2 0 1 0 年 1 1 月  

《 6日 〜 7日 》    白鳥山 ・ 犬ケ岳 ・ さわがに山

坂田峠 〜 白鳥山 〜 犬ケ岳(栂海山荘泊) 〜 さわがに山  (往復)

    11月に入り、紅葉狩りもいよいよ終盤を迎えた。 珍しく日本海側の天気が良いとの予報が出たので、栂海新道の中間点に位置する黒岩山に日本海側から登ることにした。 栂海新道は10年前に海の日が祝日になった最初の3連休に山仲間の山人さん&モコモコさんと辿った思い出のルートだ。 北陸道の名立谷浜SAで前泊し、国道8号から道の駅『越後市振の関』のすぐ先の境川に沿った舗装路を12キロ走り、今回の登山口とした坂田峠に向かう。 意外にも坂田峠には車が10台ほど停められる立派な駐車場があり、すでに3台の車があった。 8時半に標高600mほどの坂田峠を出発。 峠からは白鳥山に向けて急坂が続くが、秋の爽やかな空気で清々しく、周囲の紅葉も盛りで全く苦にならない。 最初の水場を過ぎた標高1000m辺りから登山道に新雪が見られるようになり、季節の移り変わりを感じさせる。 間もなく軽装の登山者が熊鈴を鳴らしながら相次いで下山してきた。 どうやら皆白鳥山への日帰り登山だったようだ。 樹間から青海黒姫山が望まれ、眼下の里山の紅葉が素晴らしい。 坂田峠から2時間少々で最初のピークの白鳥山に着く。 山頂に建つ白鳥小屋は屋根の上に展望台があり、南にはうっすらと雪化粧した犬ケ岳と初雪山、そしてその奥に朝日岳と剱岳も遠望され、東には焼山・火打・妙高の頸城三山と高妻山、そして北には日本海が見える素晴らしいロケーションだ。 今日の行程は短いので、展望の良い山頂でのんびりと寛ぐ。 白鳥山から先には雪の上に新しいトレースがあったので、先行者がいることが分かったが、間もなくその主も引き返してきたので、白鳥山から犬ケ岳に向かうのは私達だけのようだった。 稜線の雪は日向では溶けていたが、日陰では10センチほど積もっていた。 先行者はなく、図らずも2〜3日前に降った新雪を踏んで歩く。 前回の栂海新道は朝日岳からの下りだったが、暑さに翻弄されていたせいかルートの記憶は全くなく、初めてここを歩くような感じだ。 白鳥山から犬ケ岳までの間には下駒ヶ岳・菊石山・黄蓮山といった顕著なピークが連続してあり、変化に富んでいた。 ブナ林が美しい菊石山と黄蓮山との鞍部にある黄蓮の水場の水量は豊富で、周囲には格好のテントサイトも見られた。 栂海山荘付近には水場がないので、水を5リッターほど汲んでいく。 黄蓮山を過ぎると指呼の間に栂海山荘が見えたが、山荘手前の陽が当たらない急斜面は雪が硬く締まり、アイゼンがないのでステップを刻みながら慎重に登る。 4時前に今日の宿泊場所の栂海山荘に到着。 計画の段階では小屋の混雑を懸念していたが、朝日岳方面からの縦走者もなく私たちだけで貸し切りだった。 小屋に荷物を置いてすぐ裏手の犬ケ岳に登る。 午後は高曇りの天気となってしまったが、雪化粧した朝日岳と長栂山・黒岩山・さわがに山といった栂海新道の稜線上のピークが良く見渡せた。 栂海山荘は半分だけが開放されていたが、それでも1階・2階で20人ほど泊まれそうだった。 小屋の窓からは日本海の夕焼けが眺められた。 周囲に雪があるため室内はあまり暖かくなく、夜中の気温は4度だった。


坂田峠付近の紅葉


標高1000m辺りから登山道に新雪が見られるようになった


白鳥山の山頂に建つ白鳥小屋


白鳥山の山頂から見た焼山(中央奥)


白鳥山の山頂から見た犬ケ岳


白鳥山の山頂から見た青海黒姫山


白鳥山と下駒ヶ岳の鞍部付近から見た白鳥山


黄蓮山付近から見た犬ケ岳


栂海山荘


栂海山荘の1階部分


犬ケ岳の山頂から見た雪化粧した朝日岳(中央奥)と栂海新道の稜線



小屋の窓から日本海の夕焼けが眺められた


    翌朝も小屋の前から居ながらにして朝焼けの山々の景色を楽しむ。 足元の明るくなった6時過ぎに小屋を出発し、栂海新道の中間点に位置する黒岩山を目指す。 あいにく高妻山方面からのご来光は拝めなかったが、天気もまずまずのようで、犬ケ岳の山頂からは朝日岳は言うに及ばず、剱・大日・毛勝三山が良く見えた。 初雪山を右手に見ながら無名峰を一つ越えてさわがに山へ向かう。 初雪山には登山道がないという認識だったが、山頂にはポールのようなものが見えた。 犬ケ岳から先の稜線では終始展望に恵まれ、風もなかったので、初雪の感触を楽しみながらの稜線漫歩となった。 無名峰から先の下りは急勾配でアイゼンが欲しいところだったが、何と山頂付近から昨日のものと思われる立派な熊の足跡が印されていたので、労せずしてさわがに山との鞍部に下ることが出来た。 それにしてもなぜ熊は雪の来た稜線を歩いたのだろうか。 鞍部からさわがに山への登り返しでは、雪に埋もれたトラロープを引き出して登る。 さわがに山は犬ケ岳と同様360度の展望で、山頂から白山も遠望された。 積雪により当初予定していた黒岩山までは時間的に厳しくなったので、今回はここまでと陽だまりのような山頂でのんびりと寛ぐ。 もちろん稜線上に人影は全くない。 8時半に重い腰を上げて小屋に引き返す。 初雪山や白鳥山の山裾、そして眼下の西俣沢の紅葉が陽光に照らされて輝きを増し始めた。 昨日から三度目の犬ケ岳の山頂からは北に紅葉と海、南には雪化粧した山々が望まれ、そのコントラストがユニークだった。 11時前に栂海山荘を出発して下山する。 今回は栂海山荘をベースとした往復のルートだったが、眼下に去りゆく紅葉を愛でながら、晩秋の静かな栂海新道を充分味わいながら辿ることが出来た。 4時に登山口の坂田峠に下山し、国道8号沿いの栂海新道の入り口に建つ『親不知観光ホテル』の風呂で汗を流す。 ホテルのフロントの方から、今年は熊の目撃情報が例年の3〜4倍あり、その騒動で地元では山に入る人は少ないとのことだった。


小屋の前から居ながらにして朝焼けの頸城の山々の景色を楽しむ


犬ケ岳の山頂から見た高妻山


犬ケ岳の山頂から見た剱(左)・大日(中)・毛勝三山(右)


無名峰から見たさわがに山(手前)と朝日岳(奥)


犬ケ岳から先の稜線では終始展望に恵まれ、初雪の感触を楽しみながらの稜線漫歩となった


さわがに山の山頂から見た初雪山


さわがに山の山頂から見た朝日岳


さわがに山から犬ケ岳(中央奥)へ戻る


稜線から見た西俣沢の紅葉


稜線から見た日本海と里山の紅葉


犬ケ岳の山頂


犬ケ岳の山頂から見た白鳥山(右)と大滝山(左)の山肌の紅葉


犬ケ岳の山頂から見た青海黒姫山


栂海山荘から見た白鳥山(中央奥)へ続く栂海新道の稜線


菊石山と黄蓮山との鞍部にある黄蓮の水場付近のブナ林


坂田峠付近の紅葉


2 0 1 0 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P