ツムシュタインシュピッツェ(4563m)

  下りは私が先頭になり、そのまま反対側の急な稜線を僅かに下ってから稜線を外れ、クラストした緩やかな斜面を先ほど通ったツムシュタインシュピッツェへ向かうメインのトレイルを目指して下る。 途中からはジジ氏が先頭となり、踏み跡を外れトラバース気味にメインのトレイルと合流しようとしたが、思わぬモナカ雪に足が取られ、かえって足が疲れる結果となった。 イタリア側からのモンテ・ローザ登山は、ツムシュタインシュピッツェとアルプス最高所の山小屋(マルゲリータ小屋)が山頂に建つジグナールクッペの二峰が主な登山対象になっているようで、私達がパロットシュピッツェに寄り道している間に、トレイルの前後には幾つものパーティーが見られるようになった。 これから向かうツムシュタインシュピッツェを正面に見据えながら、4000m以上の高さを保ったまま純白の大海原(氷河)を漫歩するこの“三山がけ”は登攀の醍醐味には欠けるものの、今までに経験のない楽しさであった。

  緩やかで明瞭なトレイルを1時間ほど登ると、右手にジグナールクッペへ向かうトレイルが分岐していたが、ジジ氏はこれを見送ってツムシュタインシュピッツェへのトレイルをとった。 そこからさらに10分ほど登ると、ツムシュタインシュピッツェとジグナールクッペをつなぐ稜線の広いコルに出た。 コルからは先日登ったアラリンホルンやヴァイスミースを始め、シュトラールホルン、リムプフィッシュホルン、ドム、そしてその後方にベルナー・オーバーラントの山々が一望され、その景色の新鮮さに思わず感嘆の声を上げた。 ツムシュタインシュピッツェの山頂までは、あと標高差100m足らずである。 山頂直下の簡単な岩場を攀じり、am9:30に今日の最高点である4563mの山頂に辿り着いた。 十字架の代わりに小さなマリア様の像がひっそりと岩陰に安置されていた。

  指呼の間には最高峰のデュフールシュピッツェが大きく望まれ、その右奥にはゴルナーグラートの展望台から遠望された姿とは違うノルトエント(4609m)の鋭く尖った峰が連なっている。 ジジ氏はルートのコンディションが良ければ、ここからデュフールシュピッツェまで1時間半ほどで行けるとのことであり、ツェルマットからモンテ・ローザヒュッテを経由して登るよりも遙かに楽であることが分かった。 目を転じると、これから向かうジグナールクッペの頂が同じ目線の高さで望まれた。 山頂に建つマルゲリータ小屋は山深さとは明らかにミスマッチであるが、この山が最高峰であるがゆえの宿命なのであろう。 4527mのリスカムがすでに目線より低くなったことで、不思議と悔しさも少し薄らいできた。


パロットシュピッツェを下り、ツムシュタインシュピッツェへ登る


ツムシュタインシュピッツェへの登りから見たパロットシュピッツェ


ツムシュタインシュピッツェの山頂直下


ツムシュタインシュピッツェの山頂    背景は最高峰のデュフールシュピッツェ


ツムシュタインシュピッツェの山頂から見たリスカム


ツムシュタインシュピッツェの山頂から見たジグナールクッペ(山頂にマルゲリータ小屋が建っている)


ツムシュタインシュピッツェの山頂から見たシュトラールホルン(手前)とベルナーオーバーラントの山々


山 日 記    ・    T O P