2  0  1  2  年     2  月  

《 5日 》    南天山 ・ 滝谷山

鎌倉橋 〜 南天山 〜 滝谷山  (往復)

   昨今の登山ブームで真冬の西上州の山も入山者が多くなった(登山者と出会うようになった)。 以前から気になっていた帳付山から奥秩父の三国山までの埼玉・群馬の県境尾根の山々の登山記録をネットで検索してみると、無雪期は愛好家に歩かれていることが分かったが、積雪期の記録は殆どなかった。 これはアプローチに使う林道が冬期通行止めになることも大きな理由だろう。 県境尾根の滝谷山(1659m)から南天山(1483m)に派生している起伏の少ない尾根は一部に藪漕ぎがあるものの、年に何人かの愛好家が辿っているようだ。 積雪期にはその尾根はどんな感じになるのか興味があったので、県境尾根の山々への足掛かりにこの尾根を辿ってみることにした。 中津川林道の鎌倉橋の除雪されていない駐車スペースに前泊し、翌朝6時前に出発。 すぐにカメラの電池がないことに気付いたが、運悪く予備の電池もなかったので、仕方なく今日は携帯の出番となった。 南天山は無雪期であれば2時間足らずで登れるため、この時間帯から登る人はいない。 もちろん、今日は誰にも会わないだろう。 鎌倉沢に沿った登山道の積雪は10センチ程度で、先週末あたりの踏み跡があった。 途中にある周回コースの分岐を右に取り、8時過ぎに南天山の山頂に着く。 天気は予報よりも良く、風も全く無かった。 南天山の山頂は両神山や赤岩尾根を眺めるには最適の場所だが、今日の視線の方向は自然と県境尾根の山々に向けられる。 8時半に南天山を発ち、トレースの無い尾根を周回コースの登山道が分岐する鞍部まで下る。 鞍部から少し登ると、意外にも北側の林道方向からハンターのものと思われる踏み跡が突然現れた。 踏み跡を辿って僅かに進むと、踏み跡は途中から尾根を左に外れた。 計画では尾根通しに登ることにしていたが、昔の登山道の名残のような道形と朽ちた標識があったので、そのまま踏み跡を辿って左から大きく回り込むようにして最初のピークとなる1538m峰の頂に着く。 山頂は北側の展望が利き、宗四郎山、大山、天丸山、帳付山などの眺めが良い。 尾根上の積雪は多くて20センチほどで、この先の尾根もそれほど多くないと判断し、スノーシューをデポする。 1538m峰から先は尾根も明るく歩き易くなり、所々に先達者が付けたビニール紐やテープ類が見られるようになった。 地味な疎林の尾根だが南側の樹間からは終始三宝山などの奥秩父の山並みが望まれ、退屈することはなかった。 途中目立たないピークを三つ越えたが、いずれもこれといった展望は得られなかった。 滝谷山への最後の登りは急な草付になっていて、雪が溶けた斜面にはおびただしい数の鹿の糞が見られた。 草付の上は山火事の跡のように樹林が禿げていて、南天山から辿ってきた尾根が一望出来た。 その僅かに先で待望の県境尾根と合流した。 樹林に覆われた地味な尾根だったが、遠くに浅間山が見えたことが何故かとても嬉しかった。 尾根との合流点には随所にビニール紐やテープ類が見られ、そのすぐ上が滝谷山の山頂だった。 猫の額ほどの狭い山頂には愛好家が付けた山名を記したプレートが二つあった。 時間はすでに1時近くになっていたので、無雪期よりは時間が掛かったようだ。 さすがに県境尾根の方が積雪が多く、この時期に縦走するのは結構大変そうだった。 県境尾根にも風はなく、静かな山頂で日向ぼっこを楽しむ。 雑木に囲まれて展望に恵まれないが、今日は良い天気だったので、北アルプスの山々も遠望出来た。 この次は誰がいつこの寂峰を訪れるのだろうか。 色々なことに想いを巡らせながら往路を戻る。 南天山への周回コースの分岐から鎌倉沢に下り、まだ明るい4時半過ぎに車に戻った。


鎌倉橋から南天山へ


南天山の山頂から見た両神山


南天山の山頂から見た赤岩岳(中)と大ナゲシ(左)


南天山の山頂から見た帳付山(左)と天丸山(右)


南天山の山頂から見た三宝山


南天山の山頂から見た県境尾根と滝谷山(中)


南天山から1538m峰へは昔の登山道の名残のような道形を辿る


1538m峰から見た南天山(背景左は両神山/帰路の撮影)


1538m峰から先は尾根も明るく歩き易くなる


樹林に囲まれ鬱蒼とした1562m峰


1562m峰から滝谷山への起伏の少ない尾根


滝谷山直下の伐採地跡から辿ってきた尾根を振り返る


滝谷山の山頂


愛好家が付けた山名を記したプレート


2 0 1 2 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P