山 行 の 記 憶

  2 0 0 9 年  1 月  


《11日》    金山鉱泉 〜 雁ケ腹摺山 〜 姥子山 〜 金山鉱泉 (往復)

    当初は青木鉱泉から地蔵岳を経て高嶺に登る予定であったが、前日の降雪(大雪)予報により関東周辺の低山に変更した。 雁ケ腹摺山は大菩薩周辺にある3つの雁ケ腹摺山のうちまだ登ったことのない山である。 冬期の林道の通行止めにより、日帰りのルートとしてはクラシカルな大月の金山鉱泉からの往復しか選択肢がなかったのが残念であった。 天気は快晴で、8時に金山鉱泉を出発。予想どおり他に登山者(の気配)はなく、新雪(10〜30センチ)をラッセルして登る。 南側斜面の新雪は軽くてあまり苦にならない。山頂直下で上からスノーシューで下ってくる人と初めて出合う。 コースタイム内で歩くことは出来ず、4時間半ほどで山頂に到着。 「秀麗富嶽十二景」に選定された山頂からの富士山の眺めは確かに良いが、富士山方面以外は樹林に囲まれているため他の山の展望は悪い。 帰路はルートから少し外れた姥子山に立ち寄り、途中から沢沿いのコースを下山したので単純なピストンは避けられた。 下山後、金山鉱泉で入浴。 お客さんが少ないので、貸切の家族風呂にしていただいた。 人情溢れる女将さんから干し柿を頂く。



金山峠付近から見た雁ケ腹摺山



新雪の雁ケ腹摺山への登路



雁ケ腹摺山山頂



雁ケ腹摺山山頂から見た富士山



姥子山山頂



《12日》    落合 〜 白沢峠 〜 倉掛山 〜 板橋峠 〜 柳沢峠 〜 落合 (周回)

    青梅街道の最高点である柳沢峠の駐車場で前泊し、7キロほど東京方面に下った落合の集落に車を停めて6時半に出発。 雪で覆われた一ノ瀬高原へ向かう車道を歩き、高橋の集落を経て白沢峠に至る古道を行く予定であったが、地図にない林道と積雪のため古道の取付きが分からず1時間以上林道を徘徊する。 ようやく古道の取付きを見つけ、実質上9時頃に登山開始。 天気は予報よりも悪く時折小雪が舞っていたが登山を続行する。 予想どおり他に登山者(の気配)はなく、今日も新雪をラッセルして登るが、今日の方が昨日の雁ケ腹摺山より積雪量が多かった(20〜30センチ)。 白沢峠からは三富村方面に下れるが、何故か標識は一切なかった。 古道は白沢峠の少し先で稜線に合流したので、峠には立ち寄らず稜線を倉掛山へ向かう。 稜線には奥多摩の石尾根と同じような防火帯が作られており、新雪の恩恵で低山ながら雪山ムードを充分堪能出来た。 稜線のトレースは全て鹿のものであり、今日は他の登山者とは出合わなかった。 倉掛山の山頂からの展望は良かったが、甲武信岳方面は雲や霧で良く見えなかった。 倉掛山の山頂では晴れ間が覗いたが、午後に入ると天気が一段と悪くなったので、予定していた鶏冠山までの縦走を断念し、板橋峠から斉木林道を柳沢峠へと下る。 柳沢峠付近から車を停めてある落合の集落まで青梅街道を1時間以上歩かなければならなかったが、運良く通りがかった登山者の車に拾ってもらう。



白沢峠への古道



倉掛山への登り



倉掛山山頂



倉掛山から板橋峠へ



稜線の防火帯



《17日》    本栖隧道(本栖湖)〜 烏帽子岳 〜 三方分山 〜 五湖山 〜 王岳 〜 鍵掛峠 〜 根場(西湖) (縦走)

    積雪期の富士山の外輪山はいつも静かだ。 三ツ峠山から天子ケ岳に至る御坂山塊と天子山塊のうち、未踏破の区間である本栖湖から西湖(烏帽子岳から鍵掛峠)と田貫湖から麓(長者ケ岳〜地蔵峠)を、今日と明日でそれぞれ日帰りで縦走することにした。 車の回収には自転車を使う。 西湖畔の根場の駐車場に前泊し、自転車を駐車場にデポして登山口の本栖隧道に車で向かう。 6時半に本栖隧道を出発。 モルゲンロートに染まる南アルプスの山々を眺めながら最初のピークである烏帽子岳を経て、富士山の展望の良いパノラマ台へ登る。 積雪は10〜20センチほどであったが、3連休の後なので明瞭なトレースがあり、コースタイムどおりに歩けた。 パノラマ台からは富士山はもちろんのこと、眼下に見える本栖湖の対岸の竜ケ岳や雨ケ岳、精進湖方面にはこれから辿る三方分山・五湖山・王岳が良く見渡せた。 風も弱く、陽射しが暖かい。 パノラマ台には反対側の精進湖からのルートもあるため、引続き明瞭なトレースがあった。 次の三方分山は山頂からの展望に恵まれない不遇な山であったが、パノラマ台や五湖山から見たその山容は堂々としており、『山梨百名山』に選ばれたのは頷ける。 女坂峠から先はトレースはないと予想していたが、五湖山まではトレースがあった。 五湖山からは登山者に代わって鹿のトレースが忠実に尾根を辿っていた。 積雪量も少し増え、低山ながら雪山ムードを堪能出来た。 最後のピークである王岳に着くと、ここにも『山梨百名山』の標柱が立ち、間もなく3人のパーティーが鍵掛峠から登ってきた。 鍵掛峠を経て根場(西湖)への下山は拍子抜けするほど楽だった。 根場の駐車場から自転車に乗り、登山口の本栖隧道に車を回収しに行く(14キロ/所要40分)。 西湖畔の温泉「いずみの湯」で入浴し、明日の下山口となる麓の集落に自転車をデポして、登山口の田貫湖畔の駐車場に泊まる。



パノラマ台から見た竜ケ岳(左)と雨ケ岳(中) 手前は本栖湖



パノラマ台から見た三方分山



パノラマ台から見た王岳 手前は精進湖



パノラマ台から三方分山へ



三方分山山頂



五湖山付近から見た三方分山



五湖山から王岳へ



王岳



王岳山頂



王岳山頂から見た鬼ケ岳



王岳山頂から見た富士山



《18日》    田貫湖 〜 長者ケ岳 〜 湧水峠 〜 熊森山 〜 猪之頭峠 〜 雪見岳 〜 地蔵峠 〜 麓 (縦走)

    天子山塊の最南端の天子ケ岳に登り、稜線を北に縦走したかったが、夕方から天気が崩れるという予報と、長者ケ岳から先はトレースがないという予想から今回は天子ケ岳を諦め、長者ケ岳から地蔵峠まで縦走することにした。 登山口の田貫湖畔の駐車場に前泊し、6時15分に田貫湖を出発。 木の階段が多い東海自然歩道を2時間弱登り長者ケ岳の山頂に着くと、意外にも北への縦走路に1パーティーの古いトレースがあり、同好の志に会えたような気がして妙に嬉しくなった。 途中の熊森山・雪見岳は共に独立性のある顕著なピークであったが、展望に恵まれない不遇な山であった。 早朝から曇りがちであった天気も昼前には一時回復し、富士山はもちろんのこと、南アルプスの山々もはっきり見えるようになった。 結局、今日は予想どおり誰とも出会わない静かな雪山ハイクとなった。 下山口の麓から自転車に乗り、登山口の田貫湖に車を回収しに行く(10キロ/所要30分)。 尚、ガイドブックには長者ケ岳から地蔵峠までの縦走路は通行困難であると記されているが、ネットの情報では現在は通行困難ではないとなっており、実際もその通りであった。

   

長者ケ岳山頂



長者ケ岳山頂から見た富士山



長者ケ岳から湧水峠へ



湧水峠の指道標



熊森山山頂



熊森山山頂付近から見た雪見岳



猪之頭峠付近から見た熊森山



雪見岳山頂手前から見た天子ケ岳(中央奥)と長者ケ岳(中央手前)



荒川岳(右)と赤石岳(左)



地蔵峠



《25日》    上日川ダム 〜 小屋平 〜 石丸峠 〜 小金沢山 〜 牛奥ノ雁ケ腹摺山 〜 川胡桃沢の頭 〜 黒岳 〜 白谷丸 〜 湯ノ沢峠 〜 大蔵高丸 〜 ハマイバ丸 〜 米背負峠 〜 やまと天目山温泉 (縦走)

    山仲間の西さん&セッちゃんとの新春山行で大菩薩(小金沢連嶺)を北から南へ縦走した。 4年前の無雪期にほぼ同じルートを南から北へ縦走したことがあるが、今回は積雪期なので車を2台使って途中の車道歩きを省き、また登山口を下山口よりも標高の高い所にすることにより行動時間の短縮を図った。 但し、車道も冬期通行止めの区間が長く、登山口は上日川ダム付近のペンションすずらん、下山口はやまと天目山温泉付近となった。 道の駅『甲斐大和』に前泊し、下山口のやまと天目山温泉付近のトンネルの手前に車をデポして、ペンションすずらんの駐車場を6時に出発。 雪の積った通行止めの車道を5キロほど歩き、小屋平というバス停脇から石丸峠への登山道へ入る。 車道にはトレースがなかったが、登山道には上日川峠からの登山者の古いトレースがあった。 天気は予報以上の快晴となり、今日のメインディッシュの富士山はもちろんのこと、南アルプスが隅々までクリアーに望まれた。 石丸峠には小菅方面(牛ノ寝通り)からのトレースもあり、大菩薩嶺に向かっていたが、これから向かう小金沢山方面にはカモシカのトレースしかなかった。 積雪は30センチほどであったが、今日は西さんという強力がいるのでラッセルも楽しい。 おそらく今日私達と同一のルートを辿るパーティーはないだろう。 稜線上は終始陽射しに恵まれたが、気温は予報どおり低く、少しの風でも寒く感じる。 時折、鹿の群れが尾根を走って横切る。 縦走路中、最高峰の小金沢山を筆頭に、牛奥ノ雁ケ腹摺山、川胡桃沢の頭、白谷丸、大蔵高丸、ハマイバ丸の各ピークからは全て富士山が良く眺められたが、唯一黒岳だけは展望に恵まれない不遇な山であった。 白谷丸まで縦走してくると、湯ノ沢峠方面からの新しいトレースがあり、反対方向から白谷丸を登った人がいたことが分かった。 このトレースに助けられ、エスケープルートとして考えていた湯ノ沢峠からの林道を見送り、当初の計画どおり米背負峠までもうひと頑張りする。 結果的にこのトレースがなければ、明るいうちに下山出来なかったかもしれない。 日没寸前の5時半前に下山口にデポした車に到着。 一日中雲一つない快晴の天気に恵まれ、私達だけの静かな新春山行を堪能することが出来た。



石丸峠への登り



石丸峠の上のピークから見た熊沢山(左)と大菩薩嶺(右)



南アルプスを愛でながら小金沢山へ 手前は大菩薩湖



小金沢山



小金沢山山頂



小金沢山山頂から見た富士山



小金沢山から牛奥ノ雁ケ腹摺山の間にある気持ちの良い笹原



小金沢山から牛奥ノ雁ケ腹摺山へ



牛奥ノ雁ケ腹摺山山頂



牛奥ノ雁ケ腹摺山山頂から見た川胡桃沢の頭と黒岳(左に重なっている)



川胡桃沢の頭への登り



川胡桃沢の頭山頂



黒岳山頂



白谷丸山頂



白谷丸から湯ノ沢峠へ



湯ノ沢峠から大蔵高丸への登り



大蔵高丸山頂



ハマイバ丸山頂



ハマイバ丸から米背負峠の間にある天下石(山)



米背負峠