2  0  1  1  年     4  月  

《 17日 》    巻機山 <スキー>

清水 〜 前巻機山 〜 巻機山 〜 牛ケ岳    (往復)

    新潟の天気が良いという予報が出たので、今シーズン初めての山スキーで巻機山に行った。 巻機山は残雪期や紅葉の時期に何度か登ったことはあったが、山スキーは初めてだ。 巻機山は高速を使えば時間的に首都圏から近い百名山で手軽に登れるため入山者が多い。 山スキーのルートとしても歴史が古く人気があるので、静かな山を好む私にとってはそれが最大のネックだった。 今回は震災の影響で入山者が少ないと予想されたので、行ってみることにした。 登山口の清水の集落の先にある桜坂の駐車場は1週間前のネットの情報でまだ除雪されていないとのことだったので、関越道の石打SAで前泊し早朝登山口へ向かった。 運良くここ数日の間に駐車場が除雪されたようで、国道から登山口まで歩かなくて済んだ。 駐車場には5時に着いたが、すでに3台ほど車が停まっていた。 5時半に駐車場を出発。 その間も数台の車がやってきた。 気温は2度と予報どおり冷え込んでいる。 新潟の山の積雪は平年並みと思っていたが、3月の気温が低かったせいか残雪は平年よりも多い感じだ。 駐車場からブッシュなどは一切なく、昨日の雨の影響もあって雪は硬く締まっている。 先週末あたりの古いトレースはあるが明瞭ではなく、また赤布も見当たらないので、北東の方向に適当な所を選んで進む。 間もなく“井戸ノ壁”と名付けられた井戸尾根へ上がる急斜面に取り付く。 しばらくはシールで登ったが、雪が硬くて効率が悪いので、いつもより早めにスキーを担いでツボ足で登る。 先行パーティーはクトーを着けて登っていたが、結局ほぼ同じ時間で井戸尾根の末端(五合目)に着いた。 朝方は曇るとの予報どおり、巻機山の山頂は見えず、足下の米子沢を挟んで米子頭山だけが辛うじて望まれた。 雪庇の発達した井戸尾根は登るにつれてブナの林も疎らになり、傾斜も部分的には緩んだが、雪が硬く歩き易かったのでツボ足で登り続けた。 登りは快適だが滑りには不向きな雪質だ。 一方、天気は面白いように回復し、いつの間にか山々を覆っていた雲は無くなっていた。 また昨日の雨が霧氷となり、上部のブナ林では図らずも良いお花見が出来た。 6合目を過ぎると正面に前巻機山(ニセ巻機山)が大きく迫り、広い尾根はまるで初心者向けのスキー場のスロープのようだった。 正午前には山頂から滑り出す予定でいたが、今日の気温の状況では午後にならないと雪が緩まないと思われたので、休憩を意識的に長く取りながらゆっくり登る。 例年より遥かに少ないが、山スキーヤーが次々と登ってくる。 前巻機山の直下は右から巻いても行けるが、登山道に沿ってアイゼンを着けて直登気味に登った。 10時前に前巻機山(ニセ巻機山)の山頂に着く。 正面には巻機山本峰のたおやかな純白の頂が大きく望まれ、登高意欲ならぬ滑走意欲が俄然湧いてくる。 ここまでも充分休みながら登ったが、快晴無風の前巻機山の山頂で30分ほど周囲の山々の展望を楽しみながら寛ぐ。 気温が低いので春霞にはならず、眼前の大源太山や七ツ石山を始めとする谷川連峰の山々は言うに及ばず、苗場や志賀・草津そして妙高・火打などの頸城の山々や北アルプスまで遠望出来た。


除雪直後の桜坂の駐車場


井戸の壁に向かって古いトレースを辿る


井戸の壁をツボ足で登る


井戸尾根の末端から見た米子沢


雪庇の発達した井戸尾根の末端


明るいブナ林を登る


傾斜は緩んだが、雪が硬く歩き易かったのでツボ足で登り続けた


天気は面白いように回復し、谷川連峰の山々が良く見るようになった


霧氷の花


図らずも良いお花見が出来た


6合目から見た前巻機山(ニセ巻機山)


6合目から見た一ノ倉岳と茂倉岳(中央奥)と万太郎山(右奥)


前巻機山(左)に向けて初心者向けのスキー場のスロープのような広い尾根を登る


前巻機山の直下は巻かずに登山道に沿って直登する


素晴らしい滑走が期待出来る前巻機山の直下の斜面


前巻機山の山頂付近に見られたシュルントから割引岳を望む


前巻機山から見た巻機山


前巻機山から見た谷川連峰の山々    一ノ倉岳・茂倉岳・万太郎山・仙ノ倉山・平標山(左から)


前巻機山から見た柄沢山(中央手前)と朝日岳(中央奥)


前巻機山から遠望した妙高山(中央左)と火打山(中央右)


    前巻機山の山頂で再びスキーを履いて鞍部に下り、私はそのままシールで、妻は途中からツボ足で巻機山の本峰へ30分ほど登り返す。 ここも素晴らしいオープンバーンだ。 すでに山頂から滑ってくる人がいたが、雪が硬くて快適ではなさそうだった。 巻機山本峰の広い頂からは越後三山がすっきりと望まれ、思わず歓声を上げる。 まだ滑走開始予定の正午過ぎまで時間があるので、新たな展望を求めて牛ケ岳まで足を延ばす。 妻はスキーをデポしたが、私はスキーを履いたまま進む。 登山口の桜坂の駐車場から6時間を要して11時半に人待ち顔の牛ケ岳の山頂に着いた。 眼前の越後三山の展望に加え、憧れの下津川山へ続く稜線とその奥に平ケ岳、目を右に転じれば燧ケ岳、至仏山、白根山など尾瀬や日光の山々が望まれた。 期待以上の展望を愛でながら誰も来ない牛ケ岳の山頂で30分ほど寛ぎ、正午過ぎに重い腰を上げて巻機山本峰に戻る。 シールを剥がして1時ちょうどに滑走を開始。 私は米子沢の源頭に向けてシュプールの薄い少し急なバーンに飛び込み、妻は登ってきた傾斜の緩いオープンバーンをそれぞれ選んで滑った。 雪質はいつの間にかザラメとなり、スキーが下手な私でもまるで上級者のようにターンが決まる。 そのまま麓まで米子沢を一気に滑っていきたくなるような衝動に駆られたが、途中からトラバースして前巻機山との鞍部に向けて滑る。 鞍部で妻と合流し、スキーを担いで10分ほど前巻機山に登り返す。 意外にも前巻機山の山頂には若いボーダーたちが大勢いた。 彼らには牛ケ岳も、そこから見える山々の展望も興味がないのだろう。 前巻機山からブナ林が始まる6合目までの広い尾根はまるで初心者向けのスキー場のようだ。 数時間前まで硬かった斜面は少し重めのザラメとなり、まさに“春スキー”という感じで楽しく滑れた。 登っている時は消化試合と思われたブナ林も、井戸の壁の上部までは快適なツリーランとなった。 さすがに井戸の壁の中ほどからは雪が重くなり斜面も急なため、修行のような滑りしか出来なくなったが、登山口の駐車場までブッシュもなく滑り込めたのでハッピーエンドだった。 スキーなので下りは早く、まだ陽の高い2時半に駐車場に着いた。


前巻機山から鞍部に下る


鞍部から巻機山へ登り返す


巻機山の山頂


巻機山の山頂から見た前巻機山


巻機山の山頂から見た牛ケ岳


牛ケ岳の山頂から見た越後三山(八海山・越後駒・中ノ岳/左から)


牛ケ岳の山頂から見た割引岳


牛ケ岳の山頂から見た下津川山(中央手前)への稜線と平ケ岳(中央奥)


巻機山の山頂から米子沢の源頭に向けて飛び込む


妻が滑った巻機山の山頂直下の傾斜の緩いオープンバーン


前巻機山から井戸尾根を滑る


数時間前まで硬かった斜面は少し重めのザラメとなっていた


6合目までの広い尾根はまるで初心者向けのスキー場のようだった


6合目から5合目までのブナ林は少し重めのザラメで“春スキー”という感じで楽しく滑れた


井戸尾根の末端(5合目)から前巻機山(右)と滑ってきたルートを振り返る


井戸の壁の上部のブナ林までは快適なツリーランとなった


下山後に麓の塩沢から見た巻機山


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