2 0 0 9 年  4 月  

《 11日 》    月山 ・ 湯殿山 <スキー>

姥沢 〜 金姥 〜 月山 〜 金姥 〜 装束場 〜 湯殿山 〜 志津(自然博物園)  (縦走)

    高速道路料金1000円の麻薬は月山や鳥海山まで平気で足を運ばせる。 山形道の寒河江SAで前泊し、朝8時からのリフトの運行時間に合わせて登山口の姥沢(月山スキー場)に向かう。 さすがに豪雪地帯だけあって、雪不足とは言え麓の西川町はまだ白一色の冬景色だった。 すでに50台くらいの車が姥沢の広い駐車場に停まっていて驚く。 車のナンバーは圧倒的に地元が多いが、中には関東の車もあった。 今日のメインディシュの湯殿山にも雪がたっぷりあり、天気も上々でワクワクする。 スキー場は前日にオープンしたばかりなので駐車場の先の道路はまだ除雪されておらず、スキーを履いてリフト乗場まで10分ほど緩い坂道を登る。 姥沢までの道路と同様に除雪車で雪の中から掘り起こされたリフトがとてもユニークだ。 一基しかないペアリフトの混雑はなく、15分ほどで標高1520mのゲレンデトップへ。 純粋な山スキーヤーのみならず、ゲレンデスキーヤーも多いようで(スキー場だから当然か)、目の前の姥ヶ岳にツボ足で次々と登っていく。 月山や姥ヶ岳の山頂、あるいはここから姥沢のリフト乗場へ滑り込むのが月山スキー場の基本ルートだろうが、今日は月山から湯殿山へ、また明日は鳥海山へ行く予定があるので、この一番気持ち良さそうなルートを滑ることは叶わない。 意外にもゲレンデトップから見た右奥の月山は所々で雪が剥げていたので、眼前の純白の姥ヶ岳の方が立派に見える。 8時半にゲレンデトップを出発。 月山へ登る山スキーヤーの殆どは姥ヶ岳には登らず、勾配の緩い無木立の広い谷を月山の方角に各々登り易い所を選んで登っていく。 私達はガイドブックやネットの情報に従って最初は姥ヶ岳へ登り、途中から右へトラバースして主脈上の『金姥』という月山と湯殿山方面との分岐点に向かう。 金姥は一服するにはちょうど良い場所であるばかりか、谷からのトレースが合流していたので、ここも大勢のスキーヤーで賑わっていた。 今日はここから月山を往復した後、背後の姥ヶ岳の山腹をさらにトラバースして湯殿山へ縦走する予定であるが、残念ながら湯殿山方面へのトレースはなかった。 金姥からは登山道のある尾根の少し右寄りをキープしながら月山の頂を目指す。 少々風があるが予報どおりの良い天気で、前にも後にも山スキーヤーが多い。 昨日スキー場がオープンしたばかりということもあるが、月山がこれほどまで人気のある山だとは思わなかった。 たおやかな目立たないピークを一つ越え牛首のコルを過ぎると、姥ヶ岳の向こうに再び純白の湯殿山が見えてきた。 遠目には勾配がきつそうに見えた月山の山頂直下の斜面もそれほどではなく、また雪の状態も良かったので、労せずに頂上稜線までシールで登る。 頂上稜線は独立峰ならではの強い風の影響か、所々で地肌が露出していたので、スキーをデポして指呼の間の山頂に向かう。 ゲレンデトップから僅か2時間ほどで山頂に着いた。 神社はまだ半分雪の下だ。 一昔前の夏に弥陀ガ原から登った時は一面のお花畑で、クロユリが沢山咲いていたことが思い出された。 生憎の春霞で鳥海山や朝日連峰は見えないが、北東の月見ヶ原方面にはうっとりするような広大な雪原が広がり、滑り込みたくなるような衝動に駆られる。 次々と山頂に登ってくるスキーヤー達と入れ違いに早々に山頂を辞し、頂上稜線から金姥を目指して滑る。 雪質は上々で、このまま左下の広大な谷をリフトの方角に滑っていきたい気持ちをこらえるのに苦労する。 あっという間に金姥の分岐に着くと、運良く湯殿山方面へのトレースが姥ヶ岳の山腹を回り込むようにつけられていた。 先行者のトレースに沿って、右手に品倉山を見ながらトラバースしていくと、意外にも次々と姥ヶ岳の山頂から湯殿山への取り付きとなる『装束場』という広いコルに滑っていくスキーヤーの姿が見えた。 トラバースを終え、装束場のコルに向けて傾斜の緩い無木立のオープンバーンを滑る。 雪質はまずまずだったので、姥ヶ岳の山頂から装束場への滑りはもっと素晴らしいに違いない。 当初は誰もいないだろうと思っていた広い装束場のコルには、姥ヶ岳から滑ってきた大勢のスキーヤー達がのんびりと寛いでいた。 風もなく暖かな陽光に恵まれた装束場は、まるでGWのような雰囲気だった。 眼前の湯殿山への登りのトレースも明瞭で、これから先のルートの心配がなくなったので、私達もここで大休止する。 湯殿山へ登る尾根は少し急だったのでスキーを担いでツボ足で登る。 装束場から湯殿山の山頂まで標高差は200mくらいであるが、登山道がないのが不思議に思えるほどすっきりとした尾根道は登り易く、いくつかの小ピークの登り下りを経て、1時間足らずで展望抜群の山頂に着いた。 すでに月山も遠くなり、山スキーの機動力を実感する。 風のない穏やかな山頂にはスキーヤー達が思い思いに寛いでいた。 山頂からゴールとなる志津の自然博物園へ滑り込むルートは、大雑把に東面の沢、南面の沢、そしてその中間にある南東の尾根の3通りある。 東面の沢は少し急で短く、南面の沢は緩やかで長そうだ。 いずれのルートにもシュプールは沢山刻まれていたが、志津から登山口の姥沢の駐車場へ戻るバスの時間が気になり、再訪することを心に誓い東面の沢に飛び込む。 午後の気温で緩んだザラメ状の斜面は全く不安はない。 滑ったあとを上から幾つもの“雪車”が追いかけてくるのが滑稽だ。 あっという間に400mほどの標高差を滑り下り、姥ヶ岳から装束場を経て石跳沢を滑ってくる多くのスキーヤーと合流し、所々で口を開け始めた石跳川に沿ってブナ林の中の長い緩斜面を自然博物園へ滑る。 沢山のトレースのお陰で下山の予定時刻より30分以上も早く自然博物園に着いてしまった。 月山荘前のバス停まで車道を10分ほど歩き、2時51分発の町営のマイクロバス(@200円)で姥沢の駐車場へ戻った。 志津温泉の旅館『仙台屋』で温泉(@500円)に入り、明日予定している鳥海山に向けて酒田に車を走らせた。


姥沢の駐車場から見た姥ヶ岳


姥沢の駐車場から見た湯殿山


除雪車で雪の中から掘り起こされたリフト


姥ヶ岳に向けて登る


姥ヶ岳の途中から金姥の分岐に向けて右へトラバースする


勾配の緩い無木立の広い谷を月山の方角に登っていくスキーヤー


金姥付近から見た月山(中央左の黒い岩の上が山頂)


牛首のコル付近の緩やかな斜面


山頂に近づくと姥ヶ岳の向こうに再び純白の湯殿山が見えてくる


頂上稜線から見た月山の山頂


月山の山頂


山頂から見た月見ヶ原方面


山頂から見た湯殿山(中央奥)


山頂から見た品倉山


牛首のコルに向けて緩やかな斜面を滑る


姥ヶ岳の山腹を回り込むようにトラバースする


湯殿山の取り付きとなる広い装束場のコルへの無木立のオープンバーンを快適に滑る


装束場のコル付近から見た湯殿山


登山道がないのが不思議に思えるほどすっきりとした湯殿山への尾根道


湯殿山の長い頂上稜線


湯殿山の山頂(背景は月山)


山頂から東面の沢に飛び込む


東面の沢の中間部


東面の沢の下部


ブナ林の中の長い緩斜面を自然博物園へ滑る


自然博物園付近から見た湯殿山(左)と姥ヶ岳(右)


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