点在していて面白い


2 0 1 2 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P