8月20日、バンフからダイレクトに登れるマウント・ランドルは古くから親しまれている山で、山頂へアプローチするトレイルも近年整備されたようだ。 町外れのボウ・フォールズ駐車場に車を停め、トレイルヘッド(TH)まで10分ほど車道を歩く。 THには立派な案内板と標識があり、林道をしばらく歩いた先の分岐からハイキングトレイルに入る。
トレイルは予想以上に良く整備されていて、勾配は緩やかだが面白いように標高が稼げる。 大きなスイッチバックを何度も繰り返すようになると、ショートカットする道(旧道)が随所に見られた。 スイッチバックを終えると山腹を長くトラバースしながら涸れた沢を3回横切る。 最後の広い沢を通過するとトレイルは急勾配となり、森林限界までジグザグを切りながら急坂を登る。 森林限界からようやく山頂方面が望めるようになったが、バンフの町や隣のサルファー・マウンテンは山火事の影響で霞んで見えた。 日曜日の喧噪を危惧していたが、意外にも先行者の姿は見えなかった。
実質的なTEとなる森林限界には標識の類はなく、踏み跡の濃さはそれまでと全く変らなかった。 草木がなくなり岩場の登りに入ると間もなくドラゴンズ・バックと呼ばれる痩せ尾根となったが、足元の岩が硬く安定していたので、岩が濡れていなければかえって登り易かった。 ドラゴンズ・バックを過ぎると大小の岩屑が堆積したガラ場となる。 ケルンが積まれた踏み跡はあるが、所々で岩が崩れて踏み跡が消えていたので、次のケルンを見据えながら登り易い所を選んで登る。 スクランブルする所は皆無で、予想よりも短い時間で山頂手前のニセピークに着いた。 それまで見上げていたランドル北峰がいつの間にか眼下となり、指呼の間の山頂までは僅かな稜線漫歩だった。
マウント・ランドルの山頂は麓から見た山容どおり足元がスッパリ切れ落ちて高度感が凄かったが、意外にも人気のある山にしては珍しくケルンなどの類いは一切無かった。 今までで一番酷い山火事の影響で山頂からの展望は全く冴えず、バンフを挟んで対峙するカスケード・マウンテンさえ霞んで見えなかったことが一番印象に残った。 後続の登山者は殆どが軽装で、ザックや靴は登山用ではなく、バンフを観光している旅行者が登っている感じが見て取れた。
山域 バンフ国立公園
THへの距離 130km THへの時間 1:20
THの標高 1372m 山頂の標高 2949m
単純標高差 1577m 累積標高差 1650m
歩行距離 15.0km 所要時間 9:30