《 21日 》 浅草岳 <スキー>
大自然館 〜 嘉平与ボッチ 〜 浅草岳 〜 早坂尾根 〜 車道 〜 大自然館 (周回)
先週末に谷川岳を登った時に新潟の山の残雪の多さを実感したので、今年は4月下旬でもまだこの方面での山スキーが楽しめると思った。 週末の天気予報では北へ行くほど天気は良く、新潟は晴れだったが関東は曇りだったので、県境の谷川岳周辺よりも北の守門・浅草方面に足を延ばすことにした。 守門岳には二分(二口)と大原の両登山口からスキーで登っていたが、浅草岳にはスキーで登ったことがなかったので、今回は浅草岳に登ることにした。 ネットの情報を見ると、山頂から北に派生している早坂尾根というなだらかな尾根を滑るルートに人気があるようだった。 関越道の大和PAで前泊し、翌朝この時期の浅草岳への登山口となっている『ホテル大自然館』前の除雪終了点に向かう。 6時前で車がすでに数台停まっていた。 6時過ぎに地元の3人のパーティーと相前後して出発する。 標高はまだ500mだ。 帰路に辿る雪に埋もれた車道を5分ほど進み、右手の林道に入る。 林道も雪に埋もれていたので“道”という感じはしない。 先週末あたりの古いツボ足とスキーのトレースが残っていた。 30分ほど3人のパーティーと少し雑談をしながらシールで登って行ったが、何らかの事情で3人の歩みが遅くなり、私達が先行することになったが、図らずも山頂まで亀足の私達が先行することになった。 直前に行先を決めたため研究不足だったが、今回登ったルートは地元では通称“白崩沢ルート”と呼ばれているらしく、取り付きの林道から登山道のある通称“桜曽根”という尾根よりも一本南側の尾根を辿り、山頂手前の嘉平与ボッチのピークで登山道と合流して山頂に達するというものだった。 地形図上この林道はムジナ沢登山口からの登山道と標高600mあたりで交差しているが、今回はその地点は分からなかった。 道型と古いトレースを拾いながら進んでいくと、いつの間にか林道を離れ自然に尾根に取り付いていた。 入山者が多い割には取り付き付近のみならずルート上にも赤布の類が無いのが不思議だった。 道型は比較的明瞭だが、トレースがなければある程度ルートファインディングが求められる。 途中の何か所かに古い赤布があり、ルートを外していないことだけは分かった。 杉林からブナ林に変わる標高800m辺りから急登となったが、雪の状態が良くシールが効いたので登り易かった。 背後には守門岳が大きく望まれるようになり、中間点の標高1000m付近は緩やかで顕著な尾根の末端の平坦地になっていて目標の嘉平与ボッチが望まれた。 天気も予報以上の快晴となり20分ほど大休止する。 まだ後続のパーティーの姿は見えない。 ここから先の尾根は木々も疎らで見通しが良く、悪天候でもない限り迷うことはないだろう。 左手には登山道の尾根とその向こうに山頂から派生するなだらかな早坂尾根が見え、右手には越後三山が見えた。 風もなく絶好の登山日和となり、周囲の山々を眺めながらどこまでも登って行けそうな気持の良い登高が続く。 粟ケ岳・御神楽岳の向こうに飯豊や二王子岳も遠望された。 9時半過ぎに嘉平与ボッチのピークに到着。 気温の上昇で所々に雲海が見られ幻想的だ。 山頂は指呼の間の前岳に隠されて見えないが、衛星峰の北岳や鬼ケ面山の眺めが良い。 ようやく後続のパーティーの姿が見えてきた。 スキーなら下りは早いので、皆ゆっくりスタートしてくるのだろう。 私達も急ぐ必要はないので、またまた大休止だ。 前岳山頂では眼下に田子倉湖が望まれるようになり、そこから僅かな時間で浅草岳の山頂に10時半に着いた。 豪雪を誇る山だが意外にも山頂部分の雪は溶け、三角点や山名の標柱が出ていた。 私達が一番かと思ったら、早坂尾根を登ってきた若い単独氏が一足先に着いたようだ。 写真を撮り合いながら話を伺うと、車道から早坂尾根の地形図上の1145m地点に登る取り付きには赤布の類はなく、迷いながら登ってきたのでトレースは追わない方が良いとのことだった。 まだ時間も早いので山頂でのんびり寛いでいると、次々とパーティーが到着し、延べ20人ほどとなった。 中には早坂尾根を長靴で登ってきた地元の4人パーティーもいた。 1時間後にようやく重い腰を上げ、11時半に若い単独氏に続いて早坂尾根を滑り出す。 無木立の早坂尾根は本当に緩やかな斜面で、スキー場に例えれば全くの初心者コースだ。 長大な尾根の中間部辺りまでは良質のザラメで極楽のスキーを楽しめた。 これほどゆるゆるな斜面は今まで経験がなく、ある意味とても印象的だった。 地形図上の1206m地点を過ぎると緩い傾斜が一段と緩くなり、ストックで雪を漕ぎながら進む。 広大な雪原はまるで“雪の砂漠”だ。 地形図上の1145m付近からは90度西に折れ、登山口の『ホテル大自然館』に通じる車道まで樹林帯を滑って下る。 1145m付近にも赤布の類はなかったが、4本並んだブナの木の所に林道から長靴で登ってきた4人パーティーのトレースと先行した単独氏のシュプールがあった。 そのトレースを辿って滑ろうか思案していると、後続の男女3人パーティーが追い着いてきた。 男女3人パーティーはあまり迷わずにそのトレースを辿って滑っていったので、私達もそのパーティーの後に続くことにした。 先ほどまでの緩やかなオープンバーンとは全く趣を異にする急斜面のブナ林では、雪が重たくなったことも加わり快適な滑りではなかった。 車道との合流地点付近にある843mの小ピークの手前で地図を確認していた男女3人パーティーと雑談を交わす。 リーダーの男性の方は館野さんという2年前に平標山でお会いした森田さんが所属する『銀座山の会』の会長さんだったので話が弾んだ。 843mの小ピークを左から登り気味に巻いて進み、再度西の方角に僅かに滑ると車道と思われる平坦地に着いた。 すぐ近くに気象観測用の小さな建物があったが、周囲を見渡しても赤布の類はなかった。 5〜6キロ先の登山口に通じる車道はまだ数mの雪に埋もれていたので“道”という感じは全くせず、僅かな傾斜をスキーをだましだまし滑らせながら進む。 40分ほどのウイニングランで、まだ陽の高い1時半前に登山口の『ホテル大自然館』に着いた。