8月27日、アパートから1時間足らずで登山口のキュータイ(2020m)に着くと、登山口の目の前に無料の駐車場があった。 キュータイにはホテルが多く、予想以上に大きなリゾートだった。 二日連続で雨が降ったせいか周囲は濃い霧に包まれていたので1時間近く車内で待機した。
周囲が明るくなったので意を決して出発する。 登山口の道標には「ズルツコーゲルまで4.5時間」と記されていたが、これは下りに利用するルートで、登りはドライゼーンヒュッテに向けてスキー場のスロープを登る。 しばらくすると嘘のように霧が晴れ、谷を埋め尽くす分厚い雲海の上に出た。
スキー場の管理道路が通るドライゼーンヒュッテから小さな池の脇を通ってフィンスタータールゼー(湖)の湖尻に着くと、対岸のツヴェルファーコーゲル(2988m)の左奥にズルツコーゲルの山頂が見えた。
起伏のない湖畔のハイキングトレイルを時計回りに半周進み、湖に流れ込む沢に沿って明瞭な踏み跡を緩やかに登る。 前方の岩壁から垂れるように流れる幾筋かの滝を左から巻くように登ると、細長いカールの底にネームレスレイクが見えた。
ネームレスレイクから細長いカールの左岸を登る。 岩の堆積するトレイルの踏み跡は明瞭で傾斜も緩くて登り易い。 山頂直下のコルに着くとそれまで見えなかった反対側の山々が見えた。 コルからは顕著な急斜面の岩尾根を僅かに登ると細長い頂上稜線の端に着き、指呼の間に山頂の十字架が見えた。
十字架は地味で小さかったが、レジストリーBOXは備え付けられていたので、箱の中のノートにコメントを記した。 山頂からは全方向に沢山の山が望まれ、滞在先のゼーフェルトやインスブルック周辺の山々も遠望された。
周回するルートはないのでフィンスタータールゼーまで往路を戻り、湖尻からダムの管理道路をショートカットしながら最短距離で登山口に下った。