8月11日、カルガリー以北のロッキーの山々はまだ天気が不順なため、南部のU.S.Aとの国境に位置するウォータートン・レイクス国立公園にあるマウント・クランデルを登った。 アパートから2号線を180キロほど走り、フォート・マクロードで3号線に、ピンチャー・クリークで6号線に乗り換え、最後は公園の入口から5号線を走って3時間ほどでウォータートン・レイクに着いた。 レイク手前の展望所からカナダ側のウォータートンの山々が一望出来たが、個性的で荒々しいロッキー北部の山々とは違う穏やかな山容が印象的だった。
湖畔から少し上がった取付きには案内板や駐車場はなく、車両進入禁止の標識がある林道の入口があるだけだった。 山火事跡の緩やかな林道はすぐに草を被り、間もなく涸れた沢と出合って途絶えた。 薄い踏跡を頼りに乾いた岩を縫ってしばらく沢を登ると右に分岐する枝沢に導かれた。 枝沢を僅かに登ると踏み跡が少し明瞭になり、岩場が所々に混じる荒れた斜面を登る。 眼下のウォータートン・レイクの眺めが徐々に良くなり、U.S.A側のグレーシャー国立公園の山々が見えるようになると、クランデルの山頂を眼前に望む沢の源頭に詰め上がった。
沢の源頭にケルンを積み、広い火事跡の明るい樹林帯を登る。 快適な登りは長続きせず、踏み跡は徐々に薄くなり、山頂に続く尾根に乗るため草付きの急斜面をトラバース気味に延々と登る。 ようやく顕著な尾根と出合うとケルンが二つ見られ、マウント・ダンガーバンなどウォータートン北部の山々が望まれた。
尾根の出合からはそれまでと全く違う稜線漫歩となり、山火事跡の木々との際を所々で明瞭になる踏み跡を拾って登る。 マウント・クランデルの山頂には大きなケルンが積まれ、傍らには新しい気象観測機器が設置されていた。 意外にも山頂は西側がスッパリと切れ落ち、ウォータートン・レイクス国立公園の最高峰のマウント・ブラキストン(2910m)などの山々の展望が素晴らしかった。 ケルンの中にはレジストリーBOXが二つ納められていたが、小さなメモ帳に先人が記した足跡の数は多く、トレイルの踏み跡の薄さと一致していないように思えた。
ウォータートン・レイクの眺めが良い山頂の袖まで足を伸ばしてから往路を戻る。 平日だったことで山は貸し切りで、最後の沢ではビッグホーン・シープとはち合わせをした。
下山後は湖畔のタウンサイトに立ち寄ったが、予想以上に洗練されたリゾート地で、山の上からは想像も出来ないほど多くの観光客で賑わっていた。
山域 ウォータートン・レイクス国立公園
THへの距離 285km THへの時間 3:00
THの標高 1320m 山頂の標高 2378m
単純標高差 1058m 累積標高差 1070m
歩行距離 8.0km 所要時間 7:30