ピコ・デ・オリサバ(5630m)

   3月11日、イスタシワトルの時と同じスケジュールで、零時に起床して1時に出発する。 昨夜も予想どおり熟睡には至らなかったが、前日の暖かさが残る山小屋の中でゆっくり朝食を食べられることがありがたい。

   コンクリート製の排水路の上をしばらく歩いてから右手の登山道に入る。 特に目印のようなものはないが、登山道の踏み跡は明瞭で、ハイシーズンには国内外の登山者が多いことが頷ける。 予想よりも勾配は緩かったが、逆にメッシはとてもゆっくり歩いてくれたので助かった。

   最初の休憩場所ではネズミが足元に纏わり付き、山小屋のみならずこの辺りに生息していることが分かった。 一昔前は氷河に覆われていたと思われる埃ぽいザレた岩の上を黙々と登り続ける。 踏み跡は次第に薄くなっていったが、メッシは全く迷うことなく機械のように同じペースで先導する。 燃えるような朝焼けが始まり、山頂方面が頭上に見えてくると間もなく氷河の舌端に着いた。 GPSでの標高は5100mで、山小屋からここまで5時間以上を要した。


山小屋での朝食


朝食のフルーツとヨーグルト


1時に山小屋を出発する


山小屋から氷河の舌端へ


ネズミ


山小屋から氷河の舌端へ


山小屋から氷河の舌端へ


朝焼け


山小屋と氷河の舌端の間から見たピコ・デ・オリサバ


山小屋から氷河の舌端へ


山小屋から氷河の舌端へ


山小屋から氷河の舌端へ


氷河の舌端からピコ・デ・オリサバへ


氷河の舌端から見たピコ・デ・オリサバ


   氷河の舌端から少し登った所でアイゼンを着け、メッシと石塚さん、私、平岡さんが1本のロープで繋がる。 氷河に雪が積もった乾期の序盤から中盤(10月〜1月)であれば登り易そうな斜面だが、乾期の終盤の今は温暖化も手伝って残雪のみならず氷河も溶け、ペニテンテスと氷だけになっているので登りにくい。 途中からは更に氷河の状態が悪くなってきたので、メッシと私、石塚さんと平岡さんの二組に分かれて、それぞれショートロープで登ることになった。 先頭のメッシがペニテンテスを足で蹴って崩しながら登るが後続の私も決して楽ではない。 頭上に見えているニセピークは登っても登ってもなかなか近づかず、高度の影響で登高スピードがあきらかに落ちてしまいもどかしい。 氷河の舌端から3時間半を要してようやく火口の縁に這い上がったが、指呼の間と思われた山頂は疲れているせいもあってまだ遠そうに見えた。

   火口の縁からは緩やかに少し下ってから何らかの人工物が見える山頂へ登り返す。 ペニテンテスが無くなったので歩き易くなり、労せずしてピコ・デ・オリサバの山頂に着いた。 人工物は以前あったという気象観測機器ではなくマリア像だった。 山小屋から9時間以上を要し、達成感や昂揚感よりも疲労感と安堵感が先行していた。 山頂からはそれまで見えなかった荒涼とした爆裂火口が見え、独立峰らしくイスタシワトルとポポカテペトル、マリンチェなどお馴染みの山々が遠望された。


氷河の舌端からピコ・デ・オリサバへ


氷河の舌端からピコ・デ・オリサバへ


氷河の舌端からピコ・デ・オリサバへ


火口の縁から見たピコ・デ・オリサバ


火口の縁からピコ・デ・オリサバへ


ピコ・デ・オリサバの山頂


ピコ・デ・オリサバの山頂


山頂のマリア像


山頂から見たイスタ(中央遠景)・ ポポ(左端)・ マリンチェ(右端)


山頂から見た火口と外輪山


山頂から見た火口と外輪山


山頂から見た衛星峰


   イスタシワトルのような登り返しはないものの下山も決して楽ではなく、斜めや横向きに一歩一歩アイゼンの爪を氷の上に置かなければならないのですぐに腰が痛くなり、目標を失った身には単調な動作を繰り返すことが精神的にも苦痛だった。

   氷河の舌端からはメッシと私が先行し、予定よりも2時間オーバーの3時に留守番役のアフメが首を長くして待つ山小屋に戻った。 諸事情により山小屋を出発する時間が遅くなり、プエブラのホテルに着いたのは9時になってしまった。


ピコ・デ・オリサバから氷河の舌端へ


ピコ・デ・オリサバから氷河の舌端へ


ピコ・デ・オリサバから氷河の舌端へ


氷河の舌端


氷河の舌端から山小屋へ


氷河の舌端と山小屋の間から見たピコ・デ・オリサバ


氷河の舌端から山小屋へ


氷河の舌端から山小屋へ


氷河の舌端から山小屋へ


山小屋から見たピコ・デ・オリサバ(中央奥)


プエブラへの車窓から見たピコ・デ・オリサバ


プエブラへの車窓から見たピコ・デ・オリサバ


プエブラのホテル


山 日 記    ・    T O P