《 8日 》 池口岳
遠山林道 〜 池口岳(北峰) 〜 池口岳(南峰) 〜 池口岳(北峰) 〜 遠山林道 (往復)
未明の4時前に登山口を出発。 風も無く、この時期としてはかなり暖かい。 良く手入された樹林帯を落ち葉の絨毯を踏んで登る。 道は良く踏まれ、木々には要所要所にテープが付けられているが、平凡な広い尾根ゆえ時々道を外してしまう。 もちろん明るければ全く問題ない。 足を止めると周囲は本当に静かで物音一つしない。 6時前になってようやく明るくなり始め、間もなく黒薙と呼ばれる崖の縁に着いた。 池口岳や鶏冠山のシルエットが見えたが、上空には薄雲が広がり予報どおりの快晴ではなかった。 黒薙から少し下ると尾根は急に痩せて顕著になった。 樹間から奥茶臼山や聖岳・兎岳などの南アルプス主脈の山々が望まれるようになったが、意外にも雪はまだ殆ど積っていないようだった。 ザラナギ平と呼ばれる下草が生えたちょっとした平坦地はキャンプ地には絶好で、昨日登山口で挨拶を交わした浜松の5名のパーティーの大きなテントが一張だけあった。 傍らに古い水場の標識があったが、沢音は全く聞こえなかった。 木々も少し疎らになり、加加森山や昨日登った熊伏山も時々見える。 山頂手前で加加森山から延びる主脈と合流し、9時に5名のパーティーと入れ替わりに池口岳の北峰に着いた。 毎度のことであるが早い登頂に驚かれる。 双耳峰である池口岳の北峰の頂は樹林に覆われ展望はなく、山頂の標識も気が付かないほど小さく地味だった。 縦走路をいったん100m近く下ってから南峰に登る。 北峰から南峰まで往復1時間ほどだが、南峰や鶏冠山方面まで行く人が少ないことを物語るように登山道は細い。 その反面、稜線の木々は疎らで眼前の光岳から信濃俣、大無間山までの山並みや鶏冠山方面への縦走路も良く見渡せた。 南峰も樹林に囲まれていたが、薄暗い北峰とは対照的に明るい頂で、意外にも富士山が見えた。 私達だけの静かな山頂で30分ほど大休止してから北峰に戻る。 北峰に着くと、ちょうど下から単独の方が登ってきたので、展望の良い南峰まで行くことを強く勧めた。 日の短い時期なので、結局今日出会ったのは5名のパーティーとこの方だけだった。 途中その5名のパーティーを追い越し、2時半に登山口に戻った。