2 0 1 0 年  3 月  

《 14日 》    富士山

富士山スカイライン 〜 太郎坊(御殿場口新五合目)〜 御殿場口/富士宮口頂上  (往復)

    昨年の暮れにニュージーランドの山に向けての訓練として御殿場口から富士山を登ったが、装備の確認を主眼に置いたことと、八合目から先のルートを誤ったため山頂には至らなかった。 今回は富士山の登頂を目標にした装備と計画で臨むことにした。 富士山スカイラインから御殿場口の太郎坊へ通じる道路は冬期通行止めになっているので、その分岐にあるトンネル付近の駐車スペースに前泊し、翌朝2時に出発。 ここの標高は1320mであり、山頂までの標高差は2450mほどある。 前回は太郎坊の駐車場まで車道を歩いたが、今日はすでに周囲に10センチ以上の積雪とトレースがあったので、これを辿って山道を大石茶屋まで登る。 大石茶屋で朝食を食べて3時に出発。 ここまでの雪の状態とトレースを見てスノーシューを大石茶屋デポし、ワカンだけを持って登る。 大石茶屋から少し登ると風の洗礼を受ける。 ここはいつも風が強いのであまり気にならなかったが、結局この日は一日中風が強かった。 昨日は異常に気温が高かったので雪の状態が気掛かりだったが、風があるため雪の表面が硬く締っていて助かった。 明瞭なトレースに引き込まれ少し登山道から外れてしまったので、最初の目標である新五合目五勺の避難小屋(1950m)の脇は通らなかった。 御殿場の夜景がとても綺麗だ。 かなり上方にヘッドランプの灯りが見えたので途中どこかに泊まってアタックしているパーティーがいることが分かった。 下からも1パーティーが登ってくる。 今日は結構人出がありそうだ。 風は相変わらず止まないが、時折昨日の名残の生暖かい風が吹いてきて妙な感じだ。 傾斜は緩いが風が強いので早々にアイゼンを着ける。 トレースを頼りに登り続けていくと、ようやく木の杭が立つ登山道に合流した。 6時前にご来光となり、三重から来たという若い2人組のパーティーに追いつかれた。 前回は転落防止の鉄柵を目印に登ったが、今日はトレースに従って登山道(砂走り下山道)に沿って登る。 七合目の小屋から上では更に風が強まり、ここからアンザイレンする。 前回ルートを誤った八合目の小屋の手前で先行パーティーが下ってきた。 上の状況を訊ねてみたが、そのパーティーもこのルートは初めてだったようで話しが上手く噛み合わなかった。 三重のパーティーもルートを良く理解していないようで、八合目の小屋の手前から左にトラバースして富士宮口の登山道の方に登って行ってしまった。 私達は八合目の小屋から左の沢状地形に入り登山道に沿って登るつもりでいたが、ここは強い風で吹き溜まった雪でラッセルが厳しく、またアイスバーンも多かったので、先行パーティーの消えかかったトレースを追って屏風岩という大岩がある長田尾根よりも一つ富士宮口側の顕著な尾根に取り付き、その基部に沿って登ることにした。 尾根の基部に着く寸前に後ろから突風が吹き、目出し帽の上から被っていた愛用の正ちゃん帽があっという間に数10メートルも巻き上げられ尾根の反対側に消えていった。 富士山の突風の怖さを思い知らされた。 屏風岩からは尾根を外れ、指呼の間となった御殿場口の頂上方向にアイスバーンを避けながら粘り強く雪を拾って登る。 山頂手前でほぼ登山道沿いに登ってきた単独行の方(かっきーさん)と出会う。 雑談を交わすと、後ろから富士山に毎月、延べ430回も登頂しているという方(やまちゃん)が登ってくるとのこと。 予定より1時間遅く正午ちょうどに御殿場口の頂上に着いた。 予想どおり台風並みの強い風が吹いていたので、妻は剣ヶ峰には行きたくないという。 残念だが今日はアンザイレンしているので、妻の意向に従って剣ヶ峰の登頂は断念した。 かっきーさんは飛ぶように剣ヶ峰に向かい、三重のパーティーがちょうど剣ヶ峰から下りてくるのが見えた。 山頂直下の風の弱い所でしばらく休憩し、長居は無用と自分達のアイゼンの爪を目で追って下山する。 すぐに富士山の主とも言えるやまちゃんとすれ違う。 雪の状態は良かったので、七合目の小屋まで終始コンテで下ることが出来た。 後ろからの強風に押され足早に下ったため、夕方の4時半に大石茶屋に着き、スノーシューを回収して5時過ぎに登山口に戻った。 一日中風に苛まれたが、冬の富士山は体力・技術・精神力・判断力という登山の基本を試される山だと実感し、今後も年に2回くらいは登りたいと思った。


積雪は多いが表面が硬く締っていて登り易かった


朝焼けと御殿場の夜景


ご来光に恵まれる


トレースに従って登山道(砂走り下山道)に沿って登る


六合目の小屋の上部


宝永山


六合目から七合目の間


七合目の小屋から上では更に風が強まる


八合目の小屋から左の沢状地形へ入る(中央の凹が 御殿場口頂上)


屏風岩(左)を目指して登る


御殿場口頂上



御殿場口頂上から見た白山岳と火口


富士宮口頂上


富士宮口頂上から見た剣ヶ峰


雪の状態は良かったので、七合目の小屋まで終始コンテで下る


七合目付近を一緒に下るやまちゃんとかっきーさん


2 0 1 0 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P