《 27日 》 富士山 <スキー>
須走口 〜 須走口頂上 〜 剣ケ峰 (往復)
山仲間のKana-catさんからお誘いがあり、富士山にご一緒させていただいた。 Kana-catさんはすでに今シーズンGWに須走口から、そして先週は富士宮口からスキーで富士山に登られていたが、今年の残雪の量は異常に多いとのことだった。 この辺りの情報はネット社会なのですぐに広まり、週末を中心に大勢のスキーヤーで賑わっているようだった。 混雑する富士宮口は避け、この時期には登る人がいない御殿場口を除いて一番マイナーな須走口からの往復とした。 須走口の駐車場で前泊し、翌朝3時半に出発。 スキーの人は出発が遅いので予想どおり先行者はいない。 今回は私のみスキーで登ることにした。 通行止めの柵の手前で高度計を2000mに合わせる。 通い慣れた登山道を1時間ほど登ると雪が現れ、間もなく登山道が灌木の藪になってしまったので、登山道を外れて砂地の斜面をしばらく登る。 天気は予報以上に良く、ご来光も拝むことが出来た。 2350m付近で残雪が上から途切れることなく続いているのが見えたので、妻とKana-catさんはアイゼンを着け、私はスキーを履いてシールで登る。 いつも風の洗礼を受ける6合目付近も今日は珍しく風が無い。 残雪の舌端から最初の1時間ほどは傾斜も緩く雪も硬くなかったので、ツボ足の二人のペースと同じか、むしろ私の方が早かったが、標高が上がるにつれて雪が硬くなり、常に私が遅れをとるようになってしまった。 その後も所々で快適にシールで登れる所があったので、ついついスキーを担ぐタイミングを逸してしまった。 まだまだ先は長いが、その反面山頂からの滑走に期待が高まる。 本8合目からは吉田口と合流するので、上方には登山者の姿も見られるようになったが、その殆どは前日に8合目に泊まり、山頂直下で雪訓をしていたB山の会のメンバーであることがリーダーとの雑談で分かった。 本8合目の小屋からは二人に先行してもらい、途中からスキーを担いで登る。 10時前にようやく須走口頂上に着いた。 先に到着していたKana-catさんを30分近く待たせてしまったので、スキーをデポして休む間もなく山頂に向かう。 いつものように須走口頂上付近は風が強いが、富士宮口に向かっていくと風は次第に収まった。 途中の伊豆岳は巻道の雪の付き方が悪く、ピークを踏んでいかなければならず煩わしい。 Kana-catさんの話どおり、山頂付近は残雪が明らかに多く、またGW以降の降雪により山肌が真っ白だった。 予想どおり富士宮口頂上には大勢のスキーヤーの姿が見られ、馬の背から山頂方面もGW並に賑わっていた。 11時過ぎに剣ケ峰に着くと、山頂の標柱はまだ3分の2が雪に埋もれていた。 快晴無風の山頂で30分ほどゆっくり寛ぐ。 雪も緩み始めたので、近くにいたスキーヤー達が一斉にお釜の底をめがけて滑り込んでいく。 滑走時間はあっという間なので、登り返してくるスキーヤーの列がアリの行列のようで面白い。 12時半前に須走口頂上に戻り、シールを剥がして滑走の準備を始める。 滑り始めたらスピードは全く違ってしまうので二人には先に行ってもらう。 1時前に須走口頂上をスタートしたが、まだ山頂直下の斜面の雪が硬く、私の技術では滑ることが出来なかった。 あと1時間もすれば柔らかくなるのだろうが、そんな悠長なことは言ってられない。 仕方なくピッケルを突きながらしばらく二の字で下りる。 間が悪いことにちょうど周囲に霧が湧き、下の二人とお互いの位置が確認できない状況になってしまった。 二人は何で私が滑ってこないのか、理解に苦しんでいるに違いない。 下からは吉田口からと思われる団体のスキーヤーが、山頂からの滑り出しの時間を調整しているかのように、ゆっくりとしたペースで次々と登ってくる。 須走口頂上から標高差で50mほど下った所でようやくターンだけは出来るようになったが、霧で視界が悪いので、ピッケルをザックのウエストベルトに差して1ターンずつ滑って雪面の様子を見る。 雪の表面は見事なまでに標高に比例して柔らかくなっていくのが分かる。 9合目の鳥居の所からようやくまともに滑ることが出来るようになった。 霧の合間からようやく二人の姿も確認出来た。 首を長くして待つていた二人にようやく追いつき、いよいよ待ちに待った大斜面の滑走だ。 登ってくる人もいなくなった広大な斜面は貸し切り状態だ。 傾斜の緩む本8合目から8合目付近の雪は極上のザラメになっていて、一気に滑り下りてしまったが、立ち止まって高度計を見るとまだ3200m以上あり、日本一の富士山の高さをあらためて実感した。 山頂直下は滑れなかった(上手い人は滑れる)ものの、山頂直下の雪の状態が良くなる頃にはこの辺りの雪は重くなってしまうので、自分としては大満足だった。 8合目から7合目の間は雪が重くなったが、斜面の起伏は全く無いので、スキーが下手な私でも思いどおりにスキーをコントロールすることが出来た。 東北や上越にはスキーに適した山が多いが、標高差1000m以上の無木立の広大なバーンは日本中ここにしか存在しないのだからその滑りは痛快だ。 7合目から下では雪もさらに重くなったが、消化試合という感じではなく、それなりに楽しめた。 初めて滑った富士山の印象はとても良く、次回は剣ケ峰には登らずに、午前中に9合目から7合目辺りまで滑り、再び登り返して雪の緩む午後の遅い時間帯に須走口頂上から純粋にスキーだけを楽しんでも良いかなと思った。