2 0 1 0 年 7 月

《 5日 》    プンタ・オリンピカ峠(4890m)

    カルアス(2650m) ⇒ プンタ・オリンピカ峠(4890m) 〜 車道(4500m地点) ⇒ カルアス(2650m)

   7月5日、夜中に軽い頭痛と動悸があった。 お腹も便秘気味で体調はあまり良くない。 長旅の疲れか、それとも昨日4000mほどの丘を歩いたせいだろうか。 いくら高所に弱い体質とは言え、2650mの高度でこの状況では先が思いやられる。

   ブランカ山群には最高峰のワスカランの山裾を車で越える峠(いずれも悪路)が二つある。 一つはカルアスを起点としてウルタ谷を遡るプンタ・オリンピカ峠(4890m)、もう一つはユンガイを起点としてリャンガヌーコ谷を遡るポルタチュエロ・リャンガヌーコ峠(4767m)で、今日は高所順応として前者のプンタ・オリンピカ峠を、そして明日は後者のポルタチュエロ・リャンガヌーコ峠まで車で上がり、峠から1〜2時間ほど登山道を歩いて下るハイキングをする予定だ。

   8時にエージェントのマイクロバスがホテルに迎えに来た。 今日と明日のハイキングのガイドはアグリだった。 昨日のマックスと同様、アグリも私の顔を覚えていてくれたようで、挨拶をすると少し驚いていた。 カルアスの町外れからプンタ・オリンピカ峠へ通じる山道へ入ると、この道は今までにない悪路だった。 途中のシラという集落からはワスカランが良く望まれ、車から降りて展望の良い大岩に登って山を眺める。 シラの集落を過ぎると間もなくウルタ(5875m)を仰ぎ見るウルタ谷に入ったが、この谷はとても広く平らな牧草地になっていた。 傍らには山の氷河を水源とする川が流れ、所々に点在する小さな池にはカモがいた。 天気も良く、正面にコントライェルバス(6036m)が見えた。 ヤナマの町に通じているヤナヤク峠(4850m)へのトレイルの分岐には気が付かず、ウルタ谷からプンタ・オリンピカ峠に登る九十九折りの山道となる。 道は再び酷い悪路となったが、誰一人車酔いすることはなかった。 谷からは見えなかったワスカランやチョピカルキ(6354m)が良く見えるようになり、所々で車を停めてもらいながら撮影大会となる。

   11時前に目的地のプンタ・オリンピカ峠に到着。 日本なら間違いなくトンネルだろうが、最後はダイナマイトでアマゾン側に貫通させたと思われる峠は、昨年高所順応のハイキングで行った(明日も予定している)ポルタチュエロ・リャンガヌーコ峠と全く同じような雰囲気だった。 峠からはウルタ谷の源頭にチャクララフ(6112m)の頂稜部も望まれ、期待以上の展望で嬉しい限りだ。 峠から谷へ下る踏み跡もあるが、荒廃しているというアグリの判断で車道を歩いて下る。 車道といっても殆ど車が通らないので全く嫌にならない。 先ほど峠に着いた時は全く感じなかったが、歩くにつれて気分が悪くなるような感じがする。 ワスカラン南峰、チョピカルキ、コントライェルバス、そしてチャクララフなどの山々を終始眺めながら1時間ほど車道を下り、途中の路肩で昼食を食べる。 うかつにも食事中にアブに刺され、右のこめかみが大きく腫れてしまった。 島田さんも額を刺されていた。 食後も少しだけ歩いて下り、2時過ぎに迎えに来たマイクロバスに4500m付近で拾われてカルアスのホテルに戻る。 高度は下がっても車中では軽い頭痛が取れず、お腹も少し痛くなり、明らかに体調が悪いことが分かった。

   夕方の5時にホテルに戻り、シャワーを浴びてから昨夏も行った地元の人達で賑わう鶏肉料理の店で蒸し焼きの鶏肉を食べた。 他のメンバー達は食欲旺盛だったが、私はいつもの半分位しか食べられなかった。 明日泊まるキャンプ地の標高は3900mあり、今の体調を考えると少し気が重い。 前回は気が付かなかったが、この店の名前は『プンタ・オリンピカ』だった。


ホテルの朝食


ホテルに迎えに来たガイドのアグリと再会する


シラの集落から見たワスカラン南峰


ウルタ谷の牧草地から見たコントライェルバス(左)とウルタ(右上)


ウルタ谷


プンタ・オリンピカ峠の手前から望むワスカラン南峰の切り立った東面


プンタ・オリンピカ峠の手前から望むチョピカルキ


プンタ・オリンピカ峠


プンタ・オリンピカ峠から見たウルタ


プンタ・オリンピカ峠から見たチャクララフ(中央奥)


プンタ・オリンピカ峠から見たアマゾン側の風景


プンタ・オリンピカ峠から車道を歩いて下る(正面はチョピカルキ)


途中でのランチタイム(背景はコントライェルバス)


4500m付近でマイクロバスに拾われる


カルアスの鶏肉料理の専門店『プンタ・オリンピカ』


2 0 1 0 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P