2  0  1  2  年     5  月  

《 12日 〜 13日 》    塩見岳

鳥倉林道 〜 三伏峠 〜 本谷山(テント泊) 〜 塩見岳    (往復)

   GWの前半に計画した中央アルプスの寂峰の奥念丈岳に行く準備をしていたが、直前に山仲間の西さん&セッちゃんが塩見岳に行かれることが分かり、急遽ご一緒させてもらうことにした。 中央道の小黒川PAで前泊し、翌朝登山口の鳥倉林道の通行止めゲート前の広い駐車場に向かう。 西さん&セッちゃんは既に到着し、ちょうど出発するところだった。 駐車場には私達以外に2台の車があり、西さんの話では私達と同じ4人のパーティーとのことらしい。 西さん&セッちゃんを見送り、20分ほど遅れて8時過ぎに私達も出発。 しばらく舗装された林道を歩いた所でスコップを忘れたことに気が付き慌てて車に取りに戻る。 ただでさえうんざりする林道を余計に歩くことになってしまった。 一人遅れて40分ほど林道を足早に歩き、ようやく9時前に三伏峠への登山道に入る。 標高1800mほどの登山口付近には雪は全く無く、青々としたコバイケイソウの株が登山道の脇に点在し、初夏の雰囲気が漂っていた。 天気は予報どおり寒気の影響であまり良くないが、登るには涼しくてちょうど良い。 三伏峠への登山道は2年前の秋に荒川岳に登った時に辿っているので記憶に新しい。 登山口から1時間ほど登ると、標高2200m辺りの起伏の少ない北側斜面に入った所から登山道に雪が現れた。 雪は三伏峠まで途切れることなく続いていたが、トレースが出来ていたので、一部の箇所を除いては無雪期と同じ感覚で登ることが出来た。 塩川からのルートとの分岐の手前辺りで西さん&セッちゃんと合流し、正午前に静かな三伏峠に着いた。 三伏峠小屋はまだ半分雪に埋もれていた。 別棟の冬期小屋の中を覗くと、室内は明るくとても良い感じで、思わず泊まって行きたくなるような誘惑に駆られた。 小屋の前で塩見岳を眺めながらランチタイムとし、12時半に重い腰を上げて今日の宿泊場所の本谷山に向かう。 塩見岳に初めて登ったのは18年前の盛夏で、当時はまだ塩見小屋でテントが張れた。 当時も今回と同じ三伏峠から辿ったがルートの記憶は全くない。 その後はしばらく塩見岳には登ってなく、3年前の晩秋に仙丈岳からの縦走で登ったのが2回目で、この時も下山は塩見新道を使ったので、三伏峠は通らなかった。 三伏峠から15分ほど樹林の中を進むと、労せずして三伏山に着いた。 三伏山の山頂は360度の展望が利き、眼前の塩見岳や小河内岳のみならず、仙丈岳や北岳も良く見えた。 三伏山から本谷山へは専ら樹林帯の中を辿ったが、残雪が意外と多く、灌木の枝がちょうど頭や顔の高さになってしまうのが煩わしい。 GWの古いトレースと先行している4人のパーティーのトレースがあり、また寒気の影響で気温が低いため、危惧していた踏み抜きは殆どなかった。 予定よりも少し早く2時に本谷山の山頂に着いた。 山頂周辺も残雪が多く、標柱はまだ雪に埋もれていた。 先に着いた4人のパーティーにラッセルのお礼を言うと、その中の一人の方から「もしかして青空山岳会さんですか?」と聞かれて驚いた。 初対面の若い方だったが、超マイナーな私のHPを見ていただいているようでとても嬉しかった。 山頂付近は風も当たり、平らなスペースがあまりなかったので、塩見岳方面に少し下った所に平らな場所を見つけて幕場とした。 幕場からは樹間から荒川岳が良く見えた。 意外にも最近(昨夜か)新雪が数センチ降ったようで、GWの古いトレースは消えかかっていた。 心配していた夕立も無く、逆に天気は明日に向けて尻上りに良くなっていくような感じがしたが、相変わらず空気は冷たかった。 今日も西さん&セッちゃんの夕飯の献立は豪華で、乾杯用のビール、前菜のトリフを載せたクラッカー、メインのちらし寿司とポテトサラダ、デザートに生クリーム付の抹茶ケーキのなどを頂き、持参したスパゲティを食べる前からお腹が一杯になってしまった。


三伏峠への登山道の入口付近には雪は全く無かった


塩川からのルートとの分岐の手前辺りで西さん&セッちゃんと合流する


三伏峠直下の登山道


三伏峠直下から見た本谷山


三伏峠


三伏峠小屋はまだ半分雪に埋もれていた


別棟の冬期小屋の室内は明るくてとても良い感じだった


三伏山から見た塩見岳


三伏山直下から見た本谷山


三伏山から本谷山へは専ら樹林帯の中を辿る


本谷山から見た塩見岳


本谷山から塩見岳方面に少し下った平らな場所を幕場とした


幕場から見た荒川岳


   先週と全く同じように夜中に風がテントを叩くことは無かったが、強い風の音が夜半から断続的に聞こえていた。 3時に起きて空を見上げると、月や星が見えていたので安堵した。 風の音もいつの間にか聞こえなくなっていた。 予定どおり周囲が明るくなった4時15分に幕場を出発。 北岳方面が朝焼けに染まり、予報どおり快晴の天気になりそうだ。 GWの古いトレースの上に新雪が積っているため所々でルートが不明瞭となるが、雪が良く締まっているのでアイゼンが良く利く。 風がないため予想以上に暖かく、気温はプラスになっているだろう。 権右衛門山との間の最低コルの2512m地点までの広い尾根を8つの目でルートファインディングしながら下る。 間もなく立ち枯れた木々の間から塩見岳が大きく望まれた。 古いトレースはバラバラながらも大いに役立ち、それほど迷わずに最低コルまで進むことが出来た。 最低コルからは権右衛門山を巻く夏道の登山道ではなく、冬道を尾根通しに権右衛門山に登って塩見新道に合流するつもりでいたが、木々にテープが付けられた登山道に古いトレースが残っていたのでこれを辿ることにした。 巻道の方が楽だと思ったが、昨日と同じように残雪が多いため、登山道でありながら灌木の枝が行く手を塞ぎ、真っ直ぐに進むことが出来ない。 これで踏み抜きがあったら相当な労力と時間が掛かるだろう。 20分ほどで藪と化した灌木帯を抜けると、ようやく植生がカラ松などに変わって歩き易くなった。 巻き道から塩見新道の尾根に這い上がる斜面の下で一休みすると、意外にもいつも一番元気なセッちゃんから体調が悪いという申し出があった。 距離はすでに山頂までのほぼ半分きていたので、引き返すならここが良いと思ったが、セッちゃんはまだ先に進みたいと言うので、とりあえず塩見小屋まで行って様子を見ることにした。 急坂をひと登りすると権右衛門山からの塩見新道と合流した。 ここからは森林限界となり、展望が一気に開けた。 森林限界から上では風が強かったのか、新雪は見られずGWのトレースがはっきり残っていた。 間もなく塩見小屋に着くと、天狗岩と山頂(西峰)が指呼の間に望まれ、その威圧的な風景に思わず息を飲む。 塩見小屋はまだ殆ど雪に埋もれていた。 塩見小屋付近で小休止し、一旦下って山頂への岩稜帯への登りに入る。 風もなく天気が安定していたので、セッちゃんも山頂を目指すことになった。 ありがたいことに登山道がほぼ露出していたので、核心と思われた岩稜帯を労せずして登ることが出来た。 天狗岩への登りで1回と山頂(西峰)への登りで1回だけロープで確保しながらトレースの消えた雪の斜面をトラバースした。 西峰へ登る途中でようやく後続の4人のパーティーの姿が見えた。 セッちゃんは相変わらず体調が悪そうだったが、モチベーションは全く下がっていない。 8時ちょうどに待望の山頂(西峰)に着いた。 もちろん私達以外には誰もいない。 写真を撮ってすぐ先の最高点の東峰に進む。 快晴無風の山頂からは近くから遠くまで周囲の山々が全て見渡せ、今回の山行を計画したセッちゃんの顔にも少し笑顔が戻った。 30分ほど大展望に歓喜しながら山頂で寛いでいると、後続の4人のパーティーが西峰に着いた。 重い腰を上げて8時半に山頂を辞し、西峰で寛いでいた4人のパーティーと写真を撮り合った。 他に登ってくる人の姿は見えず、今日登頂したのはここにいる2パーティーのみだった。 帰路は気温の上昇による暑さや踏み抜きを危惧していたが、予報以上に気温が上がらなかったようで助かった。 幕場には11時半に戻ったが、撤収作業に時間が掛かり出発は1時前になってしまった。 今日は一日中快晴の天気が続くと思われたが、午後からは少し雲が出てきたので下山するだけとなった身には有難かった。 セッちゃんも何とか頑張って歩き通し、夕方の6時前に無事駐車場に着いた。


未明に幕場を出発する


樹間から見た黎明の塩見岳


古いトレースが残っていたので権右衛門山を巻く登山道を辿る


塩見新道との分岐


塩見小屋直下の登り(背景は権右衛門山と中央アルプス)


塩見小屋はまだ殆ど雪に埋もれていた


塩見小屋付近から見た塩見岳(西峰)と天狗岩(右)


天狗岩への登りから見た本谷山


天狗岩への登りから見た小河内岳


核心と思われた岩稜帯は登山道がほぼ露出していた


ロープで確保しながらトレースの消えた雪の斜面をトラバースする


塩見岳への登りから見た天狗岩


塩見岳への登り


山頂直下の岩場


塩見岳(西峰)


西峰から見た仙丈岳(左)と間ノ岳(右)   中央遠景は甲斐駒


西峰から東峰へ


塩見岳(東峰)


東峰から見た蝙蝠岳


東峰から見た荒川岳


東峰から見た間ノ岳(左)と農鳥岳(右)


東峰から見た西峰


塩見岳(西峰)


本谷山への登りから見た塩見岳


本谷山直下から見た塩見岳


三伏山から見た塩見岳


三伏峠から見た塩見岳


2 0 1 2 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P