2 0 1 0 年 1 0 月  

《 23日 〜 24日 》    三ツ石山 ・ 小畚山 ・ 曲崎山 ・ 大白森 ・ 小白森 ・ 烏帽子岳(乳頭山)

    滝ノ上温泉 〜 三ツ石山 〜 小畚山 〜 関東森 〜 八瀬森山荘(泊) 〜 曲崎山 〜 大白森 〜 小白森 〜 田代平山荘 〜 烏帽子岳(乳頭山) 〜 滝ノ上温泉  (周回)

    今シーズン最後の東北の紅葉狩りは朝日連峰の前衛峰などを計画していたが、天気を優先して裏岩手の縦走路から八瀬森・大白森・乳頭山方面への縦走路を辿ることにした。 東北道の紫波PAに前泊し、翌朝登山口の滝ノ上温泉に向かう。 滝ノ上温泉はひなびた山間の温泉場だと思っていたが、盛岡ICから40分ほどと近く、車が30台ほど停められる立派な駐車場と新しいトイレがあり驚いた。 山麓の標高は600mほどで、ちょうど紅葉が盛りだった。 8時半に登山口を出発し、裏岩手縦走路の三ツ石山方面へ登る。 天気は予報どおりの快晴だったが、何とデジカメのカードを入れ忘れる大チョンボで、のっけから大きくつまずいた。 三ツ石山へは網張温泉から先の林道を使えば短時間で登れるため、滝ノ上温泉から登る人はいない。 登るにつれて紅葉が色褪せていくのが何とも悔やまれるが、今回は天気を優先させたので仕方がない。 すでに葉の落ちた樹間から乳頭山が良く見える。 普段も殆ど使うことのない携帯で写真を撮る。 途中にある水場付近では背丈ほどある笹の刈り払いがされておらず、全身朝露で濡れてしまったが、今回辿ったルート中で悪かったのはここだけだった。 登山口から2時間ほどで三ツ石山荘に着く。 ネットの情報どおり山荘手前の水場は涸れていた。 新しい山荘の中で一服し、指呼の間の三ツ石山へ向かう。 予想どおり山荘付近や三ツ石山には日帰りの登山者で賑わっていた。 展望の良い三ツ石山の山頂は今回で三度目だ。 岩手山・秋田駒・乳頭山・大白森、そして早池峰・森吉山・鳥海山も遠望できるが、すでに稜線の紅葉が終わっているのが玉に傷だ。 三ツ石山を過ぎると予想どおり登山者の姿がなくなり、再び縦走路は静かになった。 次のピークの小畚山までは開放感溢れる笹原のたおやかな稜線漫歩で気分が良い。 三ツ石山からは1時間足らずで小畚山に着く。 小畚山の山頂も展望は良く、隣の大深岳とこれから辿る関東森・八瀬森方面の縦走路や所々に点在する湿原が見える。 小畚山と大深岳の間はそれまでと一転してギャップが大きくなり、登り返しもかなりあったが、乾燥した秋の涼しい気候に助けられ全く苦にならない。 大深岳の山頂は踏まず、山頂手前の分岐(関東森分岐)を左に折れて関東森・八瀬森方面への縦走路に入る。 ここからはさらに人影がなくなり、八瀬森山荘まで誰にも出会うことはなかった。 分岐からは背丈を越える笹や灌木を2〜3mの幅で防火帯のように切り裂いた起伏の少ない道がしばらく続いた。 しばらくすると展望が良くなり、小さな湿原も現れた。 湿原を覆う金色の枯草の感触が気持ち良く、思わず大の字になって寝転ぶ。 再び展望のない地味な道を下り基調に進む。 次のピークの関東森は、標識こそあったものの全く存在感がない山で、引き続き樹林の中をしばらく進むと突然目の前が明るく開けて大場谷地という傾斜湿原が現れ、予定よりも少し早く4時前にその傍らに建つ八瀬森山荘に着いた。 意外にも小屋は盛況で、すでに私たち以外に単独者が2名と3パーティーの同志がいた(私達が最後だった)。 小屋は2階建で大きく、30人ほど泊まれそうな広さがあり、布団や毛布も10人分くらいあった。 また2階にはトイレもあり、山深い場所にこれほど立派な小屋があることが不思議に思えた。 涸れることのない水場も小屋のすぐ近くにあった。 夜は満月がこうこうと輝き、明日への期待が持てた。


滝ノ上温泉からしばらく登ると樹間から乳頭山が良く見える


三ツ石湿原から見た三ツ石山


三ツ石山山頂から見た岩手山


三ツ沼


関東森分岐の手前から見た三ツ石山(左)と小畚山(右)


関東森分岐の手前から見た大深岳


気持ちの良い小湿原


関東森手前から見た三ツ石山


関東森手前から見た乳頭山


明るく開けた大場谷地


八瀬森山荘


    翌朝はまだ暗い5時に小屋を出発。 残念ながら満月は薄雲に遮られ輝きを失っていたが、間もなく東の空が燃えるように赤く染まり、今日の最初のピークである曲崎山の山頂直下で岩手山の肩からのご来光を拝むことが出来た。 天気の崩れが予報よりも早まったようで、青空はすぐになくなってしまった。 曲崎山を越えると正面に秋田駒や乳頭山、そして大白森の平らな頂が見えるようになった。 今回の最後のピークとなる乳頭山は遥かに遠い。 次のピークの大沢森からは大白森の山頂に広がる湿原が良く見えた。 大沢森と大白森の鞍部から少し登った所に建つ大白森山荘は新しいが、2階に6畳ほどのスペースがあるだけの小さな避難小屋だった。 大白森の山頂部分は広い湿原になっていて所々に小さな池塘がある。 湿原には木道が敷かれ、とても気持ちの良い癒しの風景だ。 カメラがないのが辛いが、バッテリーのなくなりかけた携帯で何とか撮影する。 陽射しが弱いのが玉にキズだ。 山頂付近には鶴の湯温泉からの日帰りの登山者の姿も散見された。 次のピークの小白森は大白森と比べると小ぶりな湿原がある地味な頂だった。 日帰りの登山者と時折すれ違いながら小白森を下り、鶴の湯温泉への分岐を過ぎると、再び縦走路から人影がなくなった。 樹間から辿ってきた曲崎山から小白森までの稜線が見える。 空の色は鉛色となり、田代平の湿原に着いた時はすでに秋田駒方面は霧で見えなくなり、指呼の間の乳頭山の展望も時間の問題だった。 田代平の湿原に建つ田代平山荘を過ぎると風も強まり、乳頭山の山頂は霧で全く展望がなかった。 まだ1時だったので、天気が良ければ千沼ヶ原へも足を延ばしたかったが、白沼経由の最短距離で滝ノ上温泉へ下山する。 途中の白沼は思ったよりも大きく、神秘的な雰囲気のする沼で、とても印象深かった。 白沼から滝ノ上温泉までは紅葉の盛りで、図らずも今年最後の東北の紅葉狩りが楽しめた。 滝ノ上温泉には数軒の温泉宿があるが、乳頭山の登山口の目の前にある『滝観荘』で汗を流した。


曲崎山の山頂直下で岩手山の肩からのご来光を拝む


大沢森から見た大白森(右手前)と乳頭山(左奥)


大白森へ気持ちの良いブナ林の中を歩く


大白森山荘


大白森の湿原から見た曲崎山


小白森の山頂の小さな湿原と池塘


田代平から見た乳頭山


田代平の湿原


霧に煙る乳頭山の山頂


乳頭山〜白沼間の湿原


神秘的な雰囲気のする白沼


2 0 1 0 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P