2 0 0 9 年  4 月  

《 5日 》    御嶽山 <スキー>

御岳ロープウェイスキー場 〜 御嶽山  (往復)

    高速道路料金1000円のお蔭で経済的かつ時間的にも御嶽山まで日帰り登山が可能となった。 中央道を伊那ICで降り、権兵衛トンネルを経て道の駅『日義木曽駒高原』で前泊し、御岳ロープウェイスキー場へ。 先月の降雪で雪もしっかりとあり、春休みなのでスキー場もそれなりの人出だ。 京阪神はもちろんのこと、岡山や広島ナンバーの車が目立つ。 リフトを3本乗り継いでゲレンデトップ(標高2150m)を8時45分に出発。 黒沢口の登山道方面とは反対のリフトの降車場のすぐ裏手の針葉樹林帯が山スキーのツアーコースになっており、すでに出発した山スキーヤーのトレースがあった。 朝一番のゴンドラ(料金は400円高い)やリフトで上がってきた山スキーヤー達10名ほどが次々に出発していく。 スノーシューを履いたボーダーも4〜5人いる。 アプローチが良いためか、乗鞍ほどではないが、御嶽は予想以上に山スキーヤーやボーダーに人気があることが分かった。 昨日の雨は高い所では雪だったようで、足元や木々の上にも数センチの新雪が見られた。 意外にも樹林帯の中には新旧の赤布が沢山あり、御嶽の山スキーの歴史の長さと人気を再認識した。 30分も登らないうちに木々も疎らになり、正面には剣ヶ峰から継子岳に至る荒々しい頂上稜線、そして右手には乗鞍が大きく望まれた。 針葉樹林はいつの間にか葉の落ちたダケカンバの疎林となり、展望はさらに良くなったが、御嶽の強い風の洗礼を受ける。 昨日の雨や雪で湿気を含んだ空は青くはないが、天気の崩れは全く感じられない。 登山口から1時間ほどで森林限界となり、右からの横風に耐えながら幅の広い尾根を僅かに登ると見晴らしの良い平坦地となった。 緩やかな無木立の斜面が前方一面に広がり、先行パーティーやトレースのお蔭で登りや滑りのルートも大雑把に分かる。 左手の尾根上に見える8合目の女人堂(金剛堂)が目線の高さになってきた頃、ようやく継子岳方面から吹いていた風も収まり一息つけた。 剣ヶ峰の山頂は9合目付近の岩稜に遮られて見えないが、 森林限界から1時間半ほど快適なシール登高を続けていくと、それまで岩のように見えた9合目下の石室山荘がはっきり分かるようになった。 この辺りから傾斜は徐々にきつくなり、また雪質が良かったせいか、先行していたボーダー達が次々と滑り始めた。 傾斜が一段ときつくなった所でツボ足に切り替える山スキーヤーが多かったが、私達はいつものように可能な限りシールで登り続けた。 次第に今度は正面の山頂方向から風が吹き下ろすようになり、まるで地吹雪のように昨日稜線に積った新雪が足元をすり抜けていく。 石室山荘直下では所々にアイスバーンが見られるようになり、シールでは迂回を強いられるようになったので、迷った末に私達もツボ足に切り替え、同時にアイゼンも着ける。 石室山荘で登山道と合流し、指呼の間にある9合目の覚明堂の傍らで風を避けながら一服する。 ここからは山頂を目指す人と、滑り始める人とに分かれたが、さらにまだスキーを担いで山頂を目指したのは私達だけだった。 風はそれほど強くないが、板に風が当たるので歩きにくい。 そのまま山頂まで登って滑る予定だったが、アイスバーンの占める割合が多くなり、滑走が面白くなさそうなので、頂上稜線に上がる一歩手前にあった一抱えほどある岩の陰にスキーをデポする。 意外にもそこから僅かに登った頂上稜線に出ると、風速20mほどの爆風が断続的に吹いていた。 すぐに止むと思った風は逆にますます強まり、滑るどころか登るのも困難な状況になり、スキーをデポして正解だった。 罰ゲームのようで楽しくないが、ちょうど良い耐寒訓練だと開き直ってあと僅かとなった剣ヶ峰の山頂を目指す。 3重の手袋をしていても指先が冷たくなる。 意外にも山頂の直前で風の通り道から外れ、図らずも山頂は全くの無風だった。 所々で風やアイスバーンに悩まされたため、ゲレンデトップから山頂まで4時間半かかった。 後続の山スキーヤーの殆どが強風のため途中で引き返してしまったので、しばらくすると山頂は私達だけで貸切りとなった。 先ほどまで仰ぎ見ていた摩利支天山や継子岳は眼下に収まり、広大な火口のお釜が足元に広がっている。 お釜の底までスキーで滑り込みたいという衝動に駆られるが、アイスバーンになっていることは必至で、まさに地獄行きとなるだろう。 過去2回残雪の時期に辿ったことのある田の原からのルートも山スキーのツアーコースになっているが、今日は人影が全く見られなかった。 天気は尻上がりに良くなり、30分ほどのんびりと寛いでから再び爆風の頂上稜線を下る。 9合目と山頂の中間くらいのスキーのデポ地点に戻り、2時過ぎに登りのトレースではなく山頂寄りの沢状のバーンから滑り出す。 シュカブラやアイスバーンの上に新雪が少し積った斜面はやや危なげな感じがするので数ターン毎に止まりながら滑るが、雪煙を巻き上げながらの滑降は久しぶりだ。 9合目下の石室山荘まで滑り、登山道を横切る感じで登ってきた斜面に戻る。 眼下に広がるオープンバーンにはすでに山スキーヤーやボーダーの姿はなくなり、図らずも山頂同様貸切りとなった。 滑り出しこそ少々アイスバーンが残っていたが、その後は新雪の気持ちの良い滑りが緩斜面のお蔭で結構長く続き、期待以上に滑りを楽しむことが出来た。 良い雪質はダケカンバの疎林の中まで続き、所々で足を止めながら乗鞍や背後の日本離れした雪山の景色を堪能する。 最後の針葉樹林帯は大半がモナカとなり手を焼いた。 3時半にゲレンデトップに戻り、すでにスキーヤーの姿も疎らになったゲレンデを滑るが、皮肉なことに新雪のないゲレンデの上部から中間部の雪面はカリカリで、先ほど滑った自然のゲレンデの方が足に優しかった。


スキー場への道路から見た朝の御嶽山


山スキーのツアーコースの入口となるゲレンデトップの裏手の針葉樹林帯


針葉樹林帯の上部では所々で木々も疎らになる


針葉樹林帯を過ぎると葉の落ちたダケカンバの疎林となる


森林限界から幅の広い尾根を僅かに登ると見晴らしの良い平坦地となる


風も弱まり、快適なシール登高で好みの斜面を登る(背景は継子岳)


8合目と9合目の中間地点(中央右の石室山荘が岩のように見える)


山スキーヤーとボーダーが次々と登ってくる(左上の白い部分がスキー場)


石室山荘直下からツボ足に切り替え、指呼の間にある9合目の覚明堂へ登る


9合目と山頂の中間くらいのスキーのデポ地点から見た剣ヶ峰の山頂


山頂の直前で風の通り道から外れる


御嶽山(剣ヶ峰)の山頂(背景は乗鞍岳)


御嶽山(剣ヶ峰)の山頂


広大な火口のお釜


田の原からのルートには人影が全く見られなかった


爆風の頂上稜線をスキーのデポ地点へと下る


9合目下の石室山荘へ雪煙を巻き上げながら滑る


石室山荘から貸切りのオープンバーンを快適に滑る


新雪の気持ちの良い滑りが緩斜面のお蔭で長く続く


見た目は荒れているが、新雪が軽い


乗鞍や穂高の眺めが良い


ダケカンバの疎林を目指して滑る


滑降コースの日本離れした雪山の景色


良い雪質はダケカンバの疎林の中まで続く


ダケカンバの疎林から見た継子岳


針葉樹林帯から剣ヶ峰方面を振り返る


新雪のないゲレンデの上部はカリカリで滑りにくかった


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