《 12日 》 三国岳 ・ 飯豊本山
川入キャンプ場 〜 三国岳 〜 切合小屋 〜 飯豊本山 (往復)
2年間続いた“1000円高速”も来週で終わりだ。 甲信地方は雨模様だが、梅雨入りしていない東北方面が日曜日のみ晴れるとの予報だったので、ここ数年何度かお花見に訪れている飯豊まで足を延ばすことにした。 今回は久々にアプローチの良い川入から本山を往復することにした。 川入から登るのは今回で3度目だが、前回はいずれも秋で、初夏の時期は初めてだ。 また、震災の影響により今年初めての東北方面への山行となった。 図らずも出発の1時間前に山仲間の西さん&セッちゃんから連絡があり、明日の未明に登山口の川入キャンプ場で落ち合うことになった。 東北道の会津坂下ICから車で1時間ほどの川入キャンプ場の広い駐車場に前泊し、前夜遅くに到着した西さん&セッちゃんに声を掛けて未明の3時に先行して出発。 駐車場には他にも何台か車が停まっていたが、足の遅い私達が一番のスタートとなった。 高度計の標高を500mに合わせる。 林道を数分歩いた先から急坂が連続する登山道に入る。 早朝の涼しい時間帯に標高の低い所を登ってしまうのが夏山の鉄則だ。 1時間ほどで周囲は明るくなり、吾妻連峰が朝陽に染まり始めた。 ブナの木が多く新緑が気持ち良い。 所々に山ツツジも咲いている。 これから先はどんなお花たちが出迎えてくれるのだろうか。 登山道に雪が出てきたと思ったらそこは1384mの横峰で、予定より少し早い5時前に着いた。 朝食を食べながら西さん&セッちゃんを待っていると、間もなく熊鈴を鳴らしながらお二人が登ってきた。 地蔵山の巻き道ルートを進み、“峰秀水”の水場で冷たい清水を沢山水筒に汲む。 水場から先の登山道も僅かに残雪が見られた程度で、剣ケ峰の痩せた岩稜帯から三国岳までは全く雪がなかった。 稜線上には山ツツジが多く、足元にはカタクリが咲いていた。 雲海の上に磐梯山、吾妻連峰、大朝日岳などの頂が見える。 天気はあまりパッとしないが、その方が暑くないので文句は言えない。 予定よりも少し早く6時半過ぎに中間点の三国岳(三国小屋)に着いた。 山桜が満開の山頂からは、飯豊の最高峰の大日岳とこれから辿る飯豊本山への稜線上の山々が良く見えた。 稜線(登山道)の残雪は少なく、山頂までの時間も計算出来たので、小屋の中で一休みして寛ぐ。 改築された避難小屋はとても立派で、室内も広く綺麗だった。 水や食料の一部をデポして7時に三国小屋を出発。 稜線付近には残雪が多く見られるが、登山道には雪が無く、無雪期とほぼ同じように歩ける。 最初のピークの七森付近にはシラネアオイとカタクリが鈴なりで、鮮やかなピンク色の山ツツジも今が盛りと咲き誇っていた。 切合小屋の手前で登山道を塞いでいた残雪の斜面を、傾斜の緩い所を登り下りしながら迂回する。 切合小屋はまだ営業はしていないが、付近にはゴムホースで水が引かれていた。 8時半前に切合小屋着き、2階に上がって寛ぐ。 熊鈴の音が聞こえ、私達の後から登ってきた方が足早に小屋の前を通過していった。 8時半過ぎに小屋の外に出ると、ちょうど二人目の方が追い越して行ったが、結局今日日帰りで川入から本山に登ったのは、私達とこの単独の方二人だけだった。 切合小屋の少し先から草履塚付近まで再び残雪が登山道を覆っていたが、傾斜も緩く登山道より効率良く登れた。 予想どおり姥権現から御秘所の岩場にかけては花が多く、ハクサンイチゲが所々で群落をなしていたほか、シラネアオイ、ミヤマキンバイ、オヤマノエンドウなどが目を楽しませてくれた。 切合小屋から1時間半少々で本山小屋に着いたが、休まずに指呼の間の本山の山頂に向かう。 “青空山岳会発祥の地”となった大ー尾根の宝珠山が立派に見える。 三国小屋からずっと仰ぎ見ていた大日岳もようやく目線の高さになった。 先に到着していた単独の方と入れ替わり、10時半に私達だけの静かな頂に辿り着いた。 雲海が今にも稜線を飲み込もうとしていたが、何とかそれに間に合って、北股岳や烏帽子岳の尖ったピーク、そして梶川峰(尾根)などが視界に飛び込んできた。 日中の暑さを危惧していたが、雪渓を渡って吹いてくる風は涼しく、雄大な景色を眺めながら登頂の余韻に浸ることが出来た。 何時までも去りがたい山頂だったが、帰路も時間が掛かるので、再訪を誓って11時に山頂を辞する。 本山小屋に立ち寄って宿帳に足跡を残す。 夏山らしく午後に入ったことで霧が湧き始め、核心と思われた下りの暑さを和らげてくれたが、さすがに花が多いだけあって虫が多かった。 三国小屋では靴を脱いで休み、充分に英気を養う。 図らずも剣ケ峰の岩稜帯では涼しい風を感じながら快適に下ることが出来た。 水場付近にはコシアブラの木が所々にあり、少しだけ旬の恵みをいただく。 清々しい新緑のブナ林の中をゆっくり下り、5時半前にキャンプ場に戻った。 川入から少し下った一ノ木温泉の『いいでのゆ』(夕方の5時以降は@300円)で汗を流し、日本一とも言われる山都の蕎麦に舌鼓を打った。